
深刻な保育士人材不足の原因とは?雇用側ができる対策を紹介
※2025年1月30日更新
日本における社会問題のひとつとして、保育所の待機児童問題が挙げられます。子どもを保育所に預けて働きに出たい家庭が増えるなかで、保育所に応募しても当選せず、子どもを預けられなくて困っているケースがあります。
待機児童が発生してしまう原因のひとつが、保育士の人材不足です。
保育業界における人事・労務担当者のなかには、「保育士が不足してしまう原因が知りたい」「雇用側で行える対策はないのか」などとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、保育士の人材不足について、現状や原因、雇用側で行える対策を解説します。
なお、保育士のシフト管理についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
解消されない保育士の人材不足
人材不足を示す指標の一つに、有効求人倍率の高さがあります。こども家庭庁の資料によると、2024年10月における保育士の有効求人倍率は3.05倍となっており、全職種平均の1.27倍と比較して非常に高くなっています。
▼保育士の有効求人倍率の推移
画像引用元:こども家庭庁『保育士の有効求人倍率の推移(全国)』
保育士の登録者数そのものは年々増えているものの、保育士免許を持っていても保育士として従事していない“潜在保育士”が多く、人材不足の解消には至っていません。
▼保育士の登録者数と従事者数の推移
画像引用元:こども家庭庁『保育士の復職支援の強化について』
出典:こども家庭庁『保育士の有効求人倍率の推移(全国)』『保育士の復職支援の強化について』
保育士の人材不足の原因
保育士が不足する原因としては、賃金の低さと業務負担の大きさが挙げられます。
賃金の低さ
賃金の低さが原因で保育士になることを避けたり、辞職したりする場合があります。
厚生労働省の『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、保育士の所定内給与額は以下のようになっており、全職種の平均よりも低い水準にあることが分かります。
▼所定内給与額の平均
職種 |
所定内給与額の平均 |
全職種 |
318,300円 |
保育士 |
264,400円 |
※『令和5年賃金構造基本統計調査』を基に作成
業務負担の大きさ
保育士が人材不足になる原因として、業務負担の大きさがあります。
保育士の仕事においては、保育業務以外にも、書類の作成や保育に関するリスト管理などさまざまな業務があります。季節ごとのイベントに対する企画や準備なども必要です。
これらの業務は子どもたちがいる時間帯には行いにくいことから残業や休日出勤、自宅での持ち帰り業務につながり、保育士の負担となっています。
保育士の人材不足解消のために雇用側ができること
保育士の人材不足を解消するためには、待遇の改善と業務の見直しが重要です。また、離職者に対する再就職支援制度を利用する方法もあります。
待遇の改善
保育士の賃金を引き上げて待遇を改善することで、離職の防止や新たな人材の確保が期待できます。
保育士の賃金を引き上げる手段としては、『保育士処遇改善等加算』を活用する方法があります。保育士の賃金改善やキャリアアップへ向けた取り組みを行う保育所に対して、人件費に充てるための補助金が支給されます。
▼処遇改善等加算Ⅰの仕組み
画像引用元:こども家庭庁『公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について』
出典:こども家庭庁『公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について』
業務の見直し
保育士の人材不足を解消するには、業務の見直しが重要です。
▼業務の見直し例
- 業務を棚卸してそれぞれの優先順位を見直す
- 業務に含まれている非効率な作業フローを取り除く
- イベントの頻度や規模を必要に応じて調整する
- ICTシステムを導入して各業務の効率を向上させる
- 人員配置を見直して業務負担が偏らないようにする など
業務を見直して保育士の業務負担を軽減することで、離職を防ぎやすくなります。
離職者の再就職支援制度の利用
行政では、保育士・保育所支援センターを設置して離職した潜在保育士の再就職・活用支援を実施しています。
保育士・保育所支援センターを利用することで、潜在保育士を雇用するためのシフト・求人条件・マッチングなどに関する助言が受けられます。
まとめ
この記事では、保育士の人材不足について以下の内容を解説しました。
- 解消されない保育士の人材不足における現状
- 保育士の人材不足の原因
- 保育士の人材不足解消のために雇用側ができること
保育士の有効求人倍率はほかの職種と比べても高く、慢性的な人材不足に陥っています。
保育士の人材不足を解消するには、待遇や業務の見直しによって、賃金の低さや業務負担の大きさの改善を図ることが有効です。
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