法律が定める年間休日の最低日数と罰則を解説

年間休日の法律上の最低ラインは?105日の根拠・罰則・設計例を解説

※2026年6月17日更新

年間休日は「多ければよい福利厚生」というイメージを持たれがちですが、実際には労働基準法によって最低限守るべきラインが定められています。

企業では週休2日制を採用するケースが一般的である一方、自社の年間休日数が法律上問題ない水準なのか、不安を感じる人事・労務担当者の方も少なくないでしょう。

この記事では、年間休日105日の法的根拠や計算方法、違反にならない例外ケースから、休日設計で押さえておきたいポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 年間休日とは?
  2. 年間休日の最低日数
  3. 年間休日105日未満でも違反にならないケース
  4. 法定休日と法定外休日の違い
  5. 法定休日を与えなかった場合の罰則
  6. 年間休日に含まれる日・含まれない日
  7. 有給休暇を活用して年間休日105日を達成できる?
  8. 休日・休暇・振替休日・代休の違い
  9. 休日出勤時の割増賃金
  10. 管理監督者・高度プロフェッショナル制度の例外
  11. 企業の平均年間休日数
  12. 年間休日の設計例——105日・110日・120日
  13. 年間休日に関するよくある質問
  14. まとめ

年間休日とは?

年間休日とは、就業規則や労働契約において、あらかじめ「労働義務がない日」として定められた休日の年間合計日数を指します。一般的には、土日祝日や夏季休暇、年末年始休暇などが含まれます。

年間休日は、「法定休日」と「法定外休日(所定休日)」を合計した日数で構成されています。企業によって年間休日数に違いがあるのは、法定休日に加えて設定する法定外休日の日数が異なるためです。

なお、「年間休日」という言葉自体には、労働基準法上の明確な定義はありません。ただし実務上は、就業規則や労働契約で定められた休日の合計日数として扱われています。

年間休日の最低日数

フルタイム勤務において法令を遵守しようとした場合、結果として導き出される年間休日の最低ラインが「105日」です。これは以下の2つのステップで算出されます。

法定休日だけでは52日

労働基準法第35条では、企業に対して「毎週1日以上(または4週4日以上)」の休日付与を義務付けています。1年間を約52週(365日÷7日)として計算すると、法定休日のみの最低付与日数は年間「52日」となります。

しかし、この52日だけでは、フルタイム勤務における労働時間の上限規制を満たすことができません。

労働時間の上限から逆算すると105日

労働基準法第32条では、労働時間の上限(法定労働時間)を「1日8時間・週40時間」と定めています。この週40時間を1年間に換算すると、以下のようになります。

  • 1年間の週数:365日 ÷ 7日 = 52.14週

  • 1年間の法定労働時間上限:40時間 × 52.14週 = 2,085.7時間

  • 年間の最大労働日数:2,085.7時間 ÷ 8時間(1日の労働時間) = 約260日

1年365日から、この最大労働日数260日を差し引くと、「365日 - 260日 = 105日」となります。つまり、1日8時間勤務の企業が法定労働時間を超過しないためには、最低でも年間105日の休日が必要になるという計算です。

年間休日105日未満でも違反にならないケース

年間休日が105日未満でも、所定労働時間や勤務形態によっては法令違反とならないケースがあります。

①所定労働時間が8時間未満

所定労働時間が8時間未満のアルバイト・パートは、年間休日の日数が105日未満の場合でも、法令違反にならない場合があります。

年間休日105日という最低ラインは、1日8時間・週40時間のフルタイムで働く場合に必要となる年間休日数の目安です。

所定労働時間が1日4時間や6時間などの場合は、労働時間の上限時間を超えないため、週1回の休日(年間で52日)を付与すれば問題ありません。

②変形労働時間制を採用している

変形労働時間制を採用している場合には、週や月単位で法定労働時間を計算するため、年間休日の考え方も異なります。

変形労働時間制とは、一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で特定の週・日に時間外労働ができる制度です。

年間休日が105日未満であっても、一定期間の労働時間の平均が1週間当たり40時間以内に収まっている場合には法令違反とはなりません。

出典:厚生労働省『労働時間・休日』『1ヶ月又は1年単位の変形労働時間制

③36協定を締結している

36協定を締結している場合、法定労働時間を超える労働や休日労働を、一定の範囲内で行わせることができます。

ただし、36協定を締結していれば年間休日105日未満でも常に問題ない、というわけではありません。時間外労働・休日労働の上限を守り、必要な割増賃金を支払ったうえで、労働時間を適切に管理する必要があります。

特別条項付き36協定における上限規制については、こちらの記事をご確認ください。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

法定休日と法定外休日の違い

年間休日を正しく理解するうえでは、「法定休日」と「法定外休日(所定休日)」の違いを明確に把握することが重要です。

項目

法定休日

法定外休日(所定休日)

定義

労働基準法で義務付けられた「週1日以上(または4週4日以上)」の休日

企業が独自に設定する休日(法定基準を超える部分)

該当日の例

就業規則で定めた曜日(例:日曜日など)

土曜日、祝日、夏季・年末年始休暇など

休日出勤の割増賃金

35%以上の割増賃金が必要

週40時間を超える場合は25%以上の割増賃金が必要

法定休日は労働基準法第35条で定められた最低限の休日であり、ここに出勤させた場合は35%以上の割増賃金が発生します。一方、法定外休日は企業が任意に設定する休日です。

就業規則で法定休日を特定していない場合、1週間の最後に取得した休日が法定休日として扱われるのが一般的です。実務上のトラブルや割増賃金の計算ミスを防ぐためにも、就業規則で「何曜日を法定休日とするか」を明記しておくことが望ましいでしょう。

法定休日を与えなかった場合の罰則

労働基準法』第119条において、法定休日を与えなかった場合は、同法令第35条違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰則が科されるおそれがあります。

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

法定休日を与えないことは労働基準法違反となり、罰則の対象となります。また、休日労働を行わせる場合であっても、36協定の締結や割増賃金の支払いが必要です。さらに、時間外労働と休日労働には法令上の上限規制が設けられているため、休日数だけでなく年間を通じた労働時間管理も重要となります。

特別条項の有無にかかわらず、時間外労働と休日労働の合計は、1年を通して月100時間未満、2〜6ヶ月平均で80時間以内に収める必要があります。

従業員のシフト管理を行う際は、毎月の労働時間・休日数だけでなく、年間を通した労務管理を行うことが大切です。

出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』/e-Gov法令検索『労働基準法

年間休日に含まれる日・含まれない日

年間休日としてカウントできる日とできない日を混同してしまうケースは少なくありません。

項目

詳細

年間休日に含まれる

  • 毎週の休日(土日など)
  • 祝日
  • 夏季休暇
  • 年末年始休暇
  • 会社創立記念日などの特別休日

※これらはすべて、就業規則で「休日」として定められていることが前提です。

年間休日に含まれない

  • 年次有給休暇
  • 慶弔休暇
  • 産前産後休暇
  • 育児・介護休業

この違いは、その日が本来持っている性質に由来します。「休日」は最初から労働義務がない日であるのに対し、「休暇や休業」は、本来働くべき日に対して申請等により労働義務が免除される制度です。したがって、求人票などで年次有給休暇の日数を年間休日に含めて記載することはできません。

有給休暇を活用して年間休日105日を達成できる?

前述のとおり、年次有給休暇は年間休日には含まれません。そのため、「年間休日100日+有給休暇5日で実質105日」といった考え方が認められるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、有給休暇を年間休日に含めて年間休日数を増やすことはできません。年間休日105日とは、企業があらかじめ定める「所定休日」の日数を指します。一方、有給休暇は本来出勤日である日に従業員が取得する休暇であり、年間休日とは区別して考える必要があります。

そのため、「年間休日100日+有給休暇5日=実質105日」といった考え方では、労働基準法上の年間休日105日を満たしたことにはなりません。例えば、年間休日100日で1日8時間勤務とした場合、年間の所定労働時間は2,120時間となり、法定労働時間の上限(2,085.7時間)を超えてしまいます。

なお、有給休暇の計画的付与制度を活用すること自体は問題ありません。ただし、この制度は有給休暇の取得を促進するためのものであり、年間休日数を増やす制度ではない点に注意が必要です。

休日・休暇・振替休日・代休の違い

労務管理において混同しやすい4つの用語について、それぞれの違いを整理します。

項目

定義・特徴

割増賃金の発生(原則)

休日

最初から労働義務がない日(土日、祝日など)

出勤した休日の種類により異なる

休暇

労働義務がある日に、労働を免除される日(有給、慶弔など)

-

振替休日

事前に「休日」と「労働日」を入れ替える制度

原則発生しない(週40時間を超える場合は25%増)

代休

休日出勤した「後」に、代わりの休みを与える制度

発生する(法定休日の場合は35%増)

特に注意すべきは「振替休日」と「代休」の扱いです。振替休日は、事前に労働日と休日をチェンジするため、もともとの休日は「通常の労働日」に変わります。そのため休日割増賃金は発生しません。一方、代休は休日労働の事実が残るため、法定休日に出勤した場合は35%以上の割増賃金の支払い義務が生じます。

事前の手続きなく当日や事後に休みを変更した場合は「代休」とみなされるため、就業規則で運用ルールを明確にしておくことが不可欠です。

出典:厚生労働省『振替休日と代休の違いは何か。

休日出勤時の割増賃金

休日出勤が発生した場合の割増賃金は、「法定休日」と「法定外休日」のどちらに出勤したかによって異なります。

休日の種類

割増賃金の条件

割増率

法定休日

出勤した場合に必ず発生

35%以上

法定外休日

その週の労働時間が40時間を超えた場合に発生(時間外労働扱い)

25%以上

法定外休日の出勤は、あくまで「通常の労働日の延長(時間外労働)」として扱われます。そのため、その週の労働時間が40時間以内に収まっていれば割増は不要ですが、40時間を超えた部分については25%以上の割増賃金が必要です。

また、法定休日に深夜労働(22時〜翌5時)を行った場合は、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が重複し、合計60%以上の割増率となります。
割増率の誤認は未払い残業代トラブルにつながるため、法定休日の特定や就業規則の整理を徹底しましょう。

出典:東京労働局『しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編

管理監督者・高度プロフェッショナル制度の例外

ここまで紹介した休日や割増賃金のルールは、多くの労働者に適用されます。ただし、一部の労働者については例外規定が設けられています。

管理監督者

労働基準法 第41条2号の「管理監督者」に該当する従業員は、労働時間・休憩・休日の規定の適用外となります。そのため、法定休日に出勤した場合でも、企業側に休日割増賃金の支払い義務は発生しません。

ただし、深夜労働の割増賃金は管理監督者であっても支払う必要があります。また、「店長」や「課長」といった役職名がついているだけで、実態が伴っていなければ管理監督者とは認められない(名ばかり管理職)点には十分な注意が必要です。

▼労働基準法 第41条2号

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

出典:e-Gov法令検索『労働基準法

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度の対象者には、通常の労働時間や休日割増賃金の規定は適用されません。

一方で、労働者の健康確保措置として「年間104日以上、かつ4週4日以上」の休日を確保することが義務付けられています。

▼労働基準法 第41条の2 第1項 第4号

四 対象業務に従事する対象労働者に対し、一年間を通じ百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が与えること。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法

この制度の適用には、対象業務の性質や年収(1,075万円以上)など極めて厳格な要件が定められており、導入時には慎重な運用が求められます。

出典:厚生労働省『高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』/e-Gov法令検索『労働基準法

企業の平均年間休日数

ここまでは年間休日に関する法的ルールを解説してきました。では実際に、企業ではどの程度の年間休日を設定しているのでしょうか。年間休日数が適切かどうかを判断するには、法令上の最低ラインだけでなく、企業平均や業界水準を把握しておくことも重要です。

厚生労働省の『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』によると、企業1社あたりの平均年間休日数は112.4日となっています。また、企業規模が大きいほど年間休日数が多い傾向にあり、従業員1,000人以上の企業では117.7日、30〜99人規模では111.2日という結果が出ています。

平均年間休日数

画像引用元:『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況

年間休日105日はあくまで法律上の最低ラインです。採用競争力や従業員の定着率を高める観点からは、こうした平均水準と比較しながら自社の休日数を検討することが求められます。

出典:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況

年間休日の設計例——105日・110日・120日

企業平均を踏まえたうえで、実際の休日設計はどのように行われているのでしょうか。ここでは代表的な年間休日数ごとの設計例を紹介します。

105日(法律上の最低ライン)

完全週休2日制(年間104日)+その他1日という構成です。祝日を休みにする場合は、その分を土曜出勤などで補う調整が発生しやすくなります。サービス業やシフト制の職場で多く見られます。

110日(中小企業の平均的モデル)

日曜日と隔週土曜日の休みに加え、祝日や年末年始・夏季休暇を一定程度確保するケースが一般的です。稼働日数を確保しつつ社員の休息も担保したい企業で採用されやすい日数です。

120日(大手企業・公務員水準)

完全週休2日制(土日)に加えて、カレンダーどおりの祝日がすべて休みとなる設計です。さらに年末年始休暇などを加えると120日〜125日程度になります。ワークライフバランスを重視する求職者からの人気が高い水準です。

年間休日を設計する際は、繁忙期の休日出勤や、36協定における時間外労働の上限超過が発生しないよう、年間を通じた労働時間の緻密なシミュレーションが重要となります。

年間休日に関するよくある質問

Q. 年間休日が52日(週1日のみ)でも違法ではないですか?

A. 1日の所定労働時間が短く、年間トータルの労働時間が法定上限内に収まっていれば違法ではありません。しかし、1日8時間勤務の場合は週労働時間が48時間となり、36協定の締結と割増賃金の支払いがない限り違法となります。

Q. 祝日を出勤日にしても問題ありませんか?

A. 祝日は労働基準法上の「法定休日」ではないため、就業規則で祝日を労働日と定めていれば出勤させることに問題はありません。ただし、全体の年間休日数が105日(1日8時間勤務の場合)を下回らないよう調整が必要です。

Q. パート・アルバイトにも年間休日105日は必要ですか?

A. 105日という数字は、フルタイム(1日8時間・週5日)勤務を想定した下限です。パート・アルバイトのように所定労働日数が少ない場合は、労働契約に沿った休日が付与されていればよく、一律に105日が適用されるわけではありません。ただし、法定休日(週1日以上)の付与義務は同様に発生します。

Q. 年間休日を途中で変更することはできますか?

A. 経営状況等により変更自体は可能ですが、休日を減らす(労働時間を増やす)場合は「労働条件の不利益変更」に該当します。そのため、労働者の個別同意を得るか、合理的な理由を基に就業規則の変更手続きを適切に行う必要があります。

まとめ

この記事では、年間休日105日の根拠や、105日未満でも違反にならないケース、法定休日を与えなかった場合の罰則、休日出勤時の割増賃金、休日設計の考え方について解説しました。

年間休日は、単なる福利厚生の一部ではなく、労働基準法の労働時間と休日のルールに密接に関わる重要な要素です。フルタイム勤務における「年間休日105日」は、法定労働時間を守るためのギリギリのラインであることを理解する必要があります。

働き方改革が進む現代において、休日数は求職者が企業を選ぶ際の重要な判断基準となっています。法令遵守はもちろんのこと、企業の採用力強化や従業員の定着率向上のためにも、自社の年間休日数が適切な水準にあるか、定期的に見直すことが大切です。

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