
アルバイト・パートは有給休暇の対象? 付与条件や給与の算出方法を解説
※2026年1月23日更新
年次有給休暇(以下、有給休暇)は、アルバイトやパートでも一定の要件を満たせば、付与の対象となります。
有給休暇とは、休暇を取得してもその日の分の給料(賃金)が支払われる制度です。
従業員の心身の疲労回復やゆとりある生活を保障するために実施されています。要件を満たす従業員には、適切に有給休暇を付与しなければならないと法律で定められています。
この記事では、有給休暇の付与条件や日数、支払う給与の算出方法などを詳しく解説します。
※この記事の内容は、2025年12月25日時点の情報に基づいています。
目次[非表示]
アルバイトやパートに有給休暇を付与しないことは違法
有給休暇は、すべての労働者に与えられる権利です。“すべての労働者”には、正社員や契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態による区別はありません。
アルバイトやパートでも、毎年一定の日数を働く従業員であれば、有給休暇を付与する必要があります。
「アルバイトやパートに有給休暇の制度はない」と取り決めたり、有給休暇の取得を拒否したりすることは、労働基準法違反にあたるため注意が必要です。

画像引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
有給休暇を与えなかった場合や、正当な理由なく取得を妨げた場合、使用者には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。これは事実として法律に定められている内容であり、事業規模の大小は関係ありません。正しい知識を持たないまま運用すると、意図せず法令違反に該当するリスクがあるため注意が必要です。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
アルバイトやパートの有給休暇付与の改正ポイント
法改正により、有給休暇の管理は企業にとってより重要になっています。2019年4月施行の改正労働基準法では、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日以上を確実に取得させることが企業の義務となりました。
この義務は正社員だけでなく、一定の条件を満たすアルバイトやパートも対象です。有給休暇が付与されているにもかかわらず、年5日以上取得させていない場合、企業側の管理体制が問われる可能性があります。
また、労使協定を締結することで、有給休暇を時間単位で取得できる制度の導入も可能です。短時間勤務のアルバイトやパートにとって利用しやすく、シフト調整の負担軽減にもつながります。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
有給休暇を付与する条件
有給休暇は、以下の2つの要件を満たす従業員に10日付与する必要があります。
▼有給休暇の要件
- 雇入れの日から6ヶ月が経過している
- 全労働日の8割以上出勤している

画像引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
初回の有給休暇を付与するのは雇入れの日から6ヶ月後となりますが、その後は勤続年数によって付与する有給休暇の日数が増える仕組みです。
また、アルバイトやパートなどの所定労働日数が少ない場合でも、以下の2つの条件に当てはまる従業員であれば、有給休暇の付与対象となります。
▼労働日数が少なくても有給休暇の付与対象となるケース
- 週所定労働日数が4日以下、かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者
- 1年間の所定労働日数が48~216日までの労働者
- 上記の要件を満たす従業員には、労働日数に応じて比例的に有給休暇を付与する必要があります。
出典:厚生労働省『労働基準情報:FAQ (よくある質問)』/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
有給休暇の付与日数
アルバイトやパートであっても有給休暇を付与する必要がありますが、労働日数によって付与される日数が異なります。勤続年数に対する有給休暇の付与日数は、以下のとおりです。
▼勤続年数と有給休暇の付与日数
雇入れの日から起算した勤続期間 | 付与される休暇の日数 |
0.5年 | 10労働日 |
1.5年 | 11労働日 |
2.5年 | 12労働日 |
3.5年 | 14労働日 |
4.5年 | 16労働日 |
5.5年 | 18労働日 |
6.5年以上 | 20労働日 |
厚生労働省『 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。』を基に作成
このように、6ヶ月後から勤続1年ごとに付与日数が増えていき、4年目以降は1年で2日ずつ有給休暇が増えます。有給休暇の付与日数の上限は20日間となっており、付与されてから2年後には有給休暇の権利が消滅する仕組みです。
また、上記の労働時間に満たないアルバイトやパートなどの従業員には、所定労働日数に応じて比例的に有給休暇を付与します。
▼所定労働日数における有給休暇の付与日数
週所定労働日数 | 1年間の 所定労働日数 | 雇入れ日から起算した継続勤務期間(単位:年) | ||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 以上 | ||
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
厚生労働省『 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。』を基に作成
なお、有給休暇は1日単位で付与することが原則ですが、労使協定を締結すれば時間単位で付与することも可能です。ただし、その場合は1年で5日分までが上限となります。
出典:厚生労働省『年次有給休暇とは』『 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。』/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』
有給休暇における給与の算出方法
有給休暇を付与する際の給与は、どのように定められているのでしょうか。
『労働基準法』第39条第9項によると、有給休暇の給与については、以下の3つの方法から選択するようにと規定されています。
- 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
- 平均賃金
- 健康保険法に定める標準報酬日額
基本的には、1.2の算出方法が採用されますが、労使協定を締結すれば③を選択することも可能です。いずれの方法を採用するかについては、就業規則に定めておく必要があります。
それぞれの内容や給与の計算方法について解説します。
①所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
“所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金”とは、通常勤務した場合と同額の給料を指します。
有給休暇を1日付与する場合、アルバイトやパートをするうえで定められている労働時間分と同額の給料を支払う必要があります。
②平均賃金
平均賃金とは、過去3ヶ月に支払われた給料の平均金額を指します。
ただし、賃金が時給(時間額)・日給(日額)・出来高給で定められていて、労働日数が少ないケースもあります。そのようなケースでは、賃金の総額を労働日数で割った6割にあたる額を算出して、どちらか高い額を平均賃金とします。
以下の2つのうち、金額が高い方を採用します。
▼平均賃金の算出方法
- 過去3ヶ月間の賃金合計÷過去3ヶ月間の暦日数
- 過去3ヶ月間の賃金合計÷過去3ヶ月間の労働日数×0.6
なお、過去3ヶ月間の賃金合計は、締切日ごとに算出します。通勤手当・皆勤手当・時間外手当は賃金に含みつつ、税金や社会保険料などを控除する前の賃金総額を算出する必要があります。
出典:厚生労働省 神奈川労働局『平均賃金について【賃金室】』
③標準報酬日額
健康保険の標準報酬日額とは、通常支払われている給料を基準に規定されている健康保険の“標準報酬月額”を30で割った額のことです。
標準報酬日額の10円未満を四捨五入した額を支払いますが、標準報酬には上限があるため、従業員にとっては不利になる場合もあります。
そのため、給与の算出方法に標準報酬日額を用いる場合は、労使協定の締結が必要です。なお、健康保険に加入していない方の場合は、この方法を選択できません。
出典:厚生労働省『年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています』
有給休暇を付与するときの注意点
労働者へ適切に有給休暇を付与するために、以下の5つの注意点を押さえておくことがポイントです。
①年5日の取得義務がある
2019年4月の改正労働基準法の施行によって、使用者は、法定の有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対して、年に5日の有給休暇の取得が義務化されました。
義務化の背景として、職場や同僚への気兼ね、ためらいなどによって、有給休暇の取得率が低いことを踏まえて、取得を促進させる目的があります。
年5日の有給休暇を付与する例は、以下のとおりです。
▼例:2022年4月1日に入社した従業員
- 6ヶ月後の2022年10月1日に10日分の有給休暇を付与
- 翌年2023年9月30日までに、年5日の有給休暇を取得させる
年に5日の有給休暇を確実に取得させる方法として、以下のいずれかを選択する必要があります。
▼有給休暇を確実に取得させる方法
- 使用者による時季指定
- 労働者自らの請求・取得
- 有給休暇の計画的付与制度による取得
使用者による時季指定とは、使用者が有給休暇の取得時季を指定して従業員に取得させる方法です。企業側の一方的な時季指定はトラブルに発展しやすいため、従業員の意見を聴取したうえで、できるだけ希望に沿うように取得時季を設定することが重要です。
従業員が取得した有給休暇の合計が1年で5日に達した場合には、使用者が時季指定をして取得させる必要はありません。
有給休暇の計画的付与制度とは、義務とされる付与日数の5日を除いた残りの日数について、計画的に休暇取得日を割り振る制度です。計画的付与制度を利用する際は、労使協定の締結が必要です。
出典:厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得』
②有給休暇を妨害すると罰則が科される
要件を満たす従業員に対して、年次有給休暇の取得を妨げる行為を行った場合、違反内容に応じて異なる罰則が科されるおそれがあります。
▼労働基準法違反になるケースと罰則内容
- 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合
30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
- 使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合
30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
- 労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
法令に基づいて適切に有給休暇を取得してもらうために、スムーズに有給休暇を取得できる体制づくりが必要です。有給休暇を取得しやすい体制をつくることで、自発的な有給申請を促して、心身の回復や働きやすい職場環境につなげられます。
例えば、以下のような取組みが挙げられます。
▼有給休暇の取得を促進させる取組み例
- 誕生日休暇や結婚記念日休暇制度を導入して、有給休暇を取得してもらう
- 閑散期に有給休暇の取得について社内で周知する
また、「忙しくて有給休暇を取れない」という事態を防ぐために、事前に有給休暇の取得スケジュールを従業員に共有してもらい、業務量を調整することも有効な取組みです。
出典:厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得』
③事業運営に支障がある場合は時季変更権を行使できる
労働者が指定した日に有給休暇を取得すると、事業の正常な運営が客観的に妨げられる場合、使用者は時季変更権を行使できます。
ただし、「忙しい」「人手が足りない気がする」といった主観的な理由だけでは認められません。代替要員の確保が不可能な場合など、客観的に業務に見て支障が生じると認められるケースに限られます。
安易な時季変更は労使トラブルにつながるため、行使する際は慎重な判断が求められます。
④有給休暇を取得するのに理由は不要
有給休暇の取得にあたって、労働者には理由を会社に申告する法的な義務はありません。
有給休暇は労働基準法で認められた権利であり、どのように利用するかは基本的に本人の自由です。したがって、申請時に詳細な理由を書く必要はなく、「私用」や「所用」といった簡単な表現で十分です。
一方で、会社が取得理由を尋ねる行為そのものが直ちに違法になるわけではありません。ただし、理由の内容によって有給の取得を拒否したり、答えないと取得できない扱いにしたりすることは違法となる可能性があります。
実務上は、理由を細かく聞いたり執拗に詮索したりすると、労働者にプレッシャーを与え、有給取得をためらわせる要因になることがあります。「詳細な理由は問わない」という運用ルールを共有し、不要な摩擦を避けることが望ましいです。
⑤有給休暇の買取りはできない
有給休暇は、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とした制度であるため、その日数を金銭で買い取ることは原則として認められていません。
例外として、例えば、退職により有給休暇を取得する機会がなくなる場合には、労使の合意のもとで未消化分を金銭で精算することが認められます。
また、付与から2年が経過し、時効によって消滅した有給休暇について、会社が任意で金銭を支払うこと自体は違法とはされていません。さらに、法定日数を超えて企業が独自に付与している休暇については、就業規則等で定めたうえで買取りを行うことが可能とされています。
ただし、これらはいずれも例外的な扱いであり、恒常的に有給休暇を買い取る運用は違法と判断されるおそれがあるので注意が必要です。
出典:厚生労働省 鹿児島労働局『年次有給休暇』
まとめ
この記事では、アルバイトやパートへの有給休暇の取得に関して、以下の内容を解説しました。
アルバイトやパートに有給休暇を付与しないことは違法
アルバイトやパートの有給休暇付与の改正ポイント
有給休暇を付与する条件
有給休暇の付与日数
有給休暇における給与の算出方法
有給休暇を付与するときの注意点
たとえアルバイトやパートであっても、一定要件を満たす従業員には、有給休暇を付与することが義務付けられています。
有給休暇を付与する条件には、勤続年数や日数が定められているため、従業員の勤続年数・労働日数を適切に管理しておくことが欠かせません。
また、2019年4月からは年5日の有給休暇取得が使用者に義務化されているため、従業員の有給休暇の取得状況を管理したり、取得を促したりする対応も必要です。
法令に基づいて有給休暇を付与するために、スムーズに有給申請ができる体制の見直しも重要です。
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