
療養時の休業補償はアルバイトも対象! 過労による労災を防ぐには
※2025年9月5日更新
『労働基準法』では業務上の負傷や疾病に対して、療養費用だけでなく賃金の一部を補償することを事業主に義務づけています。これを休業補償と呼びます。
労働基準法はアルバイトにも適用されるため、休業補償の要件を満たした場合には事業主による適切な対応が求められます。
この記事では、休業補償の概要や給付金の内容、手続き、過労を防ぐ方法について解説します。
出典:e-Gov法令検索『労働基準法』
労働基準法におけるアルバイトの休業補償
業務によって生じた負傷や疾病に対して、労働基準法は第75条で療養補償、第76条で休業補償をそれぞれ規定しています。
▼労働基準法第75条、76条
(療養補償)
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
(休業補償)
第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『労働基準法』
事業主は、正社員だけでなくパートタイマーやアルバイトに対してもこれらの補償を行う必要があります。
出典:e-Gov法令検索『労働基準法』
休業補償に関連する給付金
労災保険においては、休業補償に関連した給付金が規定されています。また、給付金に上乗せして、休業特別支給金も支給されます。
▼休業(補償)等給付について
労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていない と き 、 そ の 第 4 日 目 か ら 休 業 補 償 給 付(業務災害の場合)、複数事業労働者休業給付(複数業務要因災害の場合)または休業給付(通勤災害の場合)が支給されます。
引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
▼給付の内容
・単一事業労働者(一の事業場のみに使用されている労働者)の場合
休業補償給付、休業給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)× 休業日数
引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
労働基準法における休業補償は休業補償給付から補填できますが、休業の4日目以降に限られます。3日目までは事業主による補償が必要です。
▼待機期間の休業補償について
なお、休業の初日から第3日目までを待期期間といい、この間は業務災害の場合、事業主が労働基準法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うこととなります。ただし、複数業務要因災害・通勤災害の場合には、事業主の補償責任についての法令上の規定はありません。
引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
出典:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
休業補償給付を請求する手続き
労災保険における休業補償給付を請求する際は、事業主が証明を行ったうえで被災した従業員が労働基準監督署に請求します。休業特別支給金の請求についても同じ様式で同時に行います。
▼休業補償給付の請求手続き
画像引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
▼必要な添付書類の例
画像引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
なお、給付金の請求には時効が設定されているため、期限内に請求する必要があります。
▼請求に関する時効
休業(補償)等給付は、療養のため労働することができないため賃金を受けない日ごとに請求権が発生します。その翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。
引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
出典:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』
過労による労災を防ぐには労務管理が重要
労働災害が生じる要因の一つに、過労があります。業務による心身の過重な負荷が脳・心臓疾患や精神障がいの要因となり、場合によっては過労死につながります。
休業補償の発生を回避するだけでなく、従業員の心身の健康を守るためにも長時間労働の削減をはじめとする労働環境の見直しが必要です。そのためには、労務管理を適切に行い、法令を遵守することが欠かせません。
まとめ
この記事では、休業補償について以下の内容を解説しました。
- 労働基準法におけるアルバイトの休業補償
- 休業補償に関連する給付金
- 休業補償給付を請求する手続き
- 過労による労災を防ぐ労務管理
業務による労働災害が生じて従業員が働けなくなった場合、事業主は休業補償を行う必要があります。適切な労務管理を行うことで、労働災害の要因の一つとなる過労を防止できます。
シフト管理システムの『シフオプ』は、シフトの収集・作成・共有を行えるクラウド型のシステムです。シフト作成時の労務違反をチェックしてアラートを表示したり、労働時間を自動で算出したりする機能が備わっています。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。