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パートタイマーの労働時間に上限はある? 労務管理のポイントとは

※2024年6月21日更新

厚生労働省の『令和3年 パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況』によると、パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業は75.4%に上ります。企業の慢性的な人手不足が大きな課題となるなか、パートタイマーは重要な働き手として活躍していることが分かります。

ただし、パートタイマーは正規雇用の労働者(以下、正社員)と労働時間や勤務形態が異なるケースがあります。人事・労務担当者のなかには「パートタイマーに労働時間の上限はあるのか」「シフト管理や労務管理の注意点はないか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、パートタイマーにおける労働時間の上限や注意点、労務管理を行う際のポイントについて解説します。


出典:厚生労働省『令和3年 パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況


目次[非表示]

  1. パートタイマーの定義
  2. パートタイマーにおける労働時間の上限
  3. パートタイマーの労働時間に関する注意点
  4. パートタイマーの労働時間を管理する際のポイント
  5. まとめ


パートタイマーの定義

パートタイマーとは、同一の事業主が雇用する通常の労働者と比較して、1週間の所定労働時間が短い労働者のことです。ここでいう“通常の労働者”とは、以下に該当する労働者を指します。


▼通常の労働者

  • 正社員
  • 無期雇用のフルタイム労働者


アルバイトや準社員、嘱託といったように名称が異なる場合でも、通常の労働者と比較して1週間の所定労働時間が短い労働者については、パートタイマーと同じ意味で扱われます。

なお、パートタイマーを雇用する際には、通常の労働者と比較して労働条件や賃金などに不合理な待遇差を設けることが禁止されています。パートタイマーへの公正な待遇と働きやすい労働環境を整備するために、『パートタイム・有期雇用労働法』が規定されています。

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出典:厚生労働省『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし』『パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために



パートタイマーにおける労働時間の上限

パートタイマーにおける労働時間の上限は、通常の労働者と法律上の違いはありません。『労働基準法』第32条では、原則として1日8時間・週40時間の法定労働時間が定められており、パートタイマーを含むすべての労働者に適用されます。


▼労働基準法第32条

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


法定労働時間を超えて時間外労働を行わせる場合には、労使協定(36協定)を締結して労働基準監督署へ届け出る必要があります。

また、時間外労働については原則月45時間・年360時間までとなっているほか、臨時的な特別な事情があった場合でも超えられない上限が定められています。


▼臨時的な特別な事情があっても超えられない時間外労働の上限(特別条項)

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計が複数月平均で1ヶ月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6ヶ月まで


なお、時間外労働の上限規制や割増賃金については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説



パートタイマーの労働時間に関する注意点

パートタイマーのなかには、税金の控除や社会保険の配偶者扶養を受けるために、従業員の意思で労働時間を制限するケースがあります。

パートタイマーの年収が一定額を超えると、住民税や所得税が課税されるほか、社会保険の加入対象となって毎月の給与から社会保険料が引かれることになります。

このような税金や社会保険に関する年収額の一定ラインは、一般的に“年収の壁”と呼ばれています。


▼税金や社会保険に関わる年収の壁

年収の上限

内容

100万円

住民税が課税される年収の上限

103万円

所得税が課税される年収の上限

106万円

一定の条件を満たすパートタイマーやアルバイトが、勤務先での社会保険の加入対象となる年収の上限

130万円

社会保険の扶養から外れる年収の上限

150万円

扶養者の配偶者特別控除を満額で受けられる、被扶養者における年収の上限

201万円

配偶者特別控除を受けられる被扶養者における年収の上限


給与の手取り額を減らさないために、年収の壁を意識して働きたいと考えるパートタイマーもいるため、従業員一人ひとりの希望に応じて労働時間を調整したシフトを組むことが求められます。

なお、年収の壁についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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また、厚生労働省では、2023年10月から2025年度末まで、パートタイマーやアルバイト労働者が年収の壁を気にせずに労働できる環境づくりを支援する『年収の壁・支援強化パッケージ』を開始しています。詳細や手続きの方法は厚生労働省のホームページをご覧ください。

年収の壁・支援強化パッケージ


出典:厚生労働省『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし』『年収の壁・支援強化パッケージ



パートタイマーの労働時間を管理する際のポイント

法定労働時間や時間外労働の上限を遵守したうえで、パートタイマーが希望する年収額を超えないようにするには、労働時間を適正に管理することが重要です。


➀勤怠管理をデジタル化する

パートタイマーの労働時間を正確に把握するには、勤怠管理をデジタル化することがポイントです。手書きの出勤簿やタイムカードを用いて勤怠管理を行っている場合には、以下のような課題が生じやすくなります。


▼アナログな方法による勤怠管理の課題

  • 日ごと・週ごとの勤務状況を集計するのが大変になる
  • 記入・集計ミスが発生する可能性がある
  • 紛失すると労働時間を把握できなくなる など


勤怠管理システムを導入して、ICカードやスマートフォンなどからオンラインで出退勤の打刻ができると、勤務状況をリアルタイムで把握することが可能です。手動で一人ひとりの労働時間を集計する必要がなくなるため、ヒューマンエラーの防止につながります。

時間外労働が発生しているパートタイマーを把握して、速やかにシフトの調整を行うことによって、法定労働時間や時間外労働の上限規制を遵守できます。

また、勤怠管理システムに勤務記録を蓄積できると、パートタイマーの人数が多い場合でも社内に保管スペースを確保する必要がなくなるほか、紛失のリスクを避けられます。


②シフト管理システムを導入する

年収の壁を考慮してシフトを組むには、シフト管理システムが役立ちます。

パートタイマーによって希望する働き方は異なります。店舗の繁閑状況や休み希望などを踏まえたうえで、一人ひとりの年収条件を考慮してシフトを組むことは決して簡単とはいえません。

シフト管理システムを活用すれば、パートタイマーが希望する年収条件をあらかじめ設定して、勤務日や労働時間の調整を行えるため、年収の壁に対応しやすくなります。

また、シフト管理システムのなかには、法定労働時間や時間外労働の上限を超えるシフトに対してアラートが表示される機能が備わったものもあります。シフトを作成する段階で長時間の時間外労働を防止することが可能です。



まとめ

この記事では、パートタイマーの労働時間について以下の内容を解説しました。


  • パートタイマーの定義
  • パートタイマーにおける労働時間の上限と注意点
  • パートタイマーの労働時間を管理する際のポイント


パートタイマーには、正社員と同じ労働時間の上限が定められています。法定労働時間または時間外労働の上限を超えないように、シフト作成や労務管理を行うことが求められます。

また、税金の控除や社会保険の扶養控除を受けるために、一定の年収額に収めたいと考えるパートタイマーもいます。従業員一人ひとりの希望を聴取したうえで、年収の壁を超えないようにシフトの調整を行うことが重要です。

シフト管理システムの『シフオプ』には、法令違反のリスクがある時間外労働のほか、正社員やアルバイトなどのグループごとに労働時間の上限を個別に設定して、シフト作成時にアラートを表示する機能が備わっています。これにより、「知らないうちに年収の上限をオーバーしていた」といったトラブルを防ぐことが可能です。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

  シフオプ│資料請求・お問い合わせフォーム https://form.k3r.jp/rjb_shift/01


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