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36(サブロク)協定とは? 押さえておきたい残業時間の上限や注意点

※2019年4月8日公開の記事に修正を加えています。


2019年4月からスタートした働き方改革の一環として、『労働基準法』が改正されました。これにより、36協定の締結方法が変わり、残業時間の上限が規定されました。

「36協定に関する知識があやふやになっているため一度見直したい」「法令に違反していないか心配」といった人事・労務担当者の方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、36協定について、締結時のポイントや時間外労働の上限規制、法改正に伴う様式変更とともに解説します。


目次[非表示]

  1. 36協定とは
  2. 36協定の5つのポイント
  3. 36協定を締結する際の注意点
  4. 時間外労働の上限規制適用が猶予・除外となる業務
  5. 法改正に伴う36協定届の様式変更について
  6. まとめ


36協定とは

36協定は、正式には“時間外労働・休日労働に関する協定”といい、『労働基準法』第36条に基づく労使協定を指します。略してサブロク協定と呼ばれることがあります。

労働基準法』では、労働者を守るための法定労働時間(1日8時間、週40時間)が定められています。原則として、企業はこの法定労働時間内でしか従業員を働かせることができません。

しかし、繁忙期や年度末など臨時的な特別の事情で、法定労働時間を超えてしまうケースもあります。このような場合に、事前に36協定を締結して労働基準監督署に36協定届を届け出ておくことで、一定の上限に収まる範囲内で法定労働時間を超えて働かせることが可能になります。



36協定の5つのポイント

36協定は、企業と労働者の代表との間で締結します。労働者の代表は、労働組合または労働者を代表する人を選挙や投票などで選出します。

ここからは、36協定を締結する際の5つのポイントを解説します。


①時間外労働をさせる必要のある具体的事由

時間外労働や休日出勤を行う必要がある場合は、具体的な理由を記載します。「念のため、残業のための時間枠を取っておこう」という理由は認められません。

出典:厚生労働省『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針


②業務の種類・範囲

36協定を締結する際は、解釈の都合によって意図しない業務範囲に拡大されることがないように、業務の種類・範囲を定めておく必要があります。業務の内容を細分化して、時間外労働や休日出勤を行わせる範囲を明確にすることが重要です。

出典:厚生労働省『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針


③従業員の人数

36協定を締結する際、時間外労働や休日出勤をさせることのできる従業員の人数を記載します。人数・性別の制限はありませんが、満18歳以上の従業員に限られます。

出典:首相官邸『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』/厚生労働省『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針


④時間外労働の目安時間

時間外労働の限度時間は、原則月45時間・年360時間です。また、1ヶ⽉未満の期間で労働する従業員の時間外労働は、目安時間を超えないように努める必要があります。

目安時間は、『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針』で次のように示されています。


期間が次のいずれかに該当する場合は、目安時間は、当該期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に一時間未満の端数があるときは、これを一時間に切り上げる。)とする。

一 一日を超え一週間未満の日数を単位とする期間 十五時間に当該日数を七で除して得た数を乗じて得た時間


二 一週間を超え二週間未満の日数を単位とする期間 二十七時間に当該日数を十四で除して得た数を乗じて得た時間


三 二週間を超え四週間未満の日数を単位とする期間 四十三時間に当該日数を二十八で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が二十七時間を下回るときは、二十七時間)

引用元:『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針


▼時間外労働の目安時間

期間
一般労働者
変形労働時間制の労働者
(3か月を超える1年単位)
1週間
15時間
14時間
2週間
27時間
25時間
4週間
43時間
40時間
1か月
45時間
42時間
2か月
81時間
75時間
3か月
120時間
110時間
1年間
360時間
320時間

時間外労働の限度を超えて働かせる場合は、特別条項付きの36協定の締結が必要となります。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説』『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針


⑤時間外労働の上限時間

2019年4月(中小企業は2020年4月)から施行された働き方改革関連法によって、時間外労働の上限が罰則付きで規定されることになりました。

法改正前は、時間外労働の上限はあったものの、法律上の規定はありませんでした。そのため、月45時間・年360時間を超えて働いていた場合でも、特別条項付きの36協定を締結すれば、限度時間を超えて働かせることが可能でした。また、罰則はなく、行政指導が行われるのみでした。

法改正後は、法律で残業時間の上限を定められました。そのため、臨時的な特別な事情があり、特別条項付きの36協定を締結した場合でも、上回ることができない上限が設けられました。

法改正前と改正後の時間外労働の上限規制は以下のとおりです。


▼時間外労働の上限規制(特別条項・年6ヶ月まで)

時間外労働の上限規制

画像引用元:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説


36協定によって時間外労働や休日出勤をさせる場合でも、法律で定められた上限時間を超えることはできません。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説



36協定を締結する際の注意点

厚生労働省の『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』では、36協定の注意点として次のように定められています。


▼36協定の締結時の注意点

  1. 時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめること
  2. 使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負い、労働時間が長引くに連れて過労死との関連性が強まることに留意すること
  3. 時間外労働・休日労働を行う業務の区部を細分化して、業務の範囲を明確にすること
  4. 臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることができないこと
  5. 1ヶ月未満の期間で労働する労働者の時間外労働は、目安時間を超えないように努めること
  6. 休日労働の日数および時間数をできる限り少なくするように努めること
  7. 限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保すること
  8. 限度時間が適用除外・猶予されている事業・業務についても、限度時間を勘案して、健康・福祉を確保すること

36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』を基に作成


このうち、注意点2.に関しては、『労働契約法』第5条によって企業は安全配慮義務を負っているため、違反した場合は刑事罰に問われる可能性があります。

また、1週間あたり40時間を超える労働時間が月100時間、または2〜6ヶ月平均で80時間を超える場合は、脳・心臓疾患を発症するリスクが高まるとされているため、注意が必要です。

なお、36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合、『労働基準法』違反となり、企業に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説』『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』/e-GOV法令検索『労働契約法』『労働基準法



時間外労働の上限規制適用が猶予・除外となる業務

2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用された時間外労働の上限規制ですが、特定の事業・業務については、適用が猶予・除外されています。上限規制の適用が5年間猶予される事業・業務と猶予後の取扱いは次のとおりです。


適用が除外される業種

画像引用元:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説


また、新商品や新技術などの研究開発業務は、上限規制の適用が除外されています。これは、1日ごとに仕事量を平準化・定量化するのが難しく、利益性を損なわないようにするためです。

なお、研究開発業務については、1週間あたり40時間を超えて労働した時間が⽉100時間を超える従業員については、医師の面接指導が義務付けられています。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制わかりやすい解説



法改正に伴う36協定届の様式変更について

2019年4月から順次施行となった働き方改革関連法の改正では、新たに時間外労働の上限規制が設けられています。

時間外労働の上限規制に伴って36協定に必要な事項も変わりました。2021年4月からは、新しい様式で“36協定届”を労働基準監督署へ届け出る必要があります。


▼36協定届の様式における主な変更点

  • 36協定届における使用者の署名・押印の廃止
  • 36協定の労働者代表に関するチェックボックスの新設


使用者の署名・押印が不要になったため、電子申請で届け出ることも可能になりました。電子申請については、こちらで確認できます。

  トップ | e-Gov電子申請 e-Gov電子申請では、各府省が所管する様々な行政手続について申請・届出を行うことができます。 https://shinsei.e-gov.go.jp/


インターネット上で36協定届を作成する場合は、厚生労働省のポータルサイトから作成できます。

  スタートアップ労働条件:事業者のための労務管理・安全衛生管理WEB診断サイト|厚生労働省 事業者のための労務管理・安全衛生管理WEB診断サイト「スタートアップ労働条件」。WEB診断をすることにより、労働基準法等の法令や労務管理等に関連する基本的な知識を取得し、長時間労働や労働災害の発生を未然に防止することができます。 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/

出典:厚生労働省『36協定届が新しくなります』『時間外労働の上限規制わかりやすい解説



まとめ

この記事では、36協定と時間外労働について以下の項目を解説しました。

  • 36協定とは何か
  • 36協定の5つのポイント
  • 36協定を締結する際の注意点
  • 時間外労働の上限規制適用が猶予・除外となる業務
  • 法改正に伴う36協定届の様式変更について

36協定は以前からある制度ですが、2019年4月から順次施行された法改正によって、方針や罰則などの内容が見直されています。

法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合は、36協定を締結します。また、月45時間・年360時間の限度時間を超えて働かせる場合は、特別条項付き36協定を締結する必要があります。

一方で、今回の法改正で時間外労働の上限規制が設けられたため、特別な事情がある場合でも、上限を超えて働かせた場合には法違反となり、罰則が科せられるおそれがあります。

そのため、企業には、『労働基準法』を遵守しつつ、従業員の健康を守るための労務管理が求められます。

シフト管理システムの『シフオプ』には、シフトの内容に労務違反がある場合にアラートが表示される機能が備わっています。シフト作成の段階で長時間労働を未然に防げるため、労務コンプライアンスの強化につながります。

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