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時間外手当の割増率と割増賃金の計算方法とは? 時間外労働を減らす取り組みも解説

※2023年4月18日更新


近年、“残業代未払い”に関するトラブルがたびたびメディアに取り上げられています。

厚生労働省が行った調査によると、2021年度に労働基準監督署から“残業代含む割増賃金の未払い(100万円以上)”を指摘された企業は1,069企業で、前年度から7社増加していることが分かっています。

そうしたなか、2019年4月1日には働き方改革関連法が施行されており、その一つとして労働基準法の改正が行われました。改正された内容には割増賃金率(以下、割増率)の引き上げについて含まれており、企業の人事・労務担当者も法令に基づいた対応が求められます。

今回は、2019年4月から適用される労働基準法の改正内容を踏まえた割増率と割増賃金の計算方法、時間外労働を減らす取り組みについて解説します。

出典:厚生労働省『監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)』『働き方改革関連法のあらまし


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目次[非表示]

  1. 賃金の割増率とは?
  2. 働き方改革!割増率の改正
  3. 世界と日本の割増率
  4. 割増賃金の計算方法
  5. 時間外労働を減らす取り組み
  6. まとめ


賃金の割増率とは?

割増率とは、『労働基準法』第37条で定められた時間外労働に対する賃金の割増率のことです。割増率は以下のように定められています。


▼労働基準法 第37条
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


▼割増賃金の労働条件と割増率

労働条件
基礎時給比
(月60時間以下の場合)
時間外労働
1.25倍
法定休日労働
1.35倍
深夜労働(22~5時)
1.25倍
時間外労働+深夜労働
1.5倍
法定休日労働+深夜労働
1.6倍


割増賃金は、1週間に40時間(休憩時間を省く)、1日に8時間を超える時間外労働に対して適用されます。いわゆる残業代です。そのほかにも、法定休日に行われた休日労働、深夜(午後10時から午前5時)に行われた深夜労働に対しても割増賃金が発生します。

時間外手当の計算方法や注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  時間外手当とは? 法律で定められている計算方法や注意点について 時間外手当、残業代などは、企業によってルールも異なり、どう設定してよいのかわからない方も多いでしょう。「残業代が出ない」といった企業独自のルールはそれ自体違法になる可能性もあります。今回は、時間外手当の条件、計算方法を解説していきます。 シフオプ


出典:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます』『法定労働時間と割増賃金について教えてください。』/e-Gov法令検索『労働基準法



働き方改革!割増率の改正

「いくらでも残業できる」という状況は、労働者の環境を悪くする可能性が高いうえ、企業の生産性を下げることにもつながりかねません。

このような状態の改善に向けて、2010年4月に労働基準法が改正され、時間外労働の合計が60時間を超える場合、割増率がそれまでの25%から50%に引き上げられることになりました。

ただし、この段階では割増率の引き上げは大企業が対象となっており、中小企業に対しては見送られていたため、長時間労働の問題がなかなか改善しない状況が続いていました。

そこで、長時間労働を防止しながら“ワーク・ライフ・バランス”と“多様で柔軟な働き方”を実現するために、2019年4月に働き方改革関連法が施行されました。取り組みの一環として、中小企業も2023年4月1日から割増賃金の引き上げが適用されています。


▼改正前・改正後の割増率

画像引用元:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます


中小企業では、割増率の改定によって時間外労働の支払い負担が増えるため、働き方や業務フローを見直して、時間外労働を防ぐ取り組みが必要です。また、従業員の勤務状況を正確に把握して、正しい割増賃金を支払うための労務管理が求められます。

時間外手当の法律における定義についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  時間外手当の法律における定義とは? 時間外手当についてきちんと把握するのはなかなか難しいものです。今回は時間外手当について、その定義から具体的な計算方法まで解説していきます。 シフオプ


出典:内閣府『働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~』/厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます



世界と日本の割増率

日本の賃金の割増率は諸外国よりも低く、支払いによる企業への負担が少ないため、長時間労働が起こりやすい要因の一つになっている可能性があります。


▼日本と各国の割増率の状況


日本
アメリカ
フランス
韓国
法定労働時間
  • 8時間/日
  • 40時間/週
40時間/週
35時間/週
40時間/週
割増率
25%
(60時間以上の時間外労働は50%)
50%
  • 25%
    (36時間以上43時間以下)
  • 50%
    (44時間以上)
50%
(8時間以上の休日労働は100%)

厚生労働省『2021年 海外情勢報告』を基に作成


大企業・中小企業ともに改正された割増率が適用された現在では、すべての企業において、時間外労働を減らす努力が急務です。

業務フローや作業方法を見直して日々の残業を減らすことはもちろん、シフト勤務制の場合は、シフト作成段階から法定労働時間を超えないように意識することが重要です。

なお、働き方改革が進んでいくにつれて、今後も法改正は行われる可能性があるため、割増賃金について常に確認しておくことが重要です。


シフト管理システムの『シフオプ』なら、シフト作成段階で週40時間以上の労働があった場合アラートを表示して、時間外労働が発生することを知らせる機能があります。(アラート内容は一例です)

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出典:厚生労働省『2021年 海外情勢報告



割増賃金の計算方法

ここからは、法改正によってどのように割増賃金が変わるのか、具体的な計算方法について解説します。

【勤務時間9:00~18:00(休憩1時間)で週5日の勤務、時給1,500円】を例にして、時間外労働の種類別に割増賃金を計算します。

時間外手当・休日手当・深夜手当それぞれの計算方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  時間外手当・休日手当・深夜手当とは? 勤務形態別でみる計算方法 アルバイトのシフト作成や給与管理を行う際に複雑になりやすいのが、割増賃金と呼ばれる時間外手当・休日手当・深夜手当の計算です。本記事では割増賃金の割増率と勤務形態別でみる時間外手当の計算方法について紹介します。 シフオプ


60時間以下の時間外労働の場合

時間外労働が60時間以下の場合は、通常賃金の1.25倍で割増賃金を計算します。


▼時間外労働が40時間の場合

  • 1,500円×1.25=1,875円(1時間当たりの割増賃金)
  • 1,875円×40時間=75,000円


出典:内閣府『働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~


法定休日労働の場合

法定休日労働は、通常賃金の1.35倍で計算します。


▼休日出勤時間が10時間の場合

  • 1,500円×1.35=2,025円(1時間当たりの割増賃金)
  • 2,025円×10時間=20,250円


出典:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます


60時間以上の時間外労働の場合

60時間を超えた分の時間外労働は、通常賃金の1.5倍で計算します。


▼時間外労働が80時間の場合(法定時間外労働を20時間オーバー)

  • 1,500円×1.5=2,250円(1時間当たりの割増賃金)
  • 2,250円×20時間=45,000円(超過した20時間分の割増賃金)
  • 1,500円×1.25×60時間=112,500円(時間外労働60時間分の割増賃金)
  • 45,000円+112,500円=157,500円(合計)


出典:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます


時間外労働+深夜労働の場合

深夜労働に対して、1.25倍の深夜割増賃金が発生します。また、時間外労働が深夜時間に含まれる場合は、割増率1.5倍で計算します。


▼月40時間の時間外労働のうち、15時間が深夜労働の場合

  • 1,500円×1.5=2,250円(1時間当たりの深夜労働の割増賃金)
  • 2,250円×15時間=33,750円(深夜労働分)
  • 1,500円×1.25×25時間=46,875円(通常の時間外労働分)
  • 33,750円+46,875円=80,625円(合計)


出典:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます』『アルバイトで18時から23時まで働いています。深夜は割増になるということを聞きました。どういう事でしょうか。


法定休日労働+深夜労働の場合

法定休日労働かつ深夜労働の場合の割増率は、それぞれの割増率を合わせて1.6倍で計算します。


▼月40時間の時間外労働のうち、休日労働が15時間で休日・深夜労働を5時間行った場合

  • 1,500円×1.35×15時間=20,250円(10時間分の休日労働分)
  • 1,500円×1.6×5時間=12,000円(5時間分の休日・深夜労働分)
  • 1,500円×1.25×25時間=46,875円(通常の時間外労働分)
  • 20,250円+12,000円+46,875円=79,125円(合計)


出典:厚生労働省『2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます



時間外労働を減らす取り組み

時間外労働の増加を防ぐには、残業を常態化させないための取り組みや労働時間を把握できる仕組みをつくることが重要です。

具体的な対策として、次の3つが挙げられます。


ノー残業デー制度の導入

ノー残業デーとは、残業をせずに定時で退社する日をあらかじめ決めておく制度です。定時での退社を促すことで、帰宅後にプライベートな時間を確保できるようになり、ワーク・ライフ・バランスの向上や従業員の心身の健康保持につながります。また、就業時間中に業務を終わらせる意識が生まれるため、作業の効率化も期待できます。

ただし、単に定時の退社を促すだけでは、ノー残業デーの前後で業務量が増えてしまい、残業につながってしまうおそれもあります。導入する際は、従業員の負担にならないように配慮することが重要です。


▼ノー残業デー制度を導入するポイント

  • 部署・従業員の業務量や繫閑状況を把握して、交代制で日程を設定する
  • 従業員が各自でノー残業デーを設定する(全員が同じ日に定時退社しないようにルールを設定する)
  • ITツールの導入や業務体制の見直しによって効率化を図る


残業の事前申請制度の導入

残業の事前申請制度を導入することも有効な方法です。

従業員が残業を行う際に、上司や管理監督者の承認を得る必要があるため、サービス残業を抑制したり、長時間の時間外労働を未然に防いだりする効果が期待できます。

また、本当に残業をする必要があるのか、ほかの従業員に割り振れる仕事はないかなどを検討して、業務量やスケジュールを調整することが可能です。


労働時間の可視化

従業員の労働時間を可視化できる仕組みをつくることも、時間外労働を減らすために必要な取り組みの一つです。

従業員の労働時間を数字として可視化することで、残業の多い月や週を把握できるようになり、事前に対策をとりやすくなります。

また、残業が多い従業員の業務内容を確認して、非効率になっている作業や業務フローを見直す、負担が大きい業務をほかの担当者に割り振るなど、残業が発生しにくい労働環境へと改善を図れます。

労働時間を可視化するには、シフト管理システムの導入がおすすめです。『シフオプ』は、週や月単位で従業員の労働時間を把握できるため、時間外労働が起きないようにシフトの調整を行えます。



まとめ

この記事では、時間外労働の割増率について以下の内容を解説しました。


  • 割増率の概要
  • 割増率の改正内容
  • 日本・海外の割増率
  • 割増賃金の計算方法
  • 時間外労働を減らす取り組み


時間外労働に対する割増賃金は、労働基準法でルールが定められています。2023年4月1日からは、60時間を超える時間外労働の割増率が25%から50%へと引き上げられており、中小企業についても適用されます。

人事労務部門では、従業員の労働時間を管理して正しい割増賃金を支払うとともに、時間外労働を削減するための対策を講じることが重要です。

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