catch-img

アルバイトに適用される労働基準法。企業担当者が知っておきたい規定とは

※2024年11月14日更新

労働基準法』とは、労働条件の原則や最低基準を定めた法律です。労働基準法は雇用形態に関係なくすべての労働者を対象とすることから、正社員だけでなくアルバイト・パートにも適用されます。

人事・労務担当者のなかには、「アルバイトの雇用に当たって労働基準法の規定を確認しておきたい」「法令に基づく労務管理を行うにはどうすればよいのか」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、アルバイトを雇用する際に知っておきたい労働基準法の規定と、法令に基づいた労務管理のポイントについて解説します。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


目次[非表示]

  1. アルバイトを雇用する際に知っておきたい労働基準法の規定
  2. 法令に基づいた労務管理を行うポイント
  3. まとめ


アルバイトを雇用する際に知っておきたい労働基準法の規定

労働基準法では、労働時間や賃金のほか、さまざまな事項について労働者を保護するための規定が設けられています。


①法定労働時間・休日に関する規定

労働基準法第32条では、労働時間について一週間に40時間、一日に8時間の上限が規定されています。


▼労働基準法第32条

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


また、休憩・休日については、労働基準法第34条と35条に規定されています。原則として、労働時間に応じた休憩時間と週に一回の休日を設ける必要があります。


▼労働基準法第34条・35条

(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


なお、休憩時間の決まり方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  労働基準法で定められる「休憩時間」について 休憩は労働基準法で定められた従業員の権利です。管理者は、法律で定められた内容をしっかりと理解し、休憩時間を設けることが大切です。今回は、労働基準法で定められる休憩時間について見ていきましょう。 シフオプ

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


②時間外労働に関する規定

労働基準法第36条に規定された協定を結ぶと、32条の労働時間を超えて働いてもらったり、35条で定められた休日に出勤してもらったりすることが可能です。ただし、その場合でも労働時間について一ヶ月に42時間、一年に360時間の上限があります。


▼労働基準法第36条1項・4項

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

④ 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


また、時間外および休日の労働においては、割増賃金を支払うことが労働基準法第37条で定められています。


▼労働基準法第37条

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


なお、残業時間と割増賃金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  労働基準法における残業時間のルール。上限規制や割増賃金についてチェックしよう 2019年4月には、働き方改革関連法の施行によって残業時間の上限規制が新たに設けられており、さらに厳しい労働時間の管理が求められています。 企業が法令を遵守した労務管理を行うために、残業時間のルールについて把握しておくことが重要です。 この記事では、労働基準法における残業時間の定義や上限について解説します。 シフオプ

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


③賃金の支払いに関する規定

賃金の支払い方法については、原則として通貨で労働者に直接、全額を毎月一回以上、一定の期日を決めて支払うことが労働基準法第24条で規定されています。


▼労働基準法第24条

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


また、就業規則に基づく減給の制裁を行う場合、労働基準法第91条で定められた範囲内に限られます。過度な減給は認められません。


▼労働基準法第91条

(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


④有給休暇に関する規定

有給休暇については、労働基準法第39条に規定されています。6ヶ月間継続して勤務したうえで全労働時間の8割以上を出勤した労働者には、有給休暇を付与する必要があります。


▼労働基準法第39条

(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


有給休暇は労働基準法に定められているため、アルバイトにも付与する必要があります。ただし、週の所定労働時間・日数が少ない場合には、フルタイムで働く場合よりも有給休暇の付与日数が少なくなります。


▼年次有給休暇の付与日数

年次有給休暇の付与日数

画像引用元:厚生労働省『しっかりマスター労働基準法ーパート・アルバイト編ー


また、週所定労働日数が1日未満、年間所定労働日数が48日未満の場合には、実質的に有給休暇が発生しません。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省『しっかりマスター労働基準法ーパート・アルバイト編ー


⑤災害補償に関する規定

労働基準法では、労働者が業務においてけが・病気をしたり、亡くなったりした場合に使用者が補償を行う災害補償を規定しています。


▼労働基準法第75条・76条・77条・79条・80条

(療養補償)
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
(休業補償)
第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
(障害補償)
第七十七条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。
(遺族補償)
第七十九条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。
(葬祭料)
第八十条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


ただし、『労働者災害補償保険法』に規定された労災保険によって労働者が相当する保証を受けられた際には、労働基準法による災害補償は免除されます。


▼労働基準法第84条

(他の法律との関係)
第八十四条 この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』『労働者災害補償保険法


⑥解雇に関する規定

労働者の解雇を行う際には少なくとも30日前に予告しておくことが、労働基準法第20条で規定されています。解雇予告を行わない場合や日数を短縮したい場合は、短縮した期間分の平均賃金を労働者に支払う必要があります。


▼労働基準法第20条

(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


また、解雇の事由については労働基準法第89条に規定された就業規則に明記しておくことが必要です。


▼労働基準法第89条・第89条3号

(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

出典:e-Gov法令検索『労働基準法



法令に基づいた労務管理を行うポイント

法令に基づいた労務管理を行うには、従業員一人ひとりの労働時間や休日を管理することが重要です。特にシフト制のアルバイトの場合には一人ひとりの働く時間が異なることから、労務管理が煩雑になりやすいといえます。

シフト管理システムの『シフオプ』を活用すると、労働時間や休日の自動算出機能や法令違反のリスクがあるシフトに対するアラート機能などによって、法令を遵守した労務管理を効率的に行えます。



まとめ

この記事では、労働基準法について以下の内容を解説しました。


  • アルバイトを雇用する際に知っておきたい労働基準法の規定
  • 法令に基づいた労務管理を行うポイント


労働基準法では、アルバイトを含むすべての労働者を対象とした労働条件の原則や最低基準が定められています。アルバイトを雇用する際には、労働基準法による労働時間や賃金の支払い、有給休暇、災害補償、解雇などについての規定を遵守する必要があります。

煩雑になりやすいアルバイトの労務管理を効率的に行うには、シフト管理システムの活用が有効です。

シフト管理システムの『シフオプ』は、シフトの作成時の労務違反をチェックしてアラートを表示したり、労働時間を自動で算出したりする機能が備わっています。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

資料請求・お問い合わせフォーム


人気のコラム

アルバイトに適用される手当って?その種類や金額

時間外手当・休日手当・深夜手当とは? 勤務形態別でみる計算方法

業種別シフトの特徴。異なる傾向や作成例

業界別繁忙期一覧。忙しい時期はシフト管理が大切!


人気のコラムをもっと見る

導入事例

株式会社シュゼット・ホールディングス

株式会社シュゼット・ホールディングス

ヘルプ勤務による労働力の確保、シフト情報を活用した店舗運営へのアドバイスや採用手法の改善など、様々な業務改革ツールとして「シフオプ」を活用。
シフト管理効率化・人件費管理強化サービスシフオプ利用ユーザー数80,000人突破!資料ダウンロード(無料)
月40時間以上の業務節減!!業務効率化・人手不足対策・人件費・管理強化・シフト管理効率化など...

人気記事ランキング

タグ一覧

関連記事

クローズボタン

利用ユーザー数80,000人突破!

資料ダウンロード(無料)