看護師のシフト表はどう組む? スタッフの希望を反映するためのポイント
※2023年7月28日更新
看護師の人数が多く、日勤や夜勤がある交代制の職場の場合、シフト表を組むことはとても複雑な作業になります。毎回、シフトを組むたびに頭を悩ませている担当者さまも少なくありません。
シフトを作成・管理している方のなかには、「スタッフの予定や休みの希望を可能な限り反映させたシフトはどう作成すればいいのか」「希望に沿ったシフトを作成するときのポイントは何か」と悩んでいる担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、看護師のシフト表作りで、メンバーの予定や休み希望を反映するためのポイントを解説します。
看護師が働くシフト表のパターン
夜勤のある病棟の看護師の場合、一般的には二交代制または三交代制でシフトを組みます。この2つは、日勤以外の勤務時間が大きく異なります。
シフト作成の際には、現場で採用している交代制の特徴を考慮してシフトを調整することが重要です。
二交代制
二交代制は、勤務時間を日勤と夜勤の2つに分けるシフトです。病院によって異なりますが、勤務時間は日勤を約8時間程度、夜勤を約16時間程度とされていることが多くあります。
▼二交代制勤務の例
画像引用元:厚生労働省鹿児島労働局『病院における取組事例等の紹介』
夜勤明けの休みがしっかり取れること、スケジュール管理がしやすいことなどがメリットとして挙げられます。
三交代制
三交代制は、1日を3等分したシフトです。一般的に日勤・準夜勤・深夜勤をそれぞれ8時間ずつ組み合わせます。
▼三交代制勤務の例
画像引用元:厚生労働省鹿児島労働局『病院における取組事例等の紹介』
三交代制は勤務時間が短く、家事や育児との両立や、残業が発生しにくいことがメリットです。しかし、シフトによっては日勤の次に夜勤が組まれていたり、夜勤明けに準夜勤になっていたりするなど、時間や体調管理が難しいことがデメリットです。
出展:厚生労働省鹿児島労働局『病院における取組事例等の紹介』
看護師のシフト表を作成する際の悩み
交代勤務が一般的な看護師のシフト表作成は複雑です。シフト作成時の悩みとして、以下の内容が主に挙げられます。
▼看護師のシフト表を作成する際の主な悩み
- スタッフの配置調整が複雑
- 人員配置基準が定められている
- 労務規則の厳守とシフト希望の調整
現在、看護師は人材不足が問題となっています。必要とされる人数に対して、出勤できる人数が少ないことが多く、シフトの調整が複雑です。
また、医療施設には種類ごとに、病床区分別の人員配置標準が定められています。この基準をベースにして、日勤や夜勤があるほか早出や遅出などのシフトを組むことが必要です。
▼医療法に基づく人員配置基準について
画像引用元:厚生労働省『医療法に基づく人員配置標準について』
さらに、月間の休日数や夜勤数、連続出勤回数には労務規則が定められています。労務規則を厳守するとともに、看護師から出される希望を反映しなければなりません。
このように看護師のシフト作成は複雑で、ミスが出やすくなることが悩みとして挙げられます。
なお、看護師の人手不足については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出展:厚生労働省『医療法に基づく人員配置標準について』/e-Gov法令検索『医療法』『医療法施行規則』
希望に沿ったシフト表を作成するポイント
苦労して組んだシフト表であっても、勤務するスタッフから不満が出ることがあります。スタッフの希望に沿ったシフト表を作成するためには、健康やワークライフバランスを保てるような環境とルールの整備が必要です。
ここでは、それを実践するためのポイントについて解説します。
①正循環勤務を導入する
正循環勤務とは、シフトの勤務開始時間を勤務日に準じて、日勤、準夜勤、深夜勤と、順番に遅くなるようにずらしていくことです。
人間の1日の生体リズムは約25時間であり、1日ごとに1時間ずつ時計回りで後ろにズレていく計算です。このことから、人間は就寝時間や起床時間を遅くずらしていくことは容易ですが、早くずらしていくことは困難であるといわれています。この特性に合わせて日勤、準夜勤、深夜勤の順番で、勤務開始時間を遅くしていくことで、夜勤による心身への負担を軽減できると考えられます。反対に、深夜勤、準夜勤、日勤と、順番に早くしていく逆循環勤務では、十分な心身の休息がとれず、疲労が蓄積されていきます。
日勤を9:00〜18:00、準夜勤を17:00~翌1:30、深夜勤を01:00~9:30とした場合の、正循環勤務と逆循環勤務の例は、以下の通りです。
▼正循環勤務と逆循環勤務の例
パターン |
1日目 |
2日目 |
3日目 |
4日目 |
5日目 |
6日目 |
正循環 |
日勤 |
準夜勤 |
明け(非番) |
深夜勤 |
休み |
日勤 |
逆循環 |
日勤 |
深夜勤 |
準夜勤 |
明け(非番) |
休み |
日勤 |
②休みを取得しやすい勤務計画を作る
プライベートと仕事のワークライフバランスを保つためには、休みの希望を取りやすい勤務計画を作ることが重要です。休みを取得しやすい勤務計画を作ることで、看護師にとって無理のない、心身ともに健康的なシフトが作成できます。そのためには、休み希望を取りやすく全員が納得できる、公平なルールを設けることが重要です。
たとえば、休暇希望日の提出を早めに設定しておくと、ほかの看護師のシフトとも調整がしやすくなります。ほかにも、休みの希望を取りやすくするシフト希望申請に関するルールの例として、以下のものが挙げられます。
▼勤務計画におけるルールの例
- 休みの希望数や連続の休暇日の上限を決める
- 希望の働き方や家庭の事情に応じて、夜勤の回数を決める
- 連続休暇についての方針を設定する
- 避けた方がよい勤務パターンを明示しておく
- 定期的に勤務体制やシフトの運用について話し合いの場を設ける など
③勤務間インターバル制度を導入する
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、11時間以上の休息時間を設ける『勤務間インターバル制度』を導入することも有効です。
勤務後から次の出社までに十分な休息時間を確保することで、生活時間や睡眠時間を確保できます。また、実質的に夜勤回数も制限されるため、心身の健康維持につながります。
▼勤務間インターバル制度の具体例
画像引用元:厚生労働省東京労働局『勤務間インターバル制度について』
勤務間インターバル制度は、働き方改革の一環として『労働時間等の設定の改善に関する特別措置法』が改正され、2019年に施行されました。ただし、勤務間インターバル制度の導入は義務ではなく、事業主の努力義務として定められています。
▼労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第2条第1項
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。 |
引用元:e-Gov法令検索『労働時間等の設定の改善に関する特別措置法』
努力義務のため罰則はありませんが、長時間労働の防止や、生活時間・睡眠時間の確保といった心身の健康維持のために、導入することが推奨されています。
出展:厚生労働省東京労働局『勤務間インターバル制度について』/e-Gov法令検索『労働時間等の設定の改善に関する特別措置法』
④シフト作成ツールを活用する
シフト作成ツールを活用することで、看護師の希望に沿ったシフトを作りやすくなります。看護師のシフト申請状況が一目で確認できるため、それに沿った人員配置を調整しやすくなります。
シフト作成ツールは、基本のシフトパターンを登録し、それをモデルシフトとして自動的にシフトが作成されるシステムです。自動作成されたモデルシフトを基に、微調整を加えてシフトを完成させます。
また、シフト作成ツールには、シフト申請システムが搭載されていることがほとんどです。シフト申請システムが搭載されていると、看護師の希望シフトの申請状況がモデルシフトに反映されるため、希望に沿って人員配置を調整しやすくなります。
労務規程違反やリスクのあるシフトには、警告が自動表示されるものもあり、法令を遵守したシフト表づくりにつながります。
看護師の複雑なシフト表作りにはシフオプが有効
看護師のシフト作成には複雑な要素がいくつも絡んでいます。そのため、毎回人の手でシフトを組むことは大変な作業です。
シフト作成・管理システムの『シフオプ』を使うことで、看護師の複雑なシフト表作りを簡単に行えます。例えば、看護師がシフト希望をスマートフォンやパソコンから入力するとリアルタイムで管理画面に反映され、申請状況を一目で確認できます。また、労務規定に違反しているシフトがあった場合でも、アラートで注意を促せます。
まとめ
この記事では、看護師のシフト表について以下の内容を解説しました。
- 看護師が働くシフト表のパターン
- 看護師のシフト表を作成する際の悩み
- 希望に沿ったシフト表を作成するポイント
看護師が働くシフトのパターンには二交代制と三交代制があります。看護師のシフト表を作成する際には、看護師のメンバー数が多いことや、人員配置基準、夜勤の存在が悩みの種です。
シフト作成において、看護師の希望に沿ったシフトを組むためには、看護師の健康やワークライフバランスを保てるような環境とルールの整備が重要です。シフト作成・管理システムの『シフオプ』を使うことで、このような看護師の複雑なシフト作成を簡単に行うことができます。
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