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労働基準法において休憩時間はどう決まっている? 休憩を付与する際の原則とは

※2024年11月29日更新

労働基準法』は、労働条件の原則や最低基準を定めた法律です。使用者が労働者に付与する休憩時間についても、労働基準法に定められています。

そのため、企業や店舗の管理者は、法律で定められた内容をしっかりと理解したうえで、休憩時間を設けなければなりません。

人事・労務担当者のなかには、「労働基準法において休憩時間はどのように決まるのか」「休憩時間を従業員に付与する際のポイントを知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、労働基準法で定められる休憩時間の概要や決まり方、原則、ポイントについて解説します。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


目次[非表示]

  1. 労働基準法で定められる休憩時間とは
  2. 休憩時間の決まり方
  3. 休憩時間の三原則
  4. 休憩時間を従業員に付与する際のポイント
  5. まとめ


労働基準法で定められる休憩時間とは

労働基準法で定められた休憩時間とは、“労働者が権利として労働から離れることを保証された時間”を指します。

休憩時間を十分に設けることで、長時間労働による以下のリスクを回避しやすくなると考えられます。


▼長時間労働によるリスク

  • 心身に疲労が蓄積する
  • 生産性が低下する
  • 労働災害が発生する など



休憩時間の決まり方

各従業員に対して設ける休憩時間の基準については、労働基準法第34条1項で規定されています。


▼労働基準法第34条1項

(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


労働時間が6時間を超えた場合、8時間以内であれば45分以上の休憩時間、8時間以上であれば60分以上の休憩時間を付与する義務が使用者に生じます。ただし、労働時間が6時間に満たない場合には休憩を付与する義務はありません。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法



休憩時間の三原則

従業員に休憩時間を付与する際には、3つの原則に沿って行う必要があります。


途中付与の原則

休憩時間は労働時間の間に与えなければいけないという原則です。途中付与の原則については、前述した労働基準法第34条1項に明記されています。

具体的な時間の規定はありませんが、出勤直後や退勤直前の休憩は認められません。


▼途中付与の原則に反するケースの例

  • 勤務終了後に休憩室で待機させて休憩時間として扱う
  • 従業員が自ら休憩時間を返上して早上がりする など


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


一斉付与の原則

休憩時間を従業員に一斉に与えなければいけないという原則です。労働基準法第34条2項に規定されています。


▼労働基準法第34条2項

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


ただし、従業員に一斉に付与することが難しい場合には、同条文に規定された労使協定を締結することで例外にできます。

また、一部の業種においては労使協定にかかわらず例外となります。


▼一斉付与の原則が例外となる業種

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


自由利用の原則

休憩時間は自由に利用させなければならないという原則です。労働基準法第34条3項で定められています。


▼労働基準法第34条3項

③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


休憩中に拘束したり、業務に関連する作業をさせたりする場合、その時間は休憩時間には該当しません。


▼休憩時間に該当しないケースの例

  • 電話や来客を待っている時間
  • 接客業で店頭に客がいない時間 など


ただし、以下の業種・職業については自由利用の原則の例外となります。


▼自由利用の原則が例外となる業種・職業

  • 警察官
  • 消防吏員
  • 児童と起居をともにする養護施設の職員


なお、養護施設の職員については、所轄労働基準監督署長の許可を取る必要があります。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


休憩時間を従業員に付与する際のポイント

休憩時間を従業員に付与する際は、労働基準法が労働者全員に適用されることを押さえておく必要があります。また、忙しい業務のなかで法令に沿った休憩時間を確保するには、休憩時間の分割やシフト管理システムの導入などの施策が有効です。


①雇用形態による差を設けない

労働基準法は正社員だけでなくパート・アルバイトにも適用されるため、休憩時間の付与についても雇用形態による差が生じないようにする必要があります。

ただし、正社員とパート・アルバイトで労働時間が異なる場合には、労働基準法第34条1項により付与する休憩時間に違いが生じるケースもあります。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


②まとまった時間を確保できない場合は分割して付与する

休憩時間は分割して付与することが認められているため、業務上まとまった時間を確保できない場合には休憩時間の分割が有効です。

ただし、分割した時間が短すぎると自由利用の原則に事実上反するとみなされ、休憩時間と認められない可能性があります。


③シフト管理システムを導入する

従業員に付与する休憩時間を管理するには、シフト管理システムの導入が有効です。

パート・アルバイトなどで労働時間の異なる従業員がいる場合、それぞれの労働時間に合わせた休憩時間の管理が煩雑になりやすいといえます。

シフト管理システムを導入して各従業員の勤怠状況を可視化することで、従業員の休憩時間を効率的に管理できるようになるほか、法令違反のリスクを軽減できます。

なお、勤怠管理における休憩時間の把握についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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まとめ

この記事では、労働基準法に規定された休憩時間について以下の内容を解説しました。


  • 労働基準法で定められる休憩時間の概要
  • 休憩時間の決まり方
  • 休憩時間の三原則
  • 休憩時間を従業員に付与する際のポイント


労働基準法では、長時間労働によるリスクを回避する目的で休憩時間に関する規定を定めています。

企業は従業員の労働時間に応じて休憩時間を付与しなければなりません。また休憩時間を付与する際には、原則として休憩時間の三原則に沿う必要があります。

ただし、パート・アルバイトなどで労働時間の異なる従業員がいると、休憩時間の管理が煩雑になりやすいと考えられます。休憩時間の管理を効率化するにはシフト管理システムの導入が有効です。

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