
シフト作成のコツ。効率的な組み方と注意点
※2024年2月9日更新
毎月のシフト作成は、店舗を円滑に運営するために欠かせない業務の一つです。
シフトを作成する際には、従業員の休み希望や店舗の繁閑状況、人件費の予算などを考慮して人員を割り当てる必要があります。
シフト管理を行う担当者のなかには「シフトの作成に時間がかかる」「従業員の希望をうまく反映できず不満が出ている」などの悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、基本的なシフトの種類と生じやすい課題、効率よくシフトを組むコツについて解説します。
基本的なシフトの種類
シフトの形態には、主に3つの種類があります。店舗の営業時間や運営体制、従業員による働き方の希望などを踏まえて検討されます。
自由シフト制
自由シフト制は、従業員の休み希望を基にシフトを組む形態です。
働く曜日や時間帯が固定されていないため、従業員がプライベートの予定に合わせて休みを取りやすくなります。
ただし、従業員数が多く店舗の営業時間が長くなるほど、勤務日・勤務時間帯の調整が難しくなり、シフト管理者に負担がかかりやすくなります。
固定シフト制
固定シフト制は、従業員一人ひとりの働く曜日・時間帯が固定されている形態です。休み希望に沿って勤務日を調整する必要がないため、シフト管理者の業務負担を削減できます。
ただし、急な欠勤が出た場合に代わりの人員を見つけるのが難しくなったり、従業員が柔軟に休暇を取りにくくなったりする可能性があります。
完全シフト制
完全シフト制は、早番・中番・遅番などの勤務時間帯のパターンを決めたうえで、従業員の休み希望を基にシフトを組む形態です。
区分化された勤務時間帯に沿って必要な人員を割り当てるため、繁閑状況に応じて人員数を調整しやすくなります。ただし、働く時間帯が変動することによって従業員の生活リズムが崩れやすいことには注意が必要です。
シフト作成で生じやすい課題
シフトを作成する際に生じやすい課題には、以下が挙げられます。
▼シフト作成で生じやすい課題
- 休み希望に関する不満が出る
- 特定の従業員に負担がかかってしまう
- 必要な時間帯に人員数が不足する
- 紙媒体や表計算ソフトでの管理に労力がかかる
「休み希望が反映されていない」「出勤できないと伝えていた日にシフトに入れられる」といった休み希望に関する問題は、従業員の不満につながります。特定の従業員だけ忙しい時間帯に配置したり、負担の大きい業務ばかりに対応させたりすると、心身の疲労につながる可能性もあります。
また、従業員のシフト希望を基にシフトを組む現場では、時間帯によって必要な人員数が不足したり、人員数を確保できていてもスキルに偏りが出たりすることも考えられます。人手不足が起こると、店舗の運営やサービスの品質にも影響を及ぼすリスクがあります。
さらに、紙媒体または表計算ソフトを利用してシフトを作成している場合には、休み希望に沿った人員の割り当てや勤務時間の調整が煩雑化しやすくなり、時間と労力がかかってしまいます。
シフトを効率よく組む4つのコツ
シフトを作成する際は、曜日・時間帯に応じて必要な人員数を確保するとともに、従業員の経験やスキルを考慮して人員を配置することが求められます。効率よくシフトを組むコツには、次の4つが挙げられます。
①休み希望のルールを決める
「休み希望が通らない」「特定の人ばかり優遇される」といったシフトの不満をなくすには、勤務日や休み希望に関するルールを定めることが有効です。
シフト希望のルールを定めることで公平なシフトを作成できるようになり、従業員の不平不満を防いで働きやすい職場環境へとつながります。
▼休み希望に関するルールの策定例
- 土日祝の休み希望は3日までにする
- 3連休以上の休み希望は1~2ヶ月前に相談する
- 4日以上の休み希望には優先順位を決める
- 急な休み希望の場合、振替出勤が可能かを報告する
また、学業や家庭の用事などの個別に配慮が必要な場合には、従業員と話し合いのうえで柔軟に対応することが求められます。
②モデルシフトを作成する
モデルシフトとは、シフトを作成する際の基礎となる定型的なシフトパターンを指します。
シフトを作成する際には、必要な人員数を踏まえて人員を割り当てるため、従業員の休み希望をすべて反映することは難しくなります。
現場の繁閑状況や人件費予算を踏まえたうえで、曜日・時間帯ごとに必要な人員数を洗い出したモデルシフトを作成することで、従業員の希望を踏まえつつ過不足のない人員配置を行いやすくなります。
ただし、モデルシフトのとおりにシフトが埋まらないケースも考えられます。事前に各従業員が勤務できる時間帯・曜日や希望する出勤数などを聞いておくことで、人員調整がしやすくなります。
なお、人件費の適正な割合についてはこちらの記事で解説しています。
③従業員のスキル・役割を考慮する
シフトを作成する際は、従業員のスキル・役割を考慮することも重要です。
スキルや役割を考えずに人員配置を行うと、特定の従業員に負担がかかったり、円滑に業務が進まなくなったりする可能性があります。
▼スキル・役割を考慮したシフトの組み方
- ベテランの従業員を指導係にして、新人の従業員と一緒にシフトに入れる
- 作業指示をする管理者や現場責任者が各時間帯で不足・重複しないようにする
また、あらゆる業務に対応できるマルチスキルを持つ人材を育成しておくと、柔軟にポジションを変えて不足した人員を補いやすくなります。
④シフト管理システムを導入する
効率的にシフトを作成するには、シフト管理システムの導入が有効です。
紙媒体のシフト表に手書きしたり、表計算ソフトで作成・編集したりする場合、以下の問題につながりやすくなります。
▼手書きや表計算ソフトを用いる場合の問題
- 労働時間や人件費の計算、法令チェックが大変
- 転記作業や手動での計算でミスが発生しやすい
- シフトを作成しながら人員の過不足を可視化するのが難しく、人員調整に時間がかかる
シフト管理システムを導入することで、労働時間や人件費、人員の投入状況などを可視化して、シフト作成の業務を効率化できます。
シフト管理システムの『シフオプ』では、シフトの収集・作成・共有をシステム上で行えます。人員の過不足や人件費、労働時間が可視化されるため、シフト作成にかかる労力・時間を削減できます。
▼シフオプの主な機能
- システム上で従業員の休み希望を収集する
- モデルシフトを基に手動で人員配置や調整を行う
- 従業員へメールまたはアプリケーション上でシフトを共有する
シフト作成を行う際の注意点
シフトを作成する際は、労務コンプライアンスを遵守するとともに、従業員の収入に関する希望を考慮する必要があります。
時間外労働の上限を遵守する
法定労働時間は1日8時間・1週40時間と定められており、これを超える場合には36協定の締結が必要です。
36協定を締結した場合でも時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間までと定められており、臨時の特別な事情がない限りこの原則を超えることはできません。
また、働き方改革に伴う労働基準法の改正によって、特別条項付きの36協定における時間外労働の上限が新たに定められています。
▼時間外労働の上限規制
画像引用元:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
シフトを作成する際は、従業員一人ひとりの日・週・月ごとの労働時間を計算して、時間外労働の上限を超えていないか確認することが重要です。
なお、時間外労働の詳細なルールについてはこちらの記事で解説しています。
出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
割増賃金を支払う
時間外労働や休日労働、深夜労働を行った場合には、通常の時給に対して一定割合以上の割増賃金を支払う必要があります。
▼割増賃金の種類と割増率
画像引用元:厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター 割増賃金編』
給与計算を行う際は、労働時間や勤務時間帯を集計して、割増賃金を正しく支払えているか確認することが重要です。
割増賃金の詳しい計算方法については、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
出典:厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター 割増賃金編』
年収の壁を考慮する
年収の壁とは、社会保険の加入や所得税・住民税が発生するラインとなる年収額の上限を指します。
親または夫・妻の扶養に入っていたり、アルバイトを掛け持ちしていたりする従業員がいる場合には、年収額の上限に関する希望を聞いたうえでシフトの労働時間を調整する必要があります。
▼シフト作成に関わる年収の壁
年収の上限 |
内容 |
100万円 |
住民税が課税される年収の上限 |
103万円 |
所得税が課税される年収の上限 |
106万円 |
一定の条件を満たすパートタイム労働者やアルバイトが、 勤務先での社会保険の加入対象となる年収の上限 |
130万円 |
社会保険の扶養から外れる年収の上限 |
150万円 |
扶養者の配偶者特別控除を満額で受けられる、 被扶養者における年収の上限 |
201万円 |
配偶者特別控除を受けられる被扶養者における年収の上限 |
社会保険や税金に関わる年収の壁については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
出典:厚生労働省『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし』
まとめ
この記事では、シフトの組み方について以下の内容を解説しました。
- シフトの基本的な種類
- シフト作成で生じやすい課題
- シフトを効率よく組むコツ
- シフト作成を行う際の注意点
シフトの作成では、従業員の休み希望や人件費予算、法令の遵守、年収の壁などのさまざまな要素を考慮する必要があります。紙媒体や表計算ソフトを利用する場合には、労力・時間がかかるほか人的ミスも発生しやすくなります。
法令を遵守した公平なシフトをより効率的に作成するには、シフト管理システムの活用が有効です。『シフオプ』を活用すると、シフト管理工数を72%削減して、シフト管理に関する業務負担の軽減に貢献します。
詳しくは、こちらの資料をご覧ください。