
労務費とは?人件費との違いや計算方法、内訳について
労務費という言葉は聞いたことがあっても、人件費との違いがはっきりと分からず、あやふやな方も多いのではないでしょうか。労務費は会計用語の一つですが、企業の経営改善や店舗運営においても重要な言葉です。
今回の記事では、人件費との違い、計算方法や内訳を含め、労務費について解説します。
シフオプ を使えば、シフト作成時に人件費計算が自動でされるため 、より人件費を意識したシフト作成が可能です。
目次[非表示]
労務費と人件費の違いとは?
一般的に人件費とは、給与・賞与・手当等の費用を指します。会計処理における人件費は、目的に応じて労務費・販売費・一般管理費の3つに細分化されます。
労務費はそのうちでも「商品の製造に直接かかわる人の給与・賞与・手当等」のみを指します。販売費は「商品の販売に必要な人の給与・賞与・手当等」を指し、一般管理費は「社員管理、仕入れや在庫管理に必要な人の給与・賞与・手当」を指します。
このため、サービス業・小売業などでは労務費が発生することなく、人件費が販売費と一般管理費で占められている場合が多いです。労務費は生産数に影響するためコストカットがしづらいので、特に管理が重要視されています。
労務費の内訳
この労務費の内訳は、以下の5つに分類されています。
①賃金
製造部門に従事する従業員の給与を指します。基本給のほか、時間外労働や休日出勤などで発生した割増賃金も含みます。ただし、これは正社員や契約社員など月給制の従業員の給与のみ該当します。
②雑給
製造部門に従事する従業員のうち、アルバイトやパートタイムなどの時給制で働く人の給与を指します。割増賃金が支給されている場合も、正社員や契約社員とは別に雑給でそのまま計上します。
③従業員賞与手当
従業員の賞与(ボーナス)や各種手当(家賃補助、通勤交通費、家族手当など)を指します。
④退職給付費用
退職金支払いに備え一定金額を積み立てている費用を指します。製造部門に従事する社員の退職金分のみ、労務費として原価扱いになります。
⑤法定福利費
健康保険や厚生年金保険などの社会保険料や、雇用保険や労災保険などの労働保険料を指します。こちらも製造部門で働く社員の分だけを計上します。
直接労務費と間接労務費
粗利を求めたり、コストを見直したりする際に原価計算を行うことがあります。
原価計算は、費目別計算→原価部門別計算→製品別計算の3ステップで行いますが、このうち、労務費は最初の費目別計算で計算することになります。
費目別計算では、直接労務費と間接労務費の二つに大別して考えます。特に労務費は売上原価の中で大きな位置を占めますので、分類をしっかりと把握しておきましょう。
①直接労務費
直接労務費は、工程や作業時間が明確で製品別に把握できる労務費を指します。
内訳としては、
- 直接製造にかかわる作業をする正社員と契約社員の給与(賃金)
- 直接製造にかかわる作業をするアルバイトやパートタイマーの給与(雑給)
のみが該当します。
具体的には、製造ラインに従事するライン工や、各種工作機械を扱う機械加工従事者など製造に直接かかわる従業員の給与です。
②間接労務費
間接労務費は、残りの製品別に把握できない労務費をすべて含みます。
内訳としては、
- 間接的に製造にかかわる作業をする正社員や契約社員の給与
- 間接的に製造にかかわる作業をするアルバイトやパートタイマーの給与(雑給)
- 従業員賞与手当
- 退職給付費用
- 法定福利費
が該当します。
具体的な給与の内訳は、生産管理・工程管理・品質管理など、製造工程の中でも検査や管理業務に従事している従業員の給与です。
研究開発部門に従事する社員の給与は、研究開発費に集計されて一般管理費として計上します。ただし、製造部門に従事している従業員がまれに研究開発を行うようなケースでは、研究開発の割合が少ないため実務上全額を労務費として計上することがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。人件費や労務費の計算には会計の知識が必要なので難しく感じますが、一つずつ紐解いていけば混乱することはありません。
労務費や人件費は原価計算や粗利計算に必要な概念ですので、ぜひこの機会に覚え、経営改善に役立ててください。
人気のコラム
従業員の退職が止まらない!その原因や企業が知っておきたいポイント