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知っておきたい時間外手当の割増賃金率。改正後の内容は?

ここ数年、「残業代未払い」に関するトラブルがしばしばメディアに取り上げられています。

平成29年度において、厚生労働省から「残業代含む割増賃金の未払い」を指摘された企業の数は1,870企業。前年比で521社増となっています。

世間の注目度が高まったこともあり、割増賃金の未払いトラブルは増加傾向にあります。


そんななか、2019年4月には労働基準法の改定が行われます。

改正される内容には割増賃金率についてのものも含まれており、多くの企業が対応を迫られることになります。


事前にしっかりと改正内容を把握しておき、準備をしていきましょう。

今回は割増賃金率の基本的な解説とともに、2019年から適用される改正内容についてお伝えしていきます。


目次[非表示]

  1. 割増賃金率とは?
  2. 働き方改革!割増賃金率の改正
  3. 世界と日本の「割増賃金率」
  4. 割増賃金率の計算方法
  5. まとめ



割増賃金率とは?

割増賃金率とは、労働基準法で定められた「時間外労働」に対する割増賃金の割増率のことです。

割増賃金は、労働基準法第37条で決められており、割増率は以下の通りです。


労働条件
基礎時給比
時間外労働
1.25倍
法定休日労働
1.35倍
深夜労働
1.5倍
時間外労働+深夜労働
1.75倍
休日労働+深夜労働
1.6倍

割増賃金は、1週間に40時間(休憩時間を省く)、1日に8時間以上の労働時間を越えた場合に適用されます。いわゆる残業代です。そのほかにも、法定休日に行われた休日労働、深夜(午後10時から午前5時)に行われた深夜労働に対しても割増賃金が発生します。


働き方改革!割増賃金率の改正

「いくらでも残業できる」という状況は、労働者の環境を悪くする可能性が高いうえ、各企業の生産性を下げることにもつながりかねません。


こういった状態を少しでも改善しようと、2010年4月に労働基準法が改正され、残業時間の合計が60時間を超える場合、割増賃金率がそれまでの25パーセントから、50パーセントに引き上げられることになりました。


また、この段階では、この割増賃金率の適用は中小企業に対しては見送られていましたが、長時間労働の問題はなかなか改善しないことから、猶予の廃止が決定しました。


2019年4月より環境整備の期間に入り、実際に施行されるのは2023年4月1日からとなっています。

それにより、就業規則の見直しも必要になってきます。

また、割増賃金率の改定・施行により、時間外労働の支払い負担が増える中小企業もあるため、従業員個々の時間外労働の見直しや対策など、企業自体の働き方改革をする必要があります。企業側はしっかりと法改定を把握して、従業員との間でトラブルが起きないように施行日までに準備しておくことが大切です。


世界と日本の「割増賃金率」




日本
アメリカ
フランス
韓国
法定労働時間
40時間/週
8時間/日
40時間/週
35時間/週
1607時間/年
40時間/週
割増賃金率
25%
(1か月で60時間を超える時間外労働は50%)
50%
25%
(1週間で8時間を超える時間外労働は50%)
50%
平均残業時間
61.8分
25.7分
24.5分
39.3分

(参照:厚生労働省|割増賃金率の状況等について


日本は平均残業時間が諸外国に比べて長く、割増賃金率についても低い傾向があります。

これまでは時間外労働や割増賃金の支払いによる企業への負担が少なく、長時間労働が続いてしまう要因のひとつともなっていた可能性があります。


企業の規模を問わず「60時間以上の残業は50%」という割増賃金率が適用されれば、その状況を変えることにもつながっていくでしょう。


すでに改正割増賃金が適用されている大手企業、これから適用される中小企業、どちらにおいても、余分な時間外労働を減らす努力は急務となっています。

また、働き方改革が進んでいくにつれ、今後も法改正は行われる可能性があり、賃金についての知識は常に追っておく必要があります。



割増賃金率の計算方法

ここからは、改正割増賃金の適用後、時間外労働の種類によって「どのように割増賃金率が変わるのか」、

【勤務時間9:00~18:00(休憩1時間)で週5日の勤務、月給20万】

の場合を例にして実際に計算していきましょう。


通常の時間外労働の場合

通常の時間外労働は、通常賃金の1.25倍で計算できます。


(例)残業40時間の場合

200,000円÷21日÷8時間=1,190円(1時間あたりの通常賃金)

1,190円×1.25(割増賃金率)×40時間=59,500円


休日出勤の場合

休日出勤は、通常賃金の1.35倍で計算します。


(例)休日出勤時間10時間の場合

1,190円×1.35×10時間=16,065円


60時間以上の時間外労働の場合

60時間を超えた分の時間外労働は1.5倍で計算します。


(例)月80時間残業の場合(法定時間外労働を20時間オーバー)

1,190円×1.5×20時間=35,700円(超過した20時間分の割増賃金)

1,190円×1.25×60時間=111,563円(法定内時間外労働60時間分の割増賃金)

35,700円+111,563円=147,263円(合計)


上記を通常賃金に加算して支払うことになります。


時間外+深夜残業の場合

時間外労働が深夜に及ぶ場合、割増率は1.75倍に引き上げられます。


(例)月40時間の時間外労働のうち、15時間が深夜労働の場合

1,190円×1.75×15時間=31,238円(深夜労働分)

1,190円×1.25×25時間=37,188円(通常の時間外労働分)

31,238円+37,188円=68,426円(合計)


上記を通常賃金に加算して支払うことになります。


休日+深夜残業の場合

時間外労働が休日で、かつ深夜の場合の割増率は1.6倍で計算できます。


(例)月40時間の時間外労働のうち、休日深夜残業を8時間行った場合

1,190円×1.6×8時間=15,232円(休日深夜労働分)

1,190円×1.25×32時間=47,600円(通常の時間外労働分)


上記を通常賃金に加算して支払うことになります。


まとめ

時間外労働は、日本の法律できちんと時間が決められています。世界的に見ても働きすぎと言われる今の日本では、企業ごとにきちんと見直す必要があるでしょう。

残業代の未払いは、「知らなかった」では済まされません。働き方改革が行われるこのタイミングで、今一度会社の時間外労働の対応を見直してみてはいかがでしょうか。


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