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労働基準法に違反したらどうなる?さまざまな罰則の決まり

経営者や管理職の方は、「労働基準法」に基づき、従業員が適切な労働環境で働けるように努めなければなりません。それを怠ったり、知らないうちに違反してしまったりすると、従業員とのトラブルになるだけなく、社会的な罰則が科せられます。

ただ、労働基準法で定められていることは多岐に渡るため「どのようなことが労働基準法の違反にあたるのかわからない」ということもあるでしょう。

気づかないうちに違反していることのないように、さまざまな罰則の決まりを理解するようにしましょう。

今回は、労働基準法を違反したときの罰則の内容と罰則例について解説していきます。


目次[非表示]

  1. 労働基準法を違反したときの罰則の内容
  2. 労働基準法違反の罰則例~賃金~
  3. 労働基準法違反の罰則例~労働~
  4. まとめ


労働基準法を違反したときの罰則の内容

労働基準法は「労働時間」「賃金」「休日」などに関して、最低限の条件を定めた法律です。この法律は、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトなど雇用形態問わず、すべての労働者を対象とします。

労働基準法で定められた条件に違反した場合は、労働基準監督署の指導または罰則を受けることになります。では、実際に労働基準法を違反することで、どのような罰則があるのでしょうか?ここでは、罰則を受ける対象者と、罰則の内容について解説していきます。


罰則は誰が受けるの?

労働基準法第10条により「労働基準法上の使用者」というものが定められています。

違反した場合、対象の使用者は罰則の対象になります。

(使用者の定義)

第十条  この法律で使用者とは、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

(引用:厚生労働省│労働基準法 第一章 総則(第一条-第十二条)


「労働基準法上の使用者」を具体的に挙げると

  • 経営者
  • 部長
  • 店長
  • 所長

など各事業において権限を持つ管理者が「使用者」にあたります。

つまり労働基準法に違反した場合は、経営者だけでなく「使用者」とみなされる管理職も罰則対象になります。また、「使用者」だけではなく「会社そのもの」が罰則の対象になることが労働基準法第121条により定められています。


労働基準法に違反した場合の罰則

労働基準法に違反した場合は、前述したように「使用者」および「会社」が罰則を受ける対象になります。では、違反した際には、どのような罰則が与えられるのでしょうか。

違反の内容によって異なりますが、主に与えられる罰則内容は下記の通りです。

  • 1年以上10年未満の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
  • 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 30万円以下の罰金

「懲役」は、刑務所に拘置されてしまう刑罰です。労働基準法違反を犯し、有罪判決が下されると前科者になってしまいます。

「罰金」が下された場合は、違反した罰則として「定められた罰金」を支払う義務が発生します。


労働基準法違反の罰則例~賃金~

使用者と労働者の間に起こりやすいトラブルに「賃金の問題」があります。

トラブルが起きる前に労働基準法に違反していないか確認することは、とても重要なことです。「知らないうちに違反している」ということがないように労働基準法の賃金に関する罰則例をみていきましょう。


賃金の未払いや不払い

原則として給料日には、従業員へ支払う予定の給与を全額支給することができていなければ、違法行為となってしまいます。


働いた分の給与を払っていない、もしくは最低賃金を下回っている

従業員が働いた分の給与の支給は、使用者が求められる義務です。これを違反してしまうと、もちろん処罰の対象になります。

また、各地域で定められている「最低賃金法」に基づいた最低賃金を超える金額を支払うことも求められます。万が一、最低賃金を下回った給与を支払っていた場合、最低賃金法違反となり50万円以下の罰金が科せられます。


決められた給与日に、支払い手続きが完了しない

給与が給料日に支払われない場合、労働基準法第24条違反となり、30万円以下の罰金が科せられます。


残業代の未払いや不払い

残業代の未払い、もしくは不払いがある場合、違反の対象になります。

罰則として、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることがあります。

残業代の未払いや不払いの「よくあるトラブル」の例として挙げられるのが、サービス残業です。残業代の未払いを行っていると、違反行為につながる可能性があります。

労働基準法では、残業をさせた場合、「賃金の計算額の25%以上50%以下の範囲内で、それぞれ政令で定める割増賃金率を支払わなければならない。」と定められています。

残業代は2年以内であれば「退職」「転職」していても、請求権が有効となります。


労災による違反

労働者が仕事中や通勤中に怪我または病気にかかった場合、使用者は必要な療養・休業費用を負担しなければなりません。このことは、労働基準法第75条で定められています。

違反をした場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

また、療養補償・休業補償・障害補償は労働基準法第75条・76条・77条で定められており補償を行う義務があります。

そのほかにも、労働災害により従業員が亡くなったときには、遺族補償や葬祭料を支払う義務についても(第79条、80条)で定められています。


労働基準法違反の罰則例~労働~

使用者と労働者の間に起こりやすい、もう一つのトラブルに「労働の問題」があります。ここでは、どのようなトラブルがあるか紹介をしていきます。


時間外労働

労働者は、原則1週間に40時間までと労働時間が決められています。

この時間を超過した分は、残業とみなされます。残業は労働基準法第36条に基づく「36協定」を締結していないと、残業をさせることができません。万が一、「36協定」の締結をせず残業を与えた場合は、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。時間外労働のトラブルはどの会社でも起こるリスクがあるため注意が必要です。


産前産後休業

使用者は6週間以内に出産予定のある女性が休業を申し出た場合、対象者を就業させてはいけない決まりがあります。また、産後8週間を経過していない女性を就業させてはいけません。違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

ただ、産後6週間が経った女性が「働きたいと」希望し、医師の判断で問題がないと認められれば就業再開することが可能です。

このほかにも女性の出産前、出産後の就業に関する労働基準法は、細かく定められています。さまざまなケースを確認して、違反することがないように注意を払う必要があります。


解雇の予告

使用者は、労働者を解雇する場合、30日前に解雇予告をしなければなりません。もし、30日前の解雇予告なしに解雇実施を行う場合は、30日分以上の平均賃金を支払う義務が発生します。このことは、労働基準法第20条で定められています。

違反すると罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。


まとめ

職場で起こる賃金や労働のトラブルの対処をするためには、労働基準法の知識が必要です。もちろん、詳細なところまで理解する必要はないですが、経営者や管理者の方は大まかにでも知っていれば、いざというときに慌てることなく対応することができるでしょう。

常日頃から適切な労務管理を行うように意識して、業務を遂行していくことが大切です。


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