アルバイト・パートの休業手当は必要? 休業補償との違いや手当支給の注意点

アルバイト・パートの休業手当は必要? 休業補償との違いや手当支給の注意点

アルバイト・パートを雇用している職場では、会社の都合や人員余剰を理由に、出勤予定の日に休んでもらったり、早退してもらったりするケースも少なくありません。

また、コロナ禍での営業停止や時短営業の影響によって、アルバイト・パートを働かせることができなくなる会社も見られています。

このように、会社の都合で従業員を休業させる場合、「休業手当を支払う必要があるのか」と対応に悩まれる人事・労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

アルバイト・パートとのトラブルを防ぐためには、休業手当の対象や休業補償との違いについて正しく理解しておくことが重要です。

この記事では、休業手当の対象者や休業補償との違い、人事・労務担当者が注意するポイントについて解説します。


目次[非表示]

  1. 休業手当とは
  2. 休業補償との違い
  3. 人事・労務担当者が注意するポイント
  4. まとめ


休業手当とは

休業手当とは、会社の都合によって従業員を休業させた場合に、会社が従業員に対して支給する手当のことです。

この休業手当の支給は、『労働基準法』第26条において使用者の義務として定められています。


▼労働基準法第26条

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


休業手当の支給が義務づけられているのは、会社の都合(使用者の責に帰すべき事由)によって休業する場合に限られます。

会社都合となる例としては、経営難による休業や業務減少による休業、職場内設備の故障による休業などが挙げられます。

なお、厚生労働省ではコロナ禍の特例措置として『雇用調整助成金』を設けています。雇用調整助成金の支給要件や助成額、手続きについては厚生労働省のホームページをご確認ください。

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


休業手当の対象者

休業手当は、雇用形態にかかわらずすべての従業員が対象です。

そのため、アルバイト・パートをはじめ、派遣労働者、有期契約労働者などにも、休業手当を支給します。


休業手当の支給額

先述したとおり、休業手当の支給額は『労働基準法』第26条によって平均賃金の6割以上と定められています。

平均賃金とは、休業の前日から過去3ヶ月間に支払った賃金の総額をその期間の総日数で割った金額を指します。ただし、賃金の締め切り日がある場合には、直近の締め切り日から3ヶ月間です。

休業手当の支払い方法は、以下の2つのケースがあります。


【ケース1】1日休業させた場合

1日休業させた場合は、平均賃金の6割以上の手当を支給する必要があります。


▼計算式

休業手当=平均賃金×0.6(以上)×休業日数


【ケース2】早退で一部休業させた場合

早退によって一部休業させた場合、その日に働いた賃金が平均賃金の6割以上であれば、休業手当を支給する必要はありません。ただし、実働分の賃金が平均賃金の6割を下回る場合には、差額分の手当を支給しなければなりません。


▼支給額の計算例(時給1,000円で所定労働時間が6時間のアルバイト・パート)

1日当たりの平均賃金が6,000円で、3時間で早退した場合、600円を追加で支払う。

  • 1日当たりの休業手当(最低額):6,000円 × 60%=3,600円
  • 実働時間に対する賃金:1,000円 × 3時間=3,000円
  • 差額分の休業手当:3,600円 - 3,000円=600円

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省 群馬労働局『休業手当について



休業補償との違い

休業手当と混同しやすいのが、休業補償です。休業手当と休業補償は、支払いの対象となる事由や支給元に違いがあります。

休業手当は、会社の都合によって働かせることができなくなった場合に、会社が支給する手当です。

これに対して休業補償は、従業員が病気やけがの療養のために労働できない場合に、療養中の賃金を補償する制度です。

労働基準法』第76条において、療養中の平均賃金の6割以上を会社が支給する義務が定められています。


▼労働基準法第76条

第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


休業初日から3日間は会社側に休業補償の支払い義務があります。休業4日以降は、労災保険から給与の6割相当額の休業給付が支給されます。

なお、休業補償はアルバイト・パートも対象ですが、雇用契約がない派遣社員や請負契約は対象外です。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法



人事・労務担当者が注意するポイント

休業手当の支給にあたって注意するポイントとして、以下の2つが挙げられます。


①平均賃金の計算に含めない賃金・期間

休業手当の金額は平均賃金を基に算出しますが、3ヶ月間の日数をカウントする方法や、賃金総額に含める賃金については注意が必要です。

平均賃金を算出する3ヶ月間のなかで、以下の期間が含まれている場合には、その日数を控除して計算します。


▼平均賃金の算出期間から控除する期間

  • 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
  • 産前産後休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児・介護休業期間
  • 試みの使用期間(試用期間)

引用元:厚生労働省 神奈川労働局『平均賃金について【賃金室】


また、賃金の総額とは、3ヶ月の算定期間中に支払われる賃金を指しており、通勤手当や残業手当、年次有給休暇の賃金なども含まれます。

ただし、以下の賃金については賃金総額に含まれません。


▼賃金総額に含まれない賃金

(1)臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
(2)3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3か月ごとに支払われる場合は算入されます)
(3)労働協約で定められていない現物給与(なお、労働協約によらない現物給与は違法です。)

引用元:厚生労働省 神奈川労働局『平均賃金について【賃金室】


出典:厚生労働省 神奈川労働局『平均賃金について【賃金室】


②雇用形態による待遇差の禁止

休業手当を設ける場合には、アルバイト・パートを対象者から一律に除外しないように注意する必要があります。

同じ会社において、正社員と非正規社員との間に不合理な待遇差を設けることは法律で禁止されています。

2020年4月からは、改正パートタイム・有期雇用労働法が施行されており、従業員の手当についても職務内容に応じて均衛・均等を図ることが求められています。



まとめ

この記事では、休業手当について以下の内容を解説しました。


  • 休業手当の対象者と支給額
  • 休業補償との違い
  • 人事・労務担当者が注意するポイント


会社の都合でアルバイト・パートを休業させる場合には、平均賃金の6割以上の休業手当を支給する義務があります。休業補償とは支給対象となる事由や支給元が異なるため、ケースに応じて適切な手当・補償を行うことが重要です。

また、シフト制を採用している職場では、従業員によって出勤日数や賃金が異なるため、休業手当の計算が煩雑になりやすいといった課題があります。

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なお、コロナによる休業補償については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

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