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労務コンプライアンスとは。よく見られる違反例と遵守するためにできること

※2024年8月9日更新

企業が守るコンプライアンスの一つに、従業員の雇用や働き方に関する“労務コンプライアンス”があります。

近年、長時間労働による過労死や職場でのハラスメントなどが社会問題となっています。仕事と生活の調和を図り、働きやすい職場環境をつくるために、労務コンプライアンスを徹底することが求められます。

労務管理を担当する管理者のなかには「よくある違反例を知って対策の強化に役立てたい」「労務コンプライアンスの意識を高めたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、労務コンプライアンスの意味やよくある違反例、遵守を徹底するために企業ができることについて解説します。


目次[非表示]

  1. 労務コンプライアンスとは
  2. 労務コンプライアンスの違反例
  3. 労務コンプライアンスを遵守するためにできること
  4. まとめ


労務コンプライアンスとは

労務コンプライアンスとは、労務に関する法令を遵守することです。

例えば、「最低賃金を守る」「法定休日を付与する」「時間外労働の手当を付与する」などが挙げられます。労務コンプライアンスに関連する法律には、主に以下があります。


▼労務コンプライアンスで遵守が求められる法律

  • 労働基準法
  • 労働組合法
  • 最低賃金法
  • パートタイム・有期雇用労働法 など


労働時間・賃金・雇用形態などの幅広い法令を遵守する必要があり、従業員一人ひとりの働き方や労働条件に基づいた運用が求められます。

なお、企業のコンプライアンスが注目される背景については、こちらの記事をご確認ください。

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労務コンプライアンスの違反例

労務コンプライアンスの違反が発生すると、罰則が科せられるおそれがあるほか、従業員による損害賠償請求や退職などにつながり、企業イメージの低下を招く可能性があります。

よくある違反例には、労働時間や賃金、職場でのハラスメントに関する内容が挙げられます。


長時間労働

法定労働時間を超える長時間労働は、労務コンプライアンス違反となる可能性があります。法令違反に該当する例には、以下が挙げられます。


▼長時間労働による労務コンプライアンスの違反例

  • 労使間で36協定を締結せずに時間外労働を行わせた
  • 時間外労働の上限を超えて働かせた など


労働基準法では、労働時間の原則が1日8時間・1週間40時間と定められています。これを超えて働かせる場合には、36協定の締結が必要です。

また、36協定の締結によって行える時間外労働の限度は月45時間・年360時間と定められているほか、特別かつ臨時的な事情があり労使が合意している場合でも、超えられない上限が定められています。

これらの規定を守らずに働かせた場合には、法令違反となり罰則が科せられるおそれがあります。

なお、時間外労働の規定や上限規制については、こちらの記事をご確認ください。

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出典:厚生労働省『労働時間・休日』『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』/e-Gov法令検索『労働基準法


賃金の未払い

従業員の労働に対する賃金を適正に支払っていないことによる違反例です。

労働基準監督署が実施した監督指導の結果によると、2022年における賃金の未払い案件は2万件以上となっており、金額は121億円を超えています。


▼賃金の未払いによる労務コンプライアンスの違反例

  • 従業員の退職後に給与の支払いが漏れていた
  • 一定時刻を超えた残業時間に対する手当を支払っていなかった
  • 労働時間を使用者が把握できておらず、不払いの賃金があった など


労働基準法では、賃金を毎月一回以上、一定の期日を定めたうえで従業員に直接通貨で支払うことが義務づけられています。

また、1日8時間・週40時間を超える時間外労働を行った場合には、通常賃金の25%以上の賃金を支払う必要があります。法定休日に勤務させた場合には、割増率は35%以上となります。

賃金の未払いが発覚すると、労働基準監督署による監督指導や送検、違反事例の公表が行われるおそれがあり、事業継続にも影響をおよぼしかねません。

時間外手当については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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出典:厚生労働省『賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)


ハラスメント

職場の上司・同僚などからパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどが行われる違反もあります。


▼ハラスメントによる労務コンプライアンスの違反例

  • 業務に直接関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせた
  • 妊娠・出産・育児を理由に労働条件を変更した など


2022年6月1日(※)より、すべての企業でハラスメント防止対策が義務づけられました。社内のハラスメントを防止するには、経営層・管理職・従業員を含めた企業全体で意識の強化を図り、早期発見と再発防止を行える体制を整備することが求められます。

※中小事業主は2022年4月1日から適用


出典:厚生労働省『2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!



労務コンプライアンスを遵守するためにできること

企業における法令違反のリスクを防いで、従業員が働きやすい職場環境をつくるには、労務コンプライアンスに関する意識の向上や運用体制の見直しを図ることがポイントです。


①社内研修の実施

労働時間や賃金に関連する法令、ハラスメントなどに関するテーマの社内研修を実施する方法があります。

管理者や従業員向けに社内研修を実施することで、法令に関する理解の促進と意識の向上につながると期待できます。

また、研修とともに社内の相談窓口を設置すると、疑問や悩みを抱える従業員の相談を促して速やかな対処につなげられます。


▼社内研修のテーマ例

  • 雇用や労働時間に関する法令
  • 残業・休日出勤の取り扱い
  • ハラスメントの種類と違反事例
  • トラブルに遭った際の対応 など


②就業規則の見直し

法改正や職場の業務体制などに合わせて、就業規則を見直すことが重要です。

労務コンプライアンスに関するトラブルのなかには、従業員との認識の相違が原因となって生じるケースもあります。法改正が行われた際やトラブルが多い内容については、就業規則で明確に規定しておくことが欠かせません。


▼就業規則の見直しを行う際にチェックするポイント

  • 時間外労働の上限規制に関する規定
  • 同一労働・同一賃金の対応
  • テレワークを実施する際の勤怠管理方法
  • 無期労働契約の転換ルール
  • ハラスメント行為者への処分内容 など


なお、無期労働契約の転換ルールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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③シフト管理システムの導入

シフト制を導入している職場では、シフトの作成段階で法令違反のリスクを発見できるように、シフト管理システムを導入する方法もあります。

シフト管理システムとは、シフトの収集・作成・共有をオンラインで行えるシステムです。法令違反を自動でチェックしてアラートを表示できる機能があると、長時間労働の従業員を把握してシフトの調整を行うことが可能です。

これにより、上限を超える時間外労働や過重な長時間労働を防止できるようになり、労務コンプライアンスの徹底につながります。



まとめ

この記事では、労務コンプライアンスについて以下の内容を解説しました。


  • 労務コンプライアンスの意味
  • 労務コンプライアンスの違反例
  • 労務コンプライアンスを遵守するためにできること


労務コンプライアンスを遵守するには、雇用や労働時間、ハラスメントなどに関する法令の理解を深めるとともに、組織全体での意識の向上が重要となります。

社内で労務コンプライアンスに関する研修を実施したり、法改正や業務体制の変化に応じて就業規則を見直したりすることがポイントです。また、法令違反をチェックできるシフト管理システムを活用すると、長時間労働や上限を超える時間外労働を未然に防止できます。

シフオプ』には、シフトの収集・作成・共有だけでなく労務管理に役立つ機能が備わっています。労働時間の可視化や法令違反のチェックによって、労務コンプライアンスの徹底につながります。

詳しくは、こちらの資料をご覧ください。

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