アルバイトの休憩時間に給料は発生しない? 法律上のルールや労務管理の注意点
※2023年10月27日更新
アルバイトの従業員の給与管理を、時給制で行っている企業や職場は多くあります。労働基準法では、労働時間に応じて一定の休憩を取得させることが定められています。
しかし、従業員のなかには「休憩を取らずに働く時間を増やしたい」「忙しくて休憩が取れない場合はどうすればよいのか」と考える人もいるかもしれません。
職場のシフト管理者は、休憩時間に関する法律上の正しいルールを遵守して従業員の労務管理を行うことが求められます。
この記事では、アルバイトの休憩にまつわる労働基準法上の規定について解説します。
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休憩が必要になる法律上の理由とは?
休憩時間は、従業員が食事やトイレに行くだけではなく、労働で消耗した体力と心を休めてリフレッシュする目的があります。
『労働基準法』第34条では、休憩時間について以下のように定められています。
▼労働基準法第34条第1項
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 |
引用元:e-Gov法令検索『労働基準法』
1日6時間を超えて働く従業員に対しては、必ず休憩を取らせることが法律で義務づけられています。そのため、仮に従業員本人が休憩を望まないような場合であっても、必ず休憩を取得させる必要があります。
違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、厳守しなければなりません。
▼労働基準法第119条の1
次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 |
引用元:e-Gov法令検索『労働基準法』
出典:e-Gov法令検索『労働基準法』
休憩が不要になる3つのケース
労働時間の途中に休憩が不要になるケースは、以下のとおりです。
▼休憩が不要なケース
- 労働時間が6時間以下の場合
- 管理監督者である場合
- 断続的労働や宿日直勤務の場合
労働時間が6時間以下の場合は労働基準法第34条第1項に該当しないため、従業員に休憩を取らせる義務はありません。
また、管理監督者(※)となる従業員については労働基準法による休憩に関する規定は適用されません。
さらに、労働時間中に手待ち時間が多い断続的労働に従事する場合や、業務として待機を行わせる宿日直勤務の場合は、労働基準監督署長の許可によって休憩に関する規定が除外になることがあります。
※工場長や部長など、従業員の採用・人事考課・労務管理に関して経営者と一体的な立場にある人。
出典:厚生労働省『労働時間・休憩時間・休日の適用除外について(断続的労働・宿日直勤務)』『しっかりマスター 管理監督者編(平成30年9月)』
休憩時間中の給料はどうなる?
休憩時間中には業務を行わないため、給料は発生しません。
ただし、企業が法定の休憩時間とは別に“休息時間”を設けている場合、休息時間中については給料が発生するケースがあります。
▼休息時間の例
- トイレ休憩
- 仮眠
- 業務効率化のための短い休憩 など
休息時間の扱いは企業によって異なるため、従業員とのトラブルにならないようにルールを明確にして就業規則で定めておくことが大切です。
従業員に休憩を付与するときの注意点
労働基準法では、休憩を付与する方法についても規定が設けられています。勤務時間が終わってから休憩を取らせたり、休憩時間を自由に使わせなかったりするような、休憩時間が形だけのものになる取らせ方は認められません。
①勤務時間の途中で一斉に付与する必要がある
休憩時間は、原則として勤務時間の途中で一斉に付与することが義務づけられています。勤務時間の終了後に休憩室で待機させて、その時間を休憩時間として扱うことはできないため、注意が必要です。
▼休憩時間に関する違反の例
- 従業員ごとに空いた時間で別々に休憩を取らせる
- 9~18時のシフトで、17時に勤務を終了させて18時まで待機させる
ただし、労使協定を締結している場合には、一斉ではなく各自で休憩時間を取らせることも認められます。
出典:首相官邸『こんな労務管理、していませんか?』/厚生労働省 岩手労働局『職場の労務管理に関するQ&A』
②手待ち時間には給与が発生する
休憩時間は、労働から離れてその時間を自由に使えることが保障されている必要があります。そのため、作業中ではないものの業務のために待機しているような手待ち時間には給与が発生します。
▼休憩時間の条件
- 労働から完全に解放されていること
- 休憩時間を自由に過ごせること
休憩中に以下のような業務に対応する指示をしたり、待機によって手待ち時間が発生していたりすれば、休憩ではなく労働に当たります。
▼休憩ではなく労働にあたるケース
- 休憩中に来客の当番をさせる
- 休憩中に電話対応をさせる
- 休憩時間を利用して雑務を処理するように指示する
また、休憩時間は分割で付与することも認められていますが、分割された休憩時間が短すぎる場合は、休憩時間の自由利用と労働からの解放の条件を満たしていないとされる可能性があるため注意が必要です。
出典:首相官邸『こんな労務管理、していませんか?』/厚生労働省『休憩時間を分割する場合どのようなことに注意が必要でしょうか。』
シフト勤務の休憩管理はシステムの活用が有効
シフト制を採用している職場では、従業員ごとに勤務時間・曜日が異なるため、一人ひとりに対して休憩の有無や付与時間を計算することが煩雑になりやすい問題があります。
シフトを作成する際に、労働基準法に沿った適切な休憩時間を組み込むには、モデルシフトを活用できたり、時間の自動計算ができたりするシステムを活用することが有効です。
シフト管理システムの『シフオプ』では、シフト作成の条件を事前に設定してモデルシフトを作成できます。法律で定められた休憩の規定を遵守できるほか、職場の個別のルールを定めることも可能です。
また、労務規定への違反のおそれのあるシフトに対して自動でアラートが表示されるため、「必要な休憩時間を付与できていなかった」というリスクを未然に防止できます。
そのほか、シフオプにはシフト管理者の業務負担を軽減する便利な機能が多数備わっております。詳しくはこちらをご確認ください。
まとめ
この記事では、アルバイトの休憩時間について以下の内容を解説しました。
- 休憩が必要になる法律上の理由
- 休憩が不要になるケース
- 休憩時間中における給料の有無
- 従業員に休憩を取らせるときの注意点
- シフト勤務の休憩管理に活用できるシステム
労働基準法第34条に基づいて、使用者は従業員に一定の休憩時間を取らせる義務があります。1日の労働時間が6時間以上になる場合には、従業員の希望にかかわらず、必ず休憩を取得させることが必要です。
また、休憩時間中に給与は発生しませんが、それは休憩時間を自由に使うことができて、労働から完全に開放されている場合に限ります。手待ち時間や何らかの労働を行っている場合には休憩には当たらないため、給与を支払う必要があります。
法令を遵守した労務管理を行うには、休憩時間の自動計算や労務違反のチェックができるシステムを活用することが有効です。
シフト管理システムの『シフオプ』を活用すれば、シフト制によって煩雑になりやすい従業員の休憩時間を効率的に管理できます。アラート機能が備わっているため、労務規定の違反も未然に防げます。
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