
アルバイト・パートの社会保険加入条件とは?2026年10月の変更点と注意点を解説
※2026年10月1日更新
アルバイト・パートであっても、一定の条件を満たす場合は、勤務先の健康保険・厚生年金保険への加入が必要です。
短時間労働者への社会保険の適用範囲は段階的に拡大されています。2025年の年金制度改正を受け、2026年10月には「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されました。
これにより、人事・労務担当者は「年収106万円」を加入判定の基準とするのではなく、週の所定労働時間や雇用期間、企業規模などを踏まえて加入対象者を確認する必要があります。
本記事では、アルバイト・パートの社会保険の加入条件や2026年10月の変更点、今後の適用拡大、シフト管理で押さえておきたい注意点について解説します。
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社会保険制度の種類
社会保険とは、病気やけが、老齢、失業、労働災害など、生活や就労上のさまざまなリスクに備えるための公的な保険制度です。
企業の労務管理では、健康保険と厚生年金保険を狭義の「社会保険」、雇用保険と労災保険を「労働保険」として区分することがあります。労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。
主な制度と概要は、次のとおりです。
制度 | 主な概要 |
健康保険 | 業務外の病気やけが、出産などに対して給付を行う |
厚生年金保険 | 老齢・障害・死亡などに対して年金を給付する |
介護保険 | 要介護・要支援状態となった場合に必要な介護サービスを提供する |
雇用保険 | 失業や育児休業、教育訓練などに関する給付を行う |
労災保険 | 業務上・通勤中の病気やけがなどに対して給付を行う |
本記事では、アルバイト・パートの加入条件に特に関係する健康保険・厚生年金保険を中心に見ていきます。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『社会保険加入のメリット』/労働保険特設サイト『労働保険とは』厚生労働省老健局『介護保険制度の概要』
アルバイト・パートへの社会保険適用の拡大について
短時間で働くアルバイト・パートへの健康保険・厚生年金保険の適用範囲は、これまで段階的に広げられてきました。
2016年10月には従業員数501人以上の企業、2022年10月には101人以上、2024年10月には51人以上の企業へ対象が拡大されています。2026年10月時点では、従業員数51人以上の企業などで一定の条件を満たす短時間労働者が加入対象です。
ここでいう「従業員数」は、企業に在籍しているすべての従業員を単純に数えるものではありません。フルタイムの従業員と、週の所定労働時間および月の所定労働日数がフルタイムの4分の3以上となる従業員など、厚生年金保険の被保険者数を基準に判断します。原則として、1年のうち6か月以上、被保険者数が51人以上となることが見込まれる場合に対象となります。法人の場合は、事業所ごとではなく、同一法人に属する適用事業所の被保険者数を合計します。
また、企業規模要件を満たしていない場合でも、労使合意に基づいて事業主が申し出ることで「任意特定適用事業所」となり、短時間労働者を社会保険の加入対象とすることが可能です。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『パート・アルバイトの方への 社会保険の適用について』/日本年金機構『短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大』
2025年の年金制度改正による主な変更点
2025年6月に年金制度改正法が成立し、短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用範囲がさらに拡大されることになりました。アルバイト・パートの雇用に関係する主な変更点は、「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の段階的な縮小・撤廃」です。併せて、個人事業所の適用対象も広がります。
さらに、新たに社会保険の適用対象となる事業所などでは、一定の短時間労働者の本人負担を軽減する「保険料調整制度」が2026年10月から始まりました。
出典:厚生労働省『年金制度改正法が成立しました』/日本年金機構『保険料調整制度とは』
2026年10月に月額8.8万円以上の賃金要件が撤廃
2026年10月1日、通常の労働者の4分の3未満で働く短時間労働者に適用されていた「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されました。
月額8.8万円を年収換算すると約106万円となることから、この基準はいわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきました。厚生労働省では、全国の最低賃金が時給1,016円以上となり、最低賃金以上で週20時間働く場合には月額8.8万円以上となることを踏まえ、賃金要件を撤廃しています。
撤廃後は、「月額8.8万円未満だから加入しない」「年収106万円未満に抑えれば加入対象にならない」とは限りません。週の所定労働時間や企業規模など、ほかの加入要件を確認する必要があります。
なお、最低賃金の減額特例の対象となっている場合など、一部では取り扱いが異なるため、個別に加入要件を確認する必要があります。
出典:厚生労働省『年金制度改正法が成立しました』『[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大』
企業規模要件は2035年10月に撤廃
現在は、従業員数51人以上の企業などが短時間労働者への社会保険適用拡大の対象です。
2025年の制度改正では、この企業規模要件を段階的に縮小し、2035年10月に撤廃することが決まっています。
時期 | 新たに対象となる企業規模 |
~2027年9月 | 51人以上 |
2027年10月~ | 36人~50人 |
2029年10月~ | 21人~35人 |
2032年10月~ | 11人~20人 |
2035年10月~ | 10人以下 |
現在は企業規模要件の対象外となっている中小企業でも、今後、新たに短時間労働者が加入対象になる可能性があります。
人事・労務担当者は、自社の厚生年金保険の被保険者数を確認し、どの時点から適用拡大の対象になるのかを把握しておくことがポイントです。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『パート・アルバイトの方への 社会保険の適用について』/厚生労働省『[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大』
個人事業所の適用対象も2029年10月から拡大
現在、常時5人以上を使用する個人事業所では、法定17業種に該当する場合に健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。
2029年10月からは、この業種要件が撤廃され、常時5人以上を使用する個人事業所は原則として全業種が適用対象となります。ただし、2029年10月の施行時点ですでに存在している、これまで適用対象外だった業種の個人事業所については、当分の間、対象外となる経過措置が設けられています。
そのため、今後新たに個人事業所を開設する場合などは、従業員数だけでなく社会保険の適用対象となるかも確認が必要です。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『個人事業所で働く方への社会保険の適用について』
2026年10月から保険料調整制度が開始
社会保険の適用拡大に伴う就業調整を抑えるため、2026年10月から「保険料調整制度」が始まりました。
対象となるのは、2026年10月以降に任意特定適用事業所となった事業所や、2027年10月以降の企業規模要件の縮小によって新たに特定適用事業所となった事業所などです。
制度を利用すると、標準報酬月額12万6,000円以下の対象となる短時間労働者について、事業主が健康保険料・厚生年金保険料を一時的に追加負担し、本人の保険料負担を通算3年間軽減できます。
事業主が追加負担した分は、その後の保険料から差し引く形で還付されるため、所定の要件を満たす場合、最終的に事業主が納付する保険料が増える仕組みではありません。制度を利用する際は、事業主による申出が必要です。
出典:厚生労働省『[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大』/日本年金機構『保険料調整制度とは』
社会保険の加入対象となる従業員の要件
アルバイト・パートに関係する保険制度は、それぞれ加入条件が異なります。
雇用形態がアルバイト・パートだからといって、本人や企業が自由に加入の有無を選択できるわけではありません。各制度の要件を満たした場合は、原則として加入対象となります。
①健康保険・厚生年金保険
まず、正社員など通常の労働者と比べて、週の所定労働時間と月の所定労働日数が4分の3以上である場合は、原則として健康保険・厚生年金保険の加入対象です。
4分の3基準を満たさない短時間労働者については、2026年10月時点では次の条件を確認します。
週の所定労働時間が20時間以上
2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
学生ではない
対象となる企業規模の事業所で働いている
これまで加入要件の一つとされていた「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。そのため、現在は週の所定労働時間や雇用見込み、学生に該当するかなどを確認して加入対象を判断します。なお、学生であっても、休学中の人や夜間・定時制・通信制課程に在学する人などは加入対象となる場合があります。
企業規模については、2027年9月までは従業員数51人以上の企業などが対象です。2027年10月以降は対象となる企業の範囲が段階的に拡大されるため、加入判定を行う際は、その時点で適用されている条件を確認してください。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『パート・アルバイトの方への 社会保険の適用について』/厚生労働省『年金制度改正法が成立しました』
②介護保険
介護保険の被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である「第2号被保険者」に分けられます。
▼介護保険の加入対象者
65歳以上の人(第1号被保険者)
40歳以上64歳未満の人(第2号被保険者)
勤務先の健康保険に加入している40歳以上65歳未満の従業員については、介護保険料を健康保険料と合わせて納めます。介護保険料は、原則として事業主と従業員が2分の1ずつ負担します。
なお、勤務先の健康保険に加入している従業員については、40歳になると介護保険料の徴収が始まります。
出典:厚生労働省老健局『介護保険制度の概要』
③雇用保険
2026年10月時点では、アルバイト・パートであっても、原則として次の条件を満たす場合は雇用保険の加入対象です。
31日以上引き続き雇用されることが見込まれる
週の所定労働時間が20時間以上
2026年4月1日から2027年3月31日までの一般の事業における雇用保険料率は、合計13.5/1,000です。このうち労働者負担は5/1,000、事業主負担は8.5/1,000となっています。
また、2028年10月1日からは、雇用保険の適用対象となる週の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」へ変更されます。今後は、健康保険・厚生年金保険だけでなく、雇用保険についても対象者が増える可能性があります。
出典:厚生労働省『事業主・被保険者の皆さまへ 令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内』『令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について』『Q1 雇用保険の加入の要件を教えてください。』
④労災保険
従業員を一人でも雇用している事業では、原則として雇用形態にかかわらず労災保険が適用されます。
▼労災保険の対象者
事業主に雇用され、賃金を受け取っている労働者
アルバイト・パートとして雇用する短時間労働者も対象となり、所定労働時間などによる加入条件はありません。
なお、労災保険料は原則として事業主が全額負担し、事業の種類によって労災保険率が異なります。労災保険を含む労働保険の成立手続は、事業の種類に応じて管轄の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)で行います。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署・公共職業安定所『事業主のみなさまへ 労働保険の成立手続はおすみですか 令和8年度版』/厚生労働省『労災補償』
アルバイト・パートが社会保険に加入すると何が変わる?
アルバイト・パートが勤務先の健康保険・厚生年金保険に加入すると、従業員には保険料負担が生じる一方、受けられる保障も変わります。企業側では社会保険料の負担に加えて、資格取得の手続きや給与計算などが必要になるため、加入対象者の増加による影響も確認しておきたいところです。
従業員側の保険料負担と保障が変わる
健康保険・厚生年金保険に加入すると、給与から社会保険料が控除されるため、それまで家族の扶養に入っていた場合などは手取り額が変わることがあります。
一方、厚生年金保険へ加入すると、基礎年金に加えて、加入期間や報酬に応じた厚生年金を受け取れるようになります。健康保険についても、一定の条件を満たした場合は、病気やけがで仕事を休んだ際の傷病手当金や、出産のために仕事を休んだ際の出産手当金などを受けられます。
従業員へ制度を案内する際は、給与から保険料が控除されることだけでなく、加入によって変わる保障についても併せて説明すると理解につながります。
企業側にも保険料負担と手続きが発生する
健康保険・厚生年金保険の保険料は、原則として事業主と被保険者の双方が負担します。
そのため、新たに加入対象となるアルバイト・パートが増えれば、企業側が負担する社会保険料も変わります。資格取得届などの手続きや、給与からの本人負担分の控除といった対応も必要です。
適用拡大によって対象者が増える企業では、加入対象となる従業員の人数を把握したうえで、社会保険料を含めた人件費への影響を事前に確認しておくと対応しやすくなります。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『社会保険加入のメリット』『社内準備・企業等への効果について』
アルバイト・パートの社会保険加入に関する注意点
アルバイト・パートの社会保険加入は、年収だけで決まるものではありません。所定労働時間や雇用期間、企業規模など複数の条件を確認する必要があります。
制度改正に伴って加入条件も変わるため、人事・労務担当者は制度上の要件と実際の勤務状況の両方を把握し、対象者への周知につなげることがポイントです。
「106万円の壁」だけで加入対象を判断しない
2026年10月に、短時間労働者の社会保険の加入要件の一つであった「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されました。
そのため、「年収106万円未満であれば勤務先の社会保険に加入しない」とは限りません。加入対象となるかを確認する際は、週の所定労働時間や企業規模など、ほかの要件も確認する必要があります。
特に確認したいのが、週の所定労働時間です。企業規模などほかの条件を満たしている場合、雇用契約などで定められた週の所定労働時間が20時間以上であれば、社会保険の加入対象となります。
また、従業員本人が加入を希望していない場合でも、加入要件を満たしていれば原則として加入が必要です。本人の希望だけを理由に、加入しない扱いにはできません。
出典:厚生労働省『社会保険の加入対象の拡大について』
「106万円の壁」と「130万円の壁」は仕組みが異なる
「106万円の壁」と「130万円の壁」は、いずれも社会保険に関連して使われる言葉ですが、指している仕組みは異なります。
「106万円の壁」は、短時間労働者が勤務先の健康保険・厚生年金保険へ加入する際の「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件に由来するものです。
一方、「130万円の壁」は、健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者となる際の収入基準に関係します。勤務先の社会保険の加入要件を満たしている場合は、年収が130万円未満であっても、勤務先の健康保険・厚生年金保険へ加入することがあります。
なお、健康保険の被扶養者認定を受ける人が19歳以上23歳未満で、被保険者の配偶者ではない場合は、2025年10月から年間収入要件が「130万円未満」から「150万円未満」に引き上げられています。
さらに、2026年4月からは、労働条件通知書などに記載された賃金から見込まれる年間収入が基準額未満で、ほかの収入が見込まれない場合など、一定の条件を満たせば、労働契約の内容を基に被扶養者認定を行う取り扱いが始まりました。
2026年10月には、いわゆる「106万円の壁」の基となっていた賃金要件が撤廃されましたが、扶養認定に関係する130万円などの収入基準まで撤廃されたわけではありません。両者を混同しないよう注意が必要です。
出典:厚生労働省『社会保険の加入対象の拡大について』『「年収の壁」への対応』/日本年金機構『労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて』『19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります』
所定労働時間と実際の勤務状況を確認する
社会保険の加入判定では、まず就業規則や雇用契約書などに記載されている「週の所定労働時間」を確認します。
ただし、シフト勤務では、人手不足や繁忙期の追加勤務によって、契約上の時間と実際の労働時間に差が生じる場合があります。
所定労働時間が週20時間未満であっても、実際の労働時間が2ヶ月連続して週20時間以上となり、その状態が今後も続くと見込まれる場合は、3ヶ月目の初日から社会保険の加入対象となります。
週20時間前後で働く従業員については、雇用契約の内容を見るだけでなく、実際のシフトや労働時間についても継続的に把握することが求められます。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『社内準備・企業等への効果について』『適用拡大 Q&A』
社会保険への加入前に従業員へ制度を説明する
新たに社会保険へ加入すると、健康保険料や厚生年金保険料が給与から控除されるため、従業員の手取り額が変わる場合があります。
一方で、厚生年金への加入による将来の年金額の変化や、健康保険による傷病手当金・出産手当金など、保障面にも違いが生じます。そのため、「社会保険に入ると手取りが減る」という点だけではなく、なぜ加入対象になるのか、どのような保障を受けられるのかまで含めて説明します。
制度改正後は、従業員が認識している「年収の壁」と実際の加入条件にずれが生じる可能性があります。人事・労務部門から変更内容を周知し、問い合わせに対応できるようにしておくことが大切です。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『従業員への説明ポイント』
社会保険の適用拡大に備えてシフト管理担当者が確認したいこと
社会保険の適用拡大に備えるには、自社が対象となる時期と、加入対象となる従業員を整理することから始めます。また、週の所定労働時間だけでなく実際のシフトも把握し、社会保険料を含めた人件費への影響を継続的に確認できる体制を整えることがポイントです。
加入対象となるアルバイト・パートを洗い出す
まずは、自社の厚生年金保険の被保険者数を確認し、現在の企業規模要件に該当するかを整理します。そのうえで、アルバイト・パートごとに次の情報を確認します。
雇用契約の内容
週の所定労働時間
雇用期間
学生に該当するか
実際の勤務時間
現在は企業規模要件の対象外でも、2027年10月以降は36人以上、2029年10月以降は21人以上と対象範囲が段階的に広がります。2035年10月には企業規模要件が撤廃されます。
将来的な適用時期まで確認しておけば、対象者への案内や人件費の試算なども早めに進めやすくなります。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 『TOPページ』
週20時間前後の従業員のシフトを把握する
2026年10月に賃金要件が撤廃されたあとは、「月額8.8万円」「年収約106万円」といった賃金額ではなく、週の所定労働時間が20時間以上かどうかが加入判定の主な基準の一つとなります。
シフト制の職場では、繁忙期の追加勤務や欠員対応などによって、当初予定していた勤務時間を超えるケースも考えられます。特に週20時間前後で勤務する従業員については、契約上の時間だけでなく、シフト上の勤務時間や実績を確認できるようにしておくことがポイントです。
店舗や現場の担当者だけで情報を持つのではなく、人事・労務部門とも勤務状況を共有できれば、加入対象者の見落としを防ぎやすくなります。
出典:厚生労働省『「年収の壁」への対応』『[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大』
社会保険料を含めて人件費への影響を確認する
社会保険の加入対象者が増えると、企業が負担する健康保険料・厚生年金保険料も変わります。
適用拡大の対象となる企業では、対象者数やシフトだけを見るのではなく、社会保険料を含めた人件費への影響も確認しておきたいところです。
一方で、社会保険への加入を避けることだけを目的として勤務時間を調整するのではなく、従業員の働き方の希望や店舗に必要な人員配置を確認しながら、制度に沿ってシフトを設計する必要があります。
アルバイト・パートが多い店舗や複数拠点を運営している企業では、従業員ごとのシフトや労働時間を一元的に確認できる環境を整えると、加入対象者の把握や人件費管理を進めやすくなります。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト『経営層への説明ポイント』
アルバイト・パートの社会保険に関するよくある質問(FAQ)
Q.年収106万円未満でも社会保険に加入する必要がありますか?
年収106万円未満でも、勤務先の社会保険に加入する場合があります。
2026年10月1日に「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されたため、年収約106万円は加入判定の基準ではなくなりました。4分の3基準を満たさない短時間労働者の場合は、週の所定労働時間や雇用期間、企業規模、学生に該当するかなどの要件を確認します。
Q.週20時間未満なら社会保険に加入しなくてもよいですか?
4分の3基準を満たさない短時間労働者については、原則として「週の所定労働時間が20時間以上」が加入要件の一つです。
ただし、契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が2ヶ月連続して週20時間以上となり、その状態が続くと見込まれる場合は、3ヶ月目から加入対象となります。また、通常の労働者の週の所定労働時間と月の所定労働日数の4分の3以上である場合は、短時間労働者の要件とは別に加入対象となります。
Q.年収130万円未満なら社会保険の扶養のままでいられますか?
年収130万円未満であっても、必ず扶養のままでいられるとは限りません。
「130万円の壁」は健康保険の被扶養者などに関係する収入基準です。一方、勤務先の健康保険・厚生年金保険の加入要件を満たした場合は、年収130万円未満でも勤務先の社会保険へ加入します。
なお、健康保険の被扶養者となる人が19歳以上23歳未満で、被保険者の配偶者ではない場合は、2025年10月から年間収入要件が150万円未満に引き上げられています。
まとめ
この記事では、アルバイト・パートの社会保険加入条件について以下の内容を解説しました。
社会保険制度の種類
アルバイト・パートへの社会保険適用の拡大について
2025年の年金制度改正による主な変更点
社会保険の加入対象となる従業員の要件
アルバイト・パートが社会保険に加入すると何が変わる?
アルバイト・パートの社会保険加入に関する注意点
社会保険の適用拡大に備えてシフト管理担当者が確認したいこと
2026年10月に、短時間労働者の社会保険加入要件の一つであった「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されました。今後は企業規模要件も段階的に縮小され、2035年10月には撤廃されます。
アルバイト・パートの加入対象を確認する際は、「年収106万円」という金額だけではなく、週の所定労働時間や雇用期間、企業規模などの要件を確認することが必要です。また、週20時間前後で働く従業員については、雇用契約だけでなく実際の勤務状況も継続的に把握しておく必要があります。
アルバイト・パートを多く雇用する企業では、従業員ごとの勤務時間を把握しながら、必要な人員配置や人件費を踏まえてシフトを作成することも労務管理のポイントとなります。
シフト管理システム『シフオプ』は、シフト作成時に月・週ごとの労働時間や人件費を確認できます。従業員数が多い店舗や複数拠点を運営する企業で、シフトや勤務時間、人件費をまとめて管理したい場合は、シフオプの活用をご検討ください。


