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従業員の退職が続く原因と企業が行う手続きについて

※2019年3月11日公開の記事に修正を加えています。


企業の人事担当者のなかには、「従業員が次々と退職してしまう」「退職時にトラブルが発生した」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

従業員がなかなか定着しない職場では、退職してしまう原因を把握するとともに、離職を防ぐためにいち早く対策を打つことが重要です。また、やむを得ず退職に至った場合には、適切かつ円滑に手続きを行う必要があります。

今回の記事では、企業における退職トラブルをはじめ、退職時に必要な手続き、離職を防ぐ対策について解説します。


目次[非表示]

  1. 自己都合退職の原因とトラブルの例
  2. 自己都合退職から発生するトラブルの例
  3. 自己都合退職を申し出られた際の対応
  4. 退職時に会社側が行う3つの手続き
  5. 退職者・会社が返却・提出するもの
  6. 人手不足の原因となる離職を防止するには
  7. まとめ


自己都合退職の原因とトラブルの例

一概に「仕事を辞める」といっても、退職には主に4つの種類があります。

  1. 合意退職:労働者と使用者がお互い同意して雇用契約を終了する
  2. 辞職・任意退職:労働者が一方的に雇用契約を終了する
  3. 解雇:使用者が一方的に雇用契約を終了させる
  4. 自然退職:定年・倒産・死亡などで契約が終了する

とくに合意退職と辞職は従業員の自己都合による離職のため、同じように感じますが、少し意味合いが異なります。

合意退職は、労働者が退職願を企業側に提出し、企業側がそれに合意することで成り立つ退職方法です。

一方、辞職については、『民法』第627条第1項で以下のように定められており、退職願に企業側が同意しない場合でも従業員から一方的に退職することが可能です。


▼民法第627条第1項

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:e-GOV法令検索『民法


ここからは、日本における自己都合退職の推移と発生しやすいトラブル例について解説します。


日本における自己都合退職の推移

厚生労働省が発表した『令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況』によると、2011年から2020年までの9年間で自己都合退職に関する相談件数が13,532件増加していることが分かります。


自己都合退職の推移

厚生労働省『令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況』を基に作成


この背景には、平成不況によって自分が求めていた職に就けず、不本意に働かざるを得なかった就業者が増加したことが考えられます。

自己都合退職は、一般的に結婚や介護、病気療養などの個人的な問題で退職することを指します。しかし、なかには人間関係や賃金、労働条件への不満を理由に退職する人もいます。そのため、企業としても従業員が働きやすい会社づくりが必要です。

出典:厚生労働省『平成 25 年若年者雇用実態調査の概況』『平成 30 年若年者雇用実態調査の概況』『令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況


自己都合退職から発生するトラブルの例

従業員が自己都合退職で発生する際、会社都合と主張され、労使間で失業手当についてトラブルになることがあります。

自己都合退職と会社都合退職では、支給される退職金や失業手当の支給日、支給日数などが異なるため、トラブルが発生しやすいといえます。

また、会社側の都合で契約を終了するにもかかわらず、解雇ではなく自己都合退職として扱い、トラブルに発展することもあります。

解雇として手続きを行う場合、企業側の責任が大きくなるため、本来の失業手当や解雇予告手当に加えて、従業員から賠償金を請求される可能性があります。解雇と自己退職のどちらにあたるかは、企業側が一方的に決定せず、従業員との話し合いのもと慎重に判断することが重要です。



自己都合退職を申し出られた際の対応

企業の人手不足が深刻化している現在において、自己都合退職による人材の流出は避けたいところです。一方、従業員に対して無理な引き止めを行うと、ハラスメントとしてトラブルに発展するリスクもあります。

従業員から退職を申し出られた際は、企業側から退職という決断に至った理由をヒアリングして、できる限り雇用契約を継続できるか話し合いを行います。

場合によっては、業務負担の軽減や配置転換、労働時間の短縮など、就業上の対処を行い、労働条件を見直すことで引き続き働いてもらえる可能性もあります。

従業員の意思や希望を尊重したうえで、双方が納得できる方法はないか話し合うことが重要です。そのうえで、自己都合による退職者を増やさないために、業務内容や働き方を見直すことも欠かせません。

出典:e-GOV法令検索『民法



退職時に会社側が行う3つの手続き

従業員が退職する場合、企業は社会保険や税金などの手続きを適切に行う必要があります。ここからは、退職時に企業側が行う3つの手続きについて解説します。


①雇用保険の届出

事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に、『雇用保険被保険者資格喪失届』と『雇用保険被保険者離職証明書』を提出します。資格喪失届は、従業員が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に提出しなければなりません。

なお、離職票に記載される離職理由について、企業と従業員の主張が異なる場合には、ハローワークが事実確認を確認したのち判定が行われます。

出典:厚生労働省『事業主の行う雇用保険の手続き』/国土交通省 北陸地方整備局『雇用保険事務手続きの手引き


②健康保険・厚生年金保険の届出

事業所の所在地を管轄する年金事務所(日本年金機構)に、『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届』を提出します。

全国健康保険協会管掌健康保険に加入していた場合は、以下の添付書類を用意したうえで、退職した翌日から5日以内に提出しなければなりません。


▼添付書類

  1. 健康保険被保険者証(本人分および被扶養者分)
  2. 高齢受給者証、健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証

※2は交付されている場合のみ


なお、厚生年金保険の資格を取得した月の月末以前に退職した場合は、厚生年金保険の納付が必要となります。

出典:日本年金機構『従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き


③住民税の手続き

従業員の住民税を給与から差し引いていた場合は、退職した月の翌月10日までに、住所がある市区町村の税務署に『給与所得者異動届出書』を提出します。

退職した翌月以降の住民税(月割額)については、従業員が退職する時期によって企業の徴収方法が異なるため確認が必要です。


▼退職時期による住民税の徴収方法

退職時期
住民税の徴収方法
1月~4月
給与または退職手当等から住民税を一括徴収する
5月中
通常どおり、最終給与から1ヶ月分の住民税を徴収する
6月~12月
最後の給与・退職手当等から一括徴収する、もしくは普通徴収に切り替えて、従業員が直接納付する

出典:eLTAX『給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書の作成』/大阪市『退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)』/東京都豊島区『こんなときはどうしたら(特別徴収義務者の変更・納税義務者の異動など)



退職者・会社が返却・提出するもの

従業員が退職する際、従業員に返却してもらうものや会社側から従業員・ハローワークへ返却・提出が必要な書面・証明書などがあります。ここからは、退職者と企業でそれぞれ返却・提出が必要なものについて解説します。


退職者から返却してもらうもの

従業員が退職する際は、退職手続きに必要な証明書や業務に使用していた貸与品などを返却してもらいます。


▼退職者に返却してもらうもの

書類・物
詳細
証明書
健康保険証、社員証、タイムカードなど
貸与品
ノートパソコン、携帯、業務マニュアル、顧客名簿、事務所の鍵、制服・作業着、会社の印鑑など


会社から提出・返却・送付するもの

従業員の退職時には、退職者自身が保険や税金に関わる手続きを行うために、書類・証明書の提出が必要です。会社側が発行・返却するものには、以下が挙げられます。


▼提出が必要な書類・証明書

書類・証明書
詳細
離職票
  • 従業員が希望する場合、または59歳以上の退職者の場合には発行が必須
  • 提出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク
年金手帳
  • 社内で保管している場合に返却が必要
  • 返却先:退職者
源泉徴収票
  • 退職日から1ヶ月以内に送付
  • 送付先:退職者
退職証明書
  • 希望に応じて提出
  • 提出先:退職者
雇用保険被保険者証
  • 社内で保管している場合に返却が必要
  • 返却先:退職者



人手不足の原因となる離職を防止するには

人手不足は社会問題となっており、多くの企業において重要な課題とされています。従業員の離職を防ぐためには、退職の理由を知り、適切な対策を講じることが必要です。

内閣府『 平成30年版 子供・若者白書(全体版)』によると、初めて就いた仕事を離職する理由でもっとも多かったのは、「仕事が自分に合わなかったため」(43.4%)という理由でした。次いで「人間関係がよくなかったため」(23.7%)、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」(23.4%)と続いています。


初めて就いた仕事を離職する理由

画像引用元:内閣府『 平成30年版 子供・若者白書(全体版)


業務内容や労働時間、休日などの条件が働き方に見合っていない場合、従業員の不満につながります。このような不満を取り除くためには、従業員の経験・スキルを考慮したうえで、本人へのヒアリングや業務の見直し、労働時間の設定を行うことが大切です。

また、出産や育児など、ライフステージに合わせた柔軟な働き方が選べるように、多様な勤務形態・雇用形態を取り入れることも必要といえます。

出典:内閣府『 平成30年版 子供・若者白書(全体版)



まとめ

この記事では、従業員の退職と企業側が行う手続きについて、以下の内容を解説しました。

  • 自己都合退職の現状とトラブル例
  • 自己都合退職を申し出られた際の対応
  • 退職時に会社側が行う手続き
  • 退職者・企業が返却・提出するもの
  • 人手不足の原因となる離職を防止する方法

従業員の退職は、優秀な人材の流出や人手不足を招きかねない重要な課題の一つです。自己都合による退職をなくすためには、退職の原因や希望条件などをヒアリングして、継続して働いてもらえるような措置を講じることが重要です。

また、退職をめぐって従業員とのトラブルを起こさないために、労使間でよく話し合うとともに、必要な手続きを適切かつスムーズに行うことも大切です。

さらに、離職理由となりうる要因にいち早く対処することも、従業員の退職を防ぐために欠かせません。「人材の定着率が低い」「理由が分からず退職してしまう」といった悩みを抱える企業は、離職の原因を探るとともに、適正な人員配置・賃金設定などを見直し、働きやすい職場づくりに力を入れてはいかがでしょうか。

なお、業務やスキルに応じた適正な人員配置には、シフト管理システムの『シフオプ』が有効です。雇用形態や勤務形態が異なる従業員のシフト管理も可能なため、今後多様な働き方を取り入れていきたい企業さまにもおすすめです。

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