Original

時間外手当の法律における定義とは?

人材を管理する立場の方にとって、時間外手当に関する法律の知識は欠かせません。


法律の定義を理解するのは難しく、法改正も行われるため、時間外手当についてきちんと把握するのはなかなか難しいものです。しかし、だからといって知らないままでいると、思わぬ法律違反により罰則が適用されるおそれもあります。


今回は知らなかったでは済まされない時間外手当について、その定義から具体的な計算方法まで解説していきます。


目次[非表示]

  1. 時間外手当とは?
  2. 時間外労働を行うには手続きが必要
  3. 時間外手当の具体例
  4. 時間外手当を支払わないとどうなる?
  5. まとめ



時間外手当とは?

労働基準法で定められる法定労働時間の上限は1日8時間、1週間で40時間です。

これを超える労働時間分は原則、時間外手当を支払わなければいけません。


どのような事業所でも繁忙の程度には差があるため、時期によっては法定労働時間内だけですべての業務を終わらせるのが困難なこともあります。


そのため、各事業所は一定の条件を守ることにより、法定労働時間を上回る労働を行わせることを認められています。


法定労働時間を超えた分の労働を時間外労働といい、その分に対して雇用者は労働基準法の規定に基づく割増賃金を支払わなければなりません。割増賃金を支払う範囲には通常の時間外労働に加え、法定休日に労働させる休日労働、午後10時から午前5時までの深夜労働も含まれます。


時間外労働を行うには手続きが必要

雇用者が労働者に時間外労働をさせるには、一定の条件に基づく手続きが必要です。また、手続きを行ったとしても時間外労働には上限があります。


労働契約書と就業規則に記載する

事業所を営む企業が労働者を雇用する際は、労働者との間で労働条件等を明記した労働契約を結びます。必要に応じて時間外労働をさせる場合、この労働契約書に時間外労働が可能であることを記載しなければなりません。労働者が守るべき労働条件や規律に関して定めた就業規則にも、時間外労働が可能な点を記載することで残業を依頼できるようになります。


36協定を労働基準監督署に届け出る

また、時間外労働には雇用者と労働者の間で36協定と呼ばれる協定の締結が不可欠です。

36協定とは、労働基準法第36条にもとづき労使間に締結される協定のことで、この協定を労働基準監督署に届け出ることで法定労働時間を超えた労働が例外的に可能となります。ただし、36協定を締結した場合も時間外労働を無制限にできるわけではなく、期間ごとの上限時間が定められている点には注意が必要です。


時間外労働の上限の原則は下記のとおりです。


期間
一般労働者の場合
対象の労働者が3か月を超える
1年単位の変形労働時間制の場合
1週間
15時間
14時間
2週間
27時間
25時間
4週間
43時間
40時間
1か月間
45時間
42時間
2か月間
81時間
75時間
3か月間
120時間
110時間
1年間
360時間
320時間

(参照:厚生労働省│時間外労働の限度に関する基準

特別な理由がある場合は36協定に特別条項を設けて一時的に上限時間を上回ることは可能です。ただ、36協定における時間外労働の上限の原則がありますので理解しておくようにしましょう。


時間外手当の具体例

2023年4月以降、これまで猶予されてきた中小企業を含めたすべての会社に、時間外労働に対し改正割増賃金率の適用が義務付けられます。

(参照:厚生労働省│「働き方革命」について

従来の中小企業では、時間外労働に対して、25%の割増賃金率を一律に適用していました。この場合、1日10時間ずつ勤務したとすると、1日当たり2時間ずつの時間外労働であれば、1時間当たりの賃金×1.25で計算できます。


また、月給制の労働者の場合、【1日当たりの所定労働時間×月勤務日数÷月】の基本給で、時間外手当の計算に必要な1時間当たりの賃金が算出できました。


改正後の割増賃金率が適用されるようになると、月60時間を上回る分の時間外労働には25%でなく50%の割増賃金が加算されます。この場合は月60時間までの時間外手当と、60時間を超える分の時間外手当を別々に計算する必要が出てきます。仮に月70時間残業したとすると、60時間までは1時間当たりの賃金×1.25、残り10時間分は×1.5となります。


時間外手当を支払わないとどうなる?

時間外手当を支払わずに時間外労働をさせた場合、労働基準法違反の罰則が適用されるため、企業として大きなリスクを背負うことになります。


刑事上の罰則は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

労働基準法第32条は原則として「1日8時間週40時間を超えて労働させてはならない」と規定しており、その例外である時間外労働の割増賃金に関しては37条に規定があります。これらの規定に違反した場合、刑事上では6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。ただし、こうした刑事上の罰則が科されるのは労働基準監督署の是正勧告でも改善されない悪質なケースです。


民事上では未払金の支払い、悪質なケースでは付加金支払いも

時間外手当の未払いに対する罰則には民事上の規定もあり、違反が認められれば未払金の支払いを命じられます。裁判所が悪質と認めたケースに対しては、最大で未払金と同額の付加金支払いも命じられる可能性があります。

なお、未払金・付加金ともに遅延損害金が加算されるため、雇用中の労働者に対しては年6%の加算ですが、退職した労働者に対しては年14.6%に上がります。こうした時間外手当の未払いが発覚して裁判に発展した場合にはブラック企業の汚名を着せられ、人材確保が困難になるというリスクも発生します。


まとめ

時間外手当に関する法律は、経営者や管理者であれば知らなかったでは済まされない、労働者の生活を守る大切な法律です。たとえうっかりであったとしても、裁判ともなれば企業の信用には大きな傷がつきますので、常に注意して違反しないようにしましょう。


シフト組みの段階で時間外手当の計算もできる、

シフト管理システム「シフオプ」のお問い合わせはこちらから。


人気のコラム

アルバイトの労働基準法って?雇用の前に知っておきたい適用範囲や定義

労働基準法とは?休日、残業、休憩時間について

「シフト」の労働基準法での位置づけについて

パートタイム労働法とは?知っておきたい改正後の内容や問題点について


人気のコラムをもっと見る

お問い合わせ・資料請求はこちらから

人気記事ランキング

タグ一覧