従業員が住所変更を行った際に会社が行う4つの手続き・対応

従業員が住所変更を行った際に会社が行う4つの手続き・対応

雇用している従業員のなかには、引越しや結婚などで住所が変わることがあります。従業員の住所は、社会保険の手続きや通勤手当の算出などにも関わるため、不備・トラブルがないように正しい情報を把握しておくことが重要です。

従業員から住所変更の報告があった場合、人事・労務担当者は速やかに所定の手続きを行う必要があります。しかし、「具体的な手続きが整理されていない」「過去に対応の不備が発生している」などの課題を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、従業員に住所変更があった場合に、会社で必要になる手続きについて解説します。


目次[非表示]

  1. ①労働者名簿の更新
  2. ②社会保険の住所変更手続き
  3. ③通勤手当の再計算
  4. ④そのほかの保険や福利厚生関係の手続き
  5. まとめ


①労働者名簿の更新

従業員の住所に変更があった場合は、会社に備え付けている労働者名簿を更新する必要があります。

労働者名簿とは、従業員の氏名や住所、生年月日などの情報を記載した書類です。『労働基準法』第107条において、各事業場で労働者名簿を作成することが義務づけられています。

また、同法第107条第2項では、労働者名簿の記入内容に変更があった場合に、遅延なく訂正しなければならないと定められています。


▼労働基準法第107条

第百七条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

② 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


なお、労働者名簿のほかに、緊急連絡先や通勤経路、最寄り駅などの情報をまとめた書類がある場合は、併せて更新しておきます。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法



②社会保険の住所変更手続き

従業員が住所変更を行った際は、会社側で社会保険(健康保険・厚生年金保険)の住所変更手続きが必要になるケースがあります。

ただし、マイナンバーと基礎年金番号と紐づけしている従業員は、会社側で変更手続きを行う必要はありません。

マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない従業員は手続きが必要ですが、以下に該当する場合も変更手続きを行います。


▼住所変更の手続きが必要になる人

  • 健康保険にのみ加入している人
  • 海外居住者
  • 短期在留外国人
  • 住民票以外の居所を登録する人


また、社会保険の住所変更手続きは、以下のとおりです。 


▼社会保険の住所変更手続き

  1. 健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届』を作成する
  2. 所轄の年金事務所に1の書類を提出する(窓口または郵送)


被扶養家配偶者がいる場合には、同時に変更届を提出する必要があります。変更届の書類については、日本年金機構のWebサイトからダウンロード可能です。

被保険者の住所に変更があったとき

出典:日本年金機構『被保険者の住所に変更があったとき』『従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)及び被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き



③通勤手当の再計算

住所変更の手続きとともに、通勤手当を再計算することも忘れてはいけません。

従業員に新しい住所から会社までの通勤経路を提出してもらい、支給する通勤手当の金額を再計算します。
通勤手当は、従業員の固定的賃金(※1)に該当し、社会保険料を算出するベースとなる標準報酬月額(※2)にも影響します。

そのため、通勤手当が大幅に増減した場合には、速やかに標準報酬月額も変更する必要があり、これを“随時改訂”といいます。

住所変更によって通勤手当が増額・減額して、随時改訂が必要になる場合は、『健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 』を速やかに日本年金機構に提出する必要があります。提出方法として、郵送、電子申請、窓口持参が可能です。

なお、随時改訂が必要なケースには一定の条件があるため、詳しくは日本年金機構のWebサイトをご確認ください。

随時改定(月額変更届)

※1...稼動実績に関係なく同じ金額で支給される賃金(基本給や通勤手当など)のこと。
※2…被保険者が受け取る給与を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめた額のこと。1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級の区分がある。

出典:日本年金機構『随時改定(月額変更届)』『随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)



④そのほかの保険や福利厚生関係の手続き

会社が独自に加入している保険や福利厚生サービスがある場合には、住所変更手続きについて確認が必要です。

従業員を雇用する会社で加入義務がある労災保険や雇用保険などの労働保険は、基本的に住所変更の手続きは不要です。

ただし、会社が任意の保険や福利厚生サービスに加入している場合は、住所変更の手続きが必要になります。


▼住所変更の手続きが必要な保険・サービス

  • 損害保険
  • 傷害保険
  • 外部の退職金の積立制度
  • 確定拠出年金
  • 法定外の福利厚生サービス



まとめ

この記事では、従業員の住所変更手続きについて以下の内容を解説しました。


  • 労働者名簿の更新
  • 社会保険の住所変更
  • 通勤手当の再計算
  • そのほかの保険や福利厚生関係の手続き


従業員の住所に変更があった場合は、労働者名簿の更新をはじめ、社会保険の住所変更手続き、通勤手当の再計算が必要です。住所変更に伴う手続きは多岐にわたるため、漏れ・遅延がないように社内で必要な手続きやフローを整理しておくことが重要です。

また、日頃から従業員の労務管理を行い、住所変更があった場合に正しい手続きを踏めるようにしておくことも欠かせません。

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