catch-img

時間外手当とは? 法律で定められている計算方法や注意点について

労働基準法で定められた、法定労働時間を超えて発生した労働時間を“時間外労働”、この時間の賃金のことを“時間外手当”といいます。

実はこの時間外手当にはさまざまな種類があり、賃金の内容や条件にも違いがあります。

今回は、時間外手当が発生する条件や発生しない条件に加え、それぞれの計算方法についてもわかりやすく解説していきます。

目次[非表示]

  1. 時間外手当とは?
  2. 時間外手当と一緒に知っておきたい「36協定(労使協定)」
  3. 働き方改革による時間外労働の上限規制について
  4. 時間外労働で勘違いしやすい“法定内残業”と“法定外残業”
  5. 時間外手当の種類と計算方法
  6. 時間外手当の支給が特殊なケース
  7. 未払いの残業代に対して企業が受けるペナルティ
  8. シフト制の残業はシフト作成段階で防げる
  9. まとめ


時間外手当とは?

時間外手当とは、法定労働時間を超えた際に発生する割増賃金のことを指します。 労働基準法で定められている法定労働時間を超える労働は、“通常賃金の125%以上”の時間外手当を支払わなければなりません。


たとえば、1時間あたりの時給が1,000円の場合、時間外手当は1,250円となります。さらに、1か月に60時間以上の時間外労働があった場合、使用者は通常賃金の150%以上の金額を支払わなくてはいけません。


使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

(出典:厚生労働省「労働時間・休日」)


労働基準法第37条

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

(出典:厚生労働省「労働基準法」)


なお、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客業(特例措置対象事業場という)などの分野で、労働者が10人未満の場合については週の法定労働時間は44時間までです。


労働基準法施行規則第25条の2

使用者は、法別表第一第八号、第十号(映画の製作の事業を除く。)、第十三号及び第十四号に掲げる事業のうち常時十人未満の労働者を使用するものについては、法第三十二条の規定にかかわらず、一週間について四十四時間、一日について八時間まで労働させることができる。

(出典:厚生労働省「労働基準法施行規則」)


関連記事:「シフト」の労働基準法での位置づけについて

時間外手当と一緒に知っておきたい「36協定(労使協定)」

職務の性質上、どうしても法定労働時間を超える業務が発生してしまうこともあります。


使用者と労働者が、双方合意のうえで協定を結び、行政官庁に届け出ることによって法定時間外労働ができるようになる法律があります。

使用者と労働者の協定は“時間外労働協定”と呼び、労働基準法第36条に定められていることから“36(サブロク)協定”という別名でも広く知られています。


36協定は、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者と、使用者(企業)の間で結ぶ協定です。この協定を締結していない場合、法定時間外の労働はすべて法律違反となってしまいます。


協定には時間外労働や休日労働の上限時間などを明記することとなっており、これを超える時間外労働はできません。 また36協定さえ結べば、無制限に労働時間を延ばせるわけでもないという点については、使用者・労働者ともに注意が必要です。


時間外労働には限度が定められており、使用者は原則として“1か月で45時間”、“1年で360時間”を超える時間を働かせてはいけません。

働き方改革による時間外労働の上限規制について

これまでは、36協定に基づいた残業であれば時間外労働に上限がなく、違反した場合も使用者は行政指導を受けるのみにとどまっていました。

しかし、2019年4月から順次施行される“働き方改革”による時間外労働の上限規制の導入で、労働時間の上限が定められました。 


時間外労働の上限は原則として月45時間・年間360時間まで。使用者は、働き方改革のルールに則った“臨時的な特別の事情”がなければ、これを超えて働かせることはできません。 

また、労使が合意している場合でも以下を遵守しなければなりません。

年720時間 以内
複数月平均80時間 以内 休日労働を含む
(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内)
月100時間 未満 休日労働を含む
月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。 

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。

(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)


 上記に違反すると、使用者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される場合があります。

時間外労働で勘違いしやすい“法定内残業”と“法定外残業”

世間一般的に使われている“残業”という言葉ですが、法律では“時間外労働”といいます。この時間外労働は、2つに分けられます。


法定内残業

仮に1日の勤務時間を9:00から17:00まで、休憩1時間の7時間と所定労働時間を定めている企業の場合を例にしましょう。


09:00~17:00 所定労働時間

17:00~18:00 法定内残業


退勤時間が18:00になり、8時間の勤務となった場合、超過となった1時間は法定労働時間内の残業です。これを法定内残業と呼びます。


法定外残業

一方、同じ所定労働時間・休憩時間の企業で9:00から20:00までの勤務となった場合です。


09:00~17:00 所定労働時間

17:00~18:00 法定内残業

18:00~20:00 法定外残業


この場合、18:00以降の労働時間が法定外残業にあたります。法定外残業が発生した場合、使用者は労働者に割増賃金を支払わなくてはいけません。法定内残業にあたる部分については、就業規則などで定めのない限り、割増賃金を支払う義務はありません。


法定労働時間を守ることが時間外手当の削減につながる

法定労働時間は1日8時間以内、週40時間以内と定められているため、1日の労働時間が8時間を超えたとき、超過部分は法定時間外労働・法定外残業になります。時間外手当の削減を目指す企業では、法定時間内労働を守ることが必要不可欠です。


時間外手当の種類と計算方法

法律によって、割増賃金を支払うよう定められているのは法定外残業以外に“休日労働”、“深夜労働”が挙げられます。

休日手当

使用者は、労働者に対して少なくとも週1日、もしくは4週間に4日の休日を与えることが法律で定められています。休日出勤が必要であった場合、休日手当として通常賃金の135%の賃金を支払う義務があります。 


休日手当の賃金計算方法
1時間当たりの通常賃金 × 休日労働時間 × 1.35


深夜手当

22時から5時までの時間帯は深夜となり、深夜手当の支給対象です。 深夜手当では、使用者は通常賃金の125倍の賃金を労働者に支払う義務があります。


深夜手当の賃金計算方法
1時間当たりの通常賃金 × 深夜労働時間 × 1.25


関連記事:アルバイトに適用される手当は?その種類や金額
関連記事:時間外手当の計算方法。日給制や月給制、計算率について


時間外手当の支給が特殊なケース

これまで法定労働時間を超える労働は法定外残業として割増賃金が発生することを解説してきました。
しかし、法定労働時間を超えた労働でも時間外手当の対象とはならないケースがあります。ここではその具体的な例を5つ紹介します。


管理職(管理監督者)に就いている場合

労働基準法では、管理監督者は使用者であると考え、割増賃金を払わなくても良いとされています。
そのため、人件費を削減したい経営者が、管理監督者は労働時間規制の適用を除外されることを悪用しているケースが発生しています。一般従業員を管理職に昇進させ、割増賃金の支払いを逃れようとする行為で、大きな社会問題となっています。

労働基準法の管理監督者とみなされるには条件があり、すべての管理職が管理監督者ではないことも覚えておきましょう。


固定残業制を適用している場合

“固定残業代”、“みなし残業代”などと呼ばれる制度があります。これは時間外手当があらかじめ給与に含まれているため、一定の残業時間(みなし残業)までは時間外手当が変わらないという制度です。


固定残業制度を導入している場合、企業は以下の点を従業員に明示する義務があります。

  • 基本給
  • みなし残業時間の上限と固定残業代
  • 実際の残業代が固定残業代を超える場合は時間外手当を追加して支払うこと

具体的には“基本給○○円と、××時間までの時間外手当▲▲円”という内容です。みなし残業時間を実際の労働時間が超えてしまった場合、使用者は労働者に対して、追加の時間外手当を支払わなくてはいけません。 


なお、月の固定残業時間を45時間以上に設定すると、年間では法定労働時間を超えて、労働基準法違反となる場合があります。


裁量労働制を適用している場合

固定残業制は一定時間までの時間外労働のみを“みなし残業”とするのに対して、裁量労働制では時間外労働ではなく、時間内労働を“みなし労働”と考えます。混同されやすいこの2つを整理しておきましょう。 

裁量労働制では、使用者と労働者の間で取り決めた時間を労働時間とみなします。
たとえば、労使間の取り決めで1日の労働時間を8時間とした場合、実際の勤務時間が6時間でも10時間でも、1日の労働時間は8時間として扱われます。

ただし、みなし労働時間を法定労働時間である1日8時間を超える時間に設定した場合、超過時間に対して125%の割増賃金を使用者は労働者に支払わなければなりません。休日手当や深夜手当も、一般労働者と同様の扱いです。


年俸制の場合

契約社員や嘱託社員などで見かけるケースに、年俸制の給与と固定残業制度を組み合わせて人件費の変動を抑えようとする賃金体系があります。

“年俸に○○時間分の時間外手当が含まれる”という規定がある場合、残業時間は給与(年俸)に含まれているとみなされ、時間外手当の対象にはなりません。

年俸制の場合でも、基本給部分と時間外手当部分の労働時間および賃金は、労働者に対してあらかじめ書面などで明示しなくてはいけません。

そして明示された時間を超えて残業が発生する場合は、時間外手当の対象です。


フレックスタイム制を適用している場合

企業が指定する条件内で、労働者が出社・退社時間を自由に決められるのがフレックスタイム制です。ある日の労働時間は5時間、別の日は9時間など、状況に応じて労働時間を変えられるメリットがあります。

フレックスタイム制では、労働時間の計算を1日で締めるのではなく、週ごと、月ごとなどの清算日を設け、その期間の労働時間をベースに時間外労働が発生したかどうかを算定します。

労働時間の清算を週ごととする場合、1日の労働時間が8時間を超えていても、ただちに法定時間外労働とはなりません。

週の総労働時間が40時間以内で収まっているなら、時間外手当の支払い義務は発生しません。週の労働時間が40時間を超えた場合、その時間に対して時間外手当が支払われます。


未払いの残業代に対して企業が受けるペナルティ

未払いの時間外手当について従業員から請求を受けた際、企業は未払い分の賃金以外に所定の費用をあわせて支払わなくてはいけない場合があります。

たとえば、支払いが遅れたことによる遅延損害金(一般的に年6%程度とされる)や遅延利息(年率14.6%)、調停や裁判となった場合は未払い金と同額の付加金(判決後翌日から年利5%の遅延損害金が別途加算)などが挙げられます。 こうしたリスクを回避するためにも、労働時間の管理と正しい賃金計算・支払いが求められます。


シフト制の残業はシフト作成段階で防げる

ここまで、所定時間外労働・法定時間外労働といった残業の種類や、法的に時間外労働が認められる状況、企業が負担するコストについて解説しました。

無理な時間外労働は人件費を増大させるだけでなく、労使の信頼関係にも影響を及ぼし、ときには経営自体のリスクを増大させる可能性もあります。

しかし、交代のための引継ぎ時間などで予定外の人件費が発生しやすいシフト制の職場では、シフト作成段階の工夫で時間外手当を削減できる場合もあります。

シフト制の職場では、従業員の編成がしやすく、人件費予算をつかみやすくなるITシステムの活用がおすすめです。

シフオプなら状況に応じた理想的なシフト体制を提示するモデルシフト表示機能や、コンプライアンスリスクの高い時間外労働に対するアラート機能などで違反を未然に防止した適切なシフトを作成できます。シフト作成段階で時間外労働や連続勤務を把握できるため、シフトを作成する使用者の負担を大きく減らして人件費管理にも役立ちます。

シフト管理システムの機能紹介(https://www.shifop.jp/function/)


まとめ

時間外労働の種類や労使の契約内容、法律によって、使用者が労働者に支払う義務のある時間外手当の計算方法は変わります。時間外手当について正しく理解することで企業、管理者、従業員全員が安心して働ける職場にしていきましょう。


シフト管理システム「シフオプ」のお問い合わせはコチラから


人気のコラム

業界別繁忙期一覧。忙しい時期はシフト管理が大切!

シフト管理がうまくいかない…。作成のコツや便利ツール紹介

効率よくシフト管理をするメリットとツールの有用性

まだ手作業?イマドキのシフト管理はアプリで効率化!


人気のコラムをもっと見る

お問い合わせ・資料請求はこちらから

人気記事ランキング

タグ一覧