
外国人アルバイトの給与計算と雇う際の注意点
近年、外国人がアルバイトとして働くのを見かける機会がとても多くなってきました。
今回の記事では、外国人アルバイトが入ってきたときに、知っておきたいポイントをまとめて紹介していきます。
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外国人でも最低賃金は同じ
外国人労働者と聞くと、時給に差があるのでは?と想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん外国人であっても最低賃金は日本人と同じ金額となります。
最低賃金法は、日本で働く全ての労働者が対象の法律なのです。そのため使用者は、日本人であっても高校生であっても、もちろん外国人であっても、最低賃金以上の賃金を支払う義務があるのです。
また、最低賃金は地域だけでなく、職種によって異なる場合があります。
電子機器の取り扱いや、鋼鉄業など、専門的な技術を要する場合には「特定最低賃金」という割増賃金が設定される職業もあるのです。
最低賃金を下回る賃金で労働させた場合には、30万円以下の罰金を支払うことや、今後の新規採用に大きな悪影響があるため、しっかりと確認しておきましょう。
外国人アルバイトの労働可能時間は短い
日本で労働できる外国人の在留資格は6つあります。これらの在留資格はアルバイト契約の際に「在留カード」を見せてもらうことで判断できます。
外国人アルバイトを雇う際には、必ずこの「在留カード」を確認するようにしましょう。
永住者 | 日本国に許可を得て永住している外国人 |
---|---|
定住者 | 5年を超えない範囲で居住が認められている外国人 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者や、子供、特別養子の外国人 |
永住者の配偶者等 | 永住者の配偶者や、子供、特別養子の外国人 |
留学生 | 日本の大学・大学院などに留学中の外国人 |
家族滞在 | 外国人の家族として扶養を受けている外国人 |
永住者・定住者・日本人の配偶者等や、永住者の配偶者等であれば、日本人と同じ条件で労働することが可能です。
しかし、留学生と家族滞在の場合、1週間の労働時間の限度は「原則28時間以内(残業時間を含む)」であることに注意しましょう。
また、留学生は学校の長期休暇期間に限り、「1週間40時間以内(残業時間を含む)」に拡大することも覚えておきましょう。
これらの時間を超えた労働が確認されると、使用者・労働者両方にペナルティが与えられます。
使用者には
「3年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれか、あるいは双方」
労働者には
「強制退去または、今後のビザ更新が不可」
このようにお互いにとっても大きな痛手となるペナルティが用意されているため、ダブルワークの確認や、シフト管理を徹底して行うようにしましょう。
また、ここで挙げた以外の「短期滞在」「文化活動」などの在留資格では、日本での労働が禁止されているため注意が必要です。
外国人の中でも居住者と非居住者で課税区分が違う
労働時間に関する区分を6つ紹介しましたが、次は税金に関する区分を紹介します。
税金に関する区分は「居住者」「非居住者」の2つです。
- 居住者ー国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人
- 非居住者ー「居住者」以外の個人
この「居住者」と「非居住者」は所得税法上の取り扱いが違ってきます。
居住者の場合は日本人と変わりませんが、非居住者の場合は支払う給料の源泉徴収の税率が一律で20.42%となるのです。
そのため、居住者・非居住者の見極めは重要ですが、上記のように判断基準が主観的で曖昧なものとなっているため、大抵の場合は以下の基準で判断されています。
居住者 | 非居住者 |
---|---|
予定滞在期間が1年以上の外国人 実際の滞在期間1年未満だが、1年以上滞在している外国人 | 予定滞在期間が1年未満の外国人 |
(参照:大阪総合労務会計事務所|居住者と非居住者の判定の仕方)
外国人アルバイトを雇う際は届出が必要
外国人アルバイトを雇った際、離職した際には、ハローワークに「外国人雇用届出書」を提出する必要があります。
雇用した外国人が雇用保険に加入するかどうかで、届出事項に違いがあるためよく確認するようにしましょう。
雇用保険に加入する場合 | 雇用保険に加入しない場合 |
---|---|
①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域⑦資格外活動許可の有無⑧雇入れにかかる事業所の名称および所在地など、取得届に記載が必要な事項 | ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域⑦離職にかかる事業所の名称および所在地など、喪失届に記載が必要な事項 |
(参照:厚生労働省|外国人を雇用する事業者の方へ)
外国人アルバイトを10人以上雇う場合
外国人留学生を1人雇うと、その留学生の紹介などでほかの留学生もアルバイトに入ってくるというケースは少なくありません。
その場合、9人までは通常通りに採用することができますが、10人を超えて採用する際には10人の中から 「雇用労務責任者」を選任する必要があります。
「雇用労務責任者」には、特に昇給などの義務はありませんが、労働条件や、環境、福利厚生などを管理する義務があることだけ頭に入れておきましょう。
(参照:厚生労働省|外国人を雇用する事業者の方へ )
外国人アルバイトの給与計算もできるシフト管理ツール
シフオプでは、ビザの種類によって労働可能時間が異なる外国人アルバイトのシフト作成時に、万が一可能時間を超えたシフトを作成してしまってもアラートで知らせるので安心です。複雑な時間の計算をしてくれるだけでなく、コンプライアンスに沿ったシフトも作成できるので、一石二鳥の効率化が期待できます。
まとめ
外国人労働者には、基本的に日本人と同じ最低賃金と労働環境を用意しなくてはなりません。一見するだけだと、さまざまな条件や手続きがあり大変だと思われるかもしれませんが、日本人の雇用でも、社会保険や雇用保険の加入手続きは発生しますので、慣れてしまえば苦にはなりません。人手不足問題の解決のほか、今後ますます増える訪日観光客への対応のためにも、海外語が話せる貴重な人材を積極的に採用している会社も増えています。雇用の際は、しっかりと時間や給与について確認し、お互いが気持ちよく働けるようにしましょう。
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