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深刻化する人手不足の現状と解消に向けた4つの対策

※2020年3月30日公開の記事に修正を加えています。

アルバイト・パートの採用において、「求人を出しても応募がこない」「すぐに辞めてしまう」といった悩みを抱えている担当者の方もいるのではないでしょうか。

働き続けたいとは考えているものの、希望する労働条件に合わない、生活と両立できないという理由から、やむなく離職してしまう人も少なくありません。

このように、単純な求職者の不足だけでなく、労働条件や労働環境も人手不足の要因の一つと考えられます。企業としては、就労条件や職場環境の課題を認識したうえで、採用促進・定着率向上に向けて取組むことが重要です。

この記事では、人手不足の現状と解消するための対策方法について解説します。


目次[非表示]

  1. 人手不足の原因と現状
  2. 有効求人倍率の推移
  3. 企業における人手不足の対策方法
  4. まとめ


人手不足の原因と現状

現在、日本のほぼすべての産業において人手不足が加速しています。厚生労働省の発表によると、2021年時点では多くの業種が人手不足の課題を抱えている状況です。

出典:中小企業庁『2021年版「小規模企業白書」 第3節 雇用の動向


人手不足の主な原因

人手不足の原因の一つとして、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が挙げられます。

内閣府の『令和4年版 高齢社会白書』によると、15〜64歳の生産年齢人口は2021年時点で7,450万人で、総人口の59.4%です。

また、2030年には6,875万人、2040年には5,978万人と減少することが推計されており、人手不足がさらに進行していくといえます。


▼人口の推移と将来推計

人口の推移と将来推計

画像引用元:内閣府『令和4年版 高齢社会白書


生産年齢人口の減少によって、人材確保の競争はさらに進むと考えられます。人手不足への早急な対応が求められます。

出典:内閣府『令和4年版 高齢社会白書


人手不足が深刻な業界

人手不足が深刻な業界として、医療・福祉業、建設業、運輸・郵便業、サービス業など幅広い業種が挙げられます。

厚生労働省の『労働経済動向調査』によると、2022年5月1日時点で正社員等労働者、パートタイム労働者の不足を感じている業界は、以下となっています。


【産業別労働者過不足判断D.I.(Diffusion Index:変化の方向性を表す指標)】

▼正社員等労働者(1位~5位)

産業
D.I.
①医療・福祉
53ポイント
②建設業
49ポイント
③運輸業・郵便業
48ポイント
④学術研究・専門・技術サービス業
44ポイント
⑤情報通信業
42ポイント

厚生労働省『労働経済動向調査』を基に作成


▼パートタイム労働者(1位~5位)

産業
D.I.
①宿泊業・飲食サービス業
50ポイント
②サービス業(他に分類されないもの)
43ポイント
③生活関連サービス業・娯楽業/医療・福祉
35ポイント
④卸売業・小売業
33ポイント
⑤運輸業・郵便業
31ポイント

厚生労働省『労働経済動向調査』を基に作成


▼医療・福祉業

少子高齢化によって介護福祉の需要が増加することで、人材の需要・供給のバランスが崩れることが考えられます。


▼建設業

若い世代の不足や職人の高年齢化が深刻な問題です。若い世代が不足している原因には、労働に対する賃金が低いこと、休みが取りづらいことなどが挙げられます。


▼運送業

ネット通販の爆発的な成長によって、配達サービスの需要が高まり、配達員の不足が起きている現場も少なくありません。


▼宿泊業・飲食サービス業

アルバイト・パートなどの非正規雇用の従業員も多数在籍しています。そのため、入れ替わりが激しく、慢性的な人手不足が起きているケースもあります。

このような人手不足に対応するためには、福利厚生の充実や勤務体制の見直しなど、長く働ける職場環境の整備が重要です。

なお、人手不足が深刻な業界とその現状については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  人手不足が深刻な4つの業界。その現状について 業界や企業規模によって人手不足の状況は異なります。自社の特性に応じた具体的な対策を講じるために、業界の特徴を把握しておくのは重要です。今回は、特に人手不足が深刻化している4つの業界について紹介します。 シフオプ

出典:厚生労働省『労働経済動向調査』『令和3年版 労働経済の分析



有効求人倍率の推移

2019年まで上昇傾向にあった有効求人倍率は、コロナ禍の影響で減少しました。しかし、依然として有効求人倍率が1倍を超える売り手市場が続いています。

有効求人倍率とは、求職者一人あたりに何件の求人があるかを示した数値のことです。1以上で売り手市場となり、求職者に対して企業の求人募集が上回っているといえます。

有効求人倍率の数値が高くなるほど、企業が人手不足になっていると判断できます。

2013~2022年4月の有効求人倍率の推移は、以下のとおりです。


有効求人倍率の推移

厚生労働省『一般職業紹介状況(令和4年4月分)』を基に作成


2014年以降の有効求人倍率は1倍を超え、2019年には約1.6倍まで上昇しました。2020年の新型コロナウイルス感染症の流行以降、有効求人倍率は減少しましたが、2022年に再びわずかに増加しています。

また、2021年4月と2022年4月の一般新規求人数の増加率を産業別に比較すると、以下のようになります。


▼産業別一般新規求人数の増加率

産業
一般新規求人数の増加率
①宿泊業・飲食サービス業
49.6%
②製造業
21.9%
③サービス業(他に分類されないもの)
15.3%
④運輸業・郵便業
13.1%

厚生労働省『一般職業紹介状況(令和4年4月分)』を基に作成


さらに、2022年4月の都道府県別有効求人倍率は次のとおりです。


都道府県別有効求人倍率

厚生労働省『一般職業紹介状況(令和4年4月分)』を基に作成


都道府県別では、最高値が福井県の1.99倍、最低値が沖縄県の0.92倍となりました。企業の人手不足の状況は、産業種だけでなく地域によっても異なることが分かります。

出典:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和4年4月分)



企業における人手不足の対策方法

人手不足を解消するには、DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)の推進や積極的な人材育成、アウトソーシングの活用、多様な勤務制度の導入といった取組みが有効です。


①DXの推進

DXとは、デジタル技術を用いて製品・サービスや業務、企業文化などのビジネスモデルを変革させることをいいます。 また、DXを推進して、業務を自動化・省人化することで、人手不足の解消を図ることが期待できます。

DXを推進するには、AI・ロボットの導入のほか、Webサービスやアプリを活用して業務効率化を図ることも有効です。

ただし、DX化にはシステムを利用するためのIT知識や、組織体制の見直しが求められます。業務フローやプロセスを変革する場合は、ITの技術を持つ人材の採用・育成を図ることが重要です。


▼DXの推進例

  • クラウドサービスの導入
  • 業務システム(生産管理システム、勤怠管理システム、シフト管理システム等)の導入
  • ITツールやシステムを利用したテレワークの実施
  • 電子契約システム導入によるペーパーレス化

出典:経済産業省『DXレポート


②積極的な人材育成

人手不足を解消するためには、今いる従業員の育成を図り、労働生産性を高めることも重要です。

業務に関わる技術・ノウハウを習得させて、従業員のスキル向上を図ることで、対応できる業務の幅が広がるほか、作業効率を高めることが期待できます。マネジメント人材を育成すれば、組織力の強化にもつながります。

また、スキルアップを目指せる職場は、従業員のモチベーション向上にもなります。定着率を上げるために、スキルアップを後押しする取組みも有効です。


▼人材育成の例

  • 資格取得の費用支援を行い、資格取得を後押しする
  • 業務に関わる技術・ノウハウの研修を定期的に実施する
  • 新人アルバイト・既存従業員など、能力に応じて教育する


③アウトソーシングの活用

アウトソーシングとは、業務の一部を外部に委託することです。事務処理などのバックオフィス業務や、専門性を要する業務を外部委託することで、人手不足の解消が見込めます。

アウトソーシングによって、社内の業務量が削減されて、コア業務に専念できるようになります。また、委託先の会社は専門性を有しているため、作業品質の向上も期待できます。

委託費用は発生しますが、結果的に社内の生産性が向上するため、人材不足をカバーできる可能性があります。


▼アウトソーシングの活用例

  • データ管理や書類の配送業務を委託する
  • 外部の研修・人材育成プログラムに参加する
  • ヘルプデスクを委託する


④多様な勤務形態の採用

幅広く人材を採用するために、多様な勤務形態を取り入れることも有効です。

子育て世代や定年退職後の高齢者層の雇用を促すことによって、人手不足の解消が期待できます。

多様な勤務形態を導入することで、フルタイムで働くことが難しい方でも採用することが可能です。また、ライフステージに応じて働き方を柔軟に選択できるようにすることで、「仕事との両立が難しくなった」という従業員にも働いてもらいやすくなります。


▼多様な勤務形態の導入例

  • 業務内容に応じて在宅勤務を認める
  • フレックスタイム制を導入する
  • 短時間勤務を導入する

このほかの人手不足の対策については、こちらの記事で解説しています。

  人手不足が解消しない・・・。企業がするべき8つの対策 人手不足対策はさまざまな方法がありますが、どのように取り組めば良いかわからないという方もいるでしょう。今回は、人手不足に対してどのような対策を行えば良いか解説していきます。 シフオプ



まとめ

この記事では、深刻化する企業の人手不足について、以下の項目を解説しました。

  • 人手不足の原因と現状
  • 有効求人倍率の推移
  • 企業における人手不足の対策方法

さまざまな業界で人手不足が深刻化しています。人手不足を解消するには、人材の採用に加えて、DX化による生産性の向上、人材育成、アウトソーシングの活用、多様な勤務形態の導入といった取組みが有効です。

特に、多様な勤務形態を導入する場合は、シフト管理が複雑になりやすいといった課題があります。適正かつ効率的にシフト管理を行うために、複数の雇用形態・勤務形態に対応できる『シフオプ』の活用が有効です。

シフオプを活用することで、個々の事情に配慮したシフトを効率的に作成できます。正社員だけでなく、アルバイト・パートなどの非正規雇用や、高齢者雇用においても、柔軟に対応することが可能です。

人手不足の解決に向けてシフト制の導入を検討されている方は、お気軽にお問合せください。

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