
人件費を削減・是正するメリットと注意点。シフト制の企業におけるシフト作成のコツとは?
※2023年7月28日更新
人件費は、企業の経営において多くの比重を占める経費です。経営者にとって、人件費を削減・是正することは重要な課題の一つといえます。
しかし、人員不足が社会問題となっている今、「現場業務は忙しいが、これ以上人員を増やせない」「うちでは削減が難しい」などと悩まれている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、人件費を削減・是正するメリットと注意点、シフト制の企業における人件費の削減・是正を行うためのシフト管理のコツを紹介します。
人件費を削減・是正するメリット
人件費は、従業員の雇用にかかる費用全般を指しており、企業の経費において多くの比重を占めています。人件費を削減・是正することで、以下のメリットが期待できます。
▼人件費を削減・是正するメリット
- 営業利益(粗利)を向上できる
- 金融機関からの融資を受けやすくなる
- 資金をほかの目的に活用できる
人件費を削減・是正すると、売上高を占める人件費の割合(売上高人件費率)が下がり、営業利益の向上につながります。
営業利益(粗利)が向上すれば、金融機関からの企業の評価も高まることから、融資が受けやすくなるメリットが期待できます。
また、これまで人件費に充てていた資金を、設備投資や新しい事業展開、ITツールの導入などに活用することが可能です。その結果、事業の成長や生産性向上、労働環境の改善などにつながることが期待できます。
人件費を削減・是正するときの注意点
人件費を削減・是正すると企業にとってさまざまなメリットが見込めますが、いくつか注意点があります。
▼人件費を削減・是正するときの注意点
- 人手不足になる可能性がある
- モチベーションの低下を招くおそれがある
人件費を削減・是正するために、現場に配置する人員を減らすと人手不足に陥ってしまう可能性があります。人手不足が発生すると、業務が回らなくなり事業の運営に支障をきたしたり、一部の従業員に負担がかかったりするおそれがあることに注意が必要です。
また、従業員の給与や福利厚生を削って人件費を削減する場合には、従業員のモチベーションが低下してしまいます。モチベーションの低下は、仕事の生産性に影響するほか、不満が溜まって離職につながるリスクもあります。優秀な人材が流出してしまうと、ほかの従業員の離職を招くことも考えられます。
このようなリスクを防ぐためには、直接的に人員や給与・福利厚生を削るのではなく、人員配置を最適化して余剰人員による人件費の負担を減らすことが重要です。
人件費の削減・是正のコツはシフト管理の最適化
シフト制の企業において、現場に負担がかからないように人件費を削減・是正するには、シフトの作成段階で人員配置の最適化を図ることがカギとなります。
ここからは、シフト作成において人員配置を最適化するコツを4つ紹介します。
①繫閑状況を把握する
シフトを作成する際に、現場の繁閑状況を把握することが重要です。従業員を忙しい時間帯に増やして、落ち着く時間帯に減らすことで人件費を最適化できます。
例えば飲食店の場合、忙しくなるランチタイムの時間帯に従業員を多く配置して、夕方の来店客が落ち着く時間帯には最小限に人員数を抑える方法が考えられます。
②必要な従業員数を確定させる
人員配置の最適化を図るためには、繫閑状況を踏まえたうえで時間当たりに必要な従業員数を確定させておく必要があります。
時間ごとに必要な従業員数を把握できていない状態でシフトを作成すると、人員の余剰・不足が発生して、人件費予算を超過したり、人手不足が発生したりする可能性があります。シフトを作成する際は、過去の売上データを基に必要な従業員数を予測することが重要です。
③人時売上高を算出する
シフトを作成する際の人件費予算を決めるために、人時売上高を算出することが重要です。人時売上高とは、従業員一人に対する1時間当たりの売上高のことを指します。売上高から総労働時間を割って算出します。
▼人時売上高の計算式
人時売上高=売上高(円)÷総労働時間(h)
例えば、10人の従業員が5時間労働した店舗で、売上高が10万円だった場合の人時売上高は、以下のとおりです。
▼人事売上高の計算例
100,000円÷(10人×5h)=2,000円/h
この店舗の粗利率を60%とした場合、2,000円×60%=1,200円が従業員一人当たりの1時間で稼いだ粗利となります。
仮にこの人時売上高を2500円/hに上げるには、売上高を25,000円増やすか、労働時間を10時間減らす必要があります。
人時売上高を算出することで、人員配置が適切な状態になっているかを判断できるようになります。また、目標を設定することで、予算に応じて配置する人員数を調整しやすくなります。
④短時間で働ける人材を確保する
柔軟にシフトの人員調整が行えるように、短時間で働ける人材を確保することも必要といえます。
人件費を削減・是正するためには、“一日あたりの給与”ではなく“時間単位の給与”で考えることが重要です。フルタイムで働いてくれる人材だけでなく、短時間で働ける従業員がいると、繁閑状況に合わせて柔軟にシフトを組みやすくなるため、余剰人員が発生してしまうことを防止できます。
シフトの見える化で人件費をコントロール!
シフト作成の段階で人員配置を最適化するには、「どの時間帯に何人の従業員を配置する必要があるか」を把握しておく必要があります。
紙媒体でシフトを管理している場合、時間ごとに必要な従業員数や人件費などを算出するのが難しくなります。シフトを見える化して、人件費を考慮しながら人員配置を行うためには、シフト管理システムを活用することが有効です。
シフト管理システムの『シフオプ』では、時間帯別の人員配置状況や人件費予算を見ながら、「どの時間に人員が足りていないのか」「その日の人件費はいくらなのか」をひと目で把握することが可能です。
シフト作成画面では、従業員別・日別・月別などの切り口で出勤人数・時間・人件費などを確認できます。
▼シフオプのシフト管理画面
このように、人員配置の過不足を視覚的に把握することで、時間当たりのシフト管理がしやすくなっています。
まとめ
この記事では、人件費の削減・是正について以下の内容を解説しました。
- 人件費を削減・是正するメリット
- 人件費を削減・是正するときの注意点
- 人件費の削減・是正のコツ
- シフトの見える化で人件費をコントロールする方法
人件費を削減・是正すると、営業利益が向上して、金融機関からの融資を受けやすくなったり、資金をほかの目的に活用できたりするメリットがあります。ただし、単にシフトの人員を減らしたり、給与を削減したりすると、人手不足や従業員のモチベーション低下につながるリスクがあります。
このようなリスクを回避しつつ人件費の削減・是正を図るには、人員配置を最適化して余剰人員による人件費の負担を減らすことが重要です。また、シフトを作成する際は、時間ごとに必要な従業員数や人件費などを見える化できるシステムを活用することが有効です。
シフト管理システムの『シフオプ』は、従業員別・日別・月別などの切り口で、出勤人数・時間・人件費を見える化できるため、予算に応じて人員を調整しやすくなります。
詳しいサービス内容については、こちらからお問い合わせください。