
そのシフトカット、法令リスクは大丈夫? 今こそ知っておきたい労働基準法
サービス業では、客足に合わせて従業員を早上がりさせたり勤務日数を減らしたりといったシフトカットを行っていることも多いのではないでしょうか。
しかし、シフトカットのやり方次第では、法令違反になることもあり得ます。
本記事では、シフトカットに該当する行為と注意点を解説します。
シフトカットとは
シフトカットとは、以下のような会社の都合で従業員の勤務日数や時間を短くする行為を指します。
- 契約よりも勤務日数を減らす
- シフト上は出勤になっている日を休みに変更する
- シフト上の予定時間よりも早上がりさせる
たとえば、繁忙が見込まれる時期に、新たに雇用して人員を増やしたとします。繁忙期は普段よりも多くの人員を常に配置する必要があるため、増員自体は適切な処置だと言えるでしょう。
しかし、繁忙期が過ぎれば、通常業務に必要な人員数は元に戻ります。このようなときにシフトカットが発生します。
週4日の契約で雇用しても、予算との兼ね合いで週3日や週2日しかシフトに入れないという状況です。
「シフトを作成した時点で出勤日を減らす行為はシフトカットにはあたらない」このような考え方は間違いです。
労働条件通知書や求人広告に掲示した「週○日」の勤務日数を下回る日数しかシフトに入れないのは、シフトカットに該当します。
また、以下のようなケースもあります。
サービス業の場合、客足は台風や大雪などの天候にも影響されます。天気予報で翌日に台風がくるとわかれば、お客様はほとんど来ないだろうと予想できるでしょう。
そのとき、翌日のシフトに入っている従業員に「明日は暇だろうから出勤しなくていいよ」と声をかけることもあるのではないでしょうか。
たとえ従業員の安全を考慮しての対応だったとしても、この行為も会社都合によるシフトカットに該当する場合があるため、対応は十分に考慮しましょう。
事前に客足が予想できるときもありますが、イレギュラーが起きることもあります。
予想以上に客足が少なかった場合、少人数でも回せるからと、一部の人にシフト上の時間よりも早く上がってもらうこともあるでしょう。出勤はさせたのだから問題ないだろうと思われがちですが、これもシフトカットに該当する行為です。
会社都合なら休業手当の対象に
前項でシフトカットに該当する行為をご紹介しました。
本項では、会社都合によるシフトカットを行った際に、法令違反の対象となる可能性がある行為について解説します。
労働条件通知書の内容と剥離のあるシフトカットの場合、休業手当の支払い対象になるケースがあることをご存じでしょうか。
労働基準法第26条では以下のように記されています。
(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
出典:電子政府の総合窓口(e-Gov)「労働基準法」
つまり、前項で解説した、会社都合で労働条件通知書や求人広告に掲示した勤務日数および時間を下回るシフトカットを行った場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。
休業手当を支払わずに会社都合のシフトカットを行うことは法令違反に該当するため、十分注意しましょう。
売上予算に応じたシフト管理が大切
法令違反のリスクが高いシフトカットを行う前に、売上予算に応じたシフト管理が重要です。
たとえば、長期連休といった繁忙期に合わせて新規で人員を雇用する必要があるとします。このとき、繁忙期の期間がある程度予想できているのであれば、その期間に限定した短期アルバイトという形で採用しましょう。
期間を限定していれば、繁忙期が過ぎたときにスムーズに元の体制に戻すことが可能なためシフトカットを行う必要もありません。また、土日祝日が常に忙しいといった場合には、土日祝日のみ勤務できる人を雇用するのもよいでしょう。
しかし、人員配置は、単純ではありません。当日欠勤といった不測の事態があるほか、売上に影響することもあります。会社都合によるシフトカットを廃止し、業務を円滑に行うためには、適切なシフト管理が非常に重要であると言えます。
シフト管理システムの“シフオプ”は、売上予算や人件費予算を設定可能。作成したシフトの人件費は自動計算され、これを元に人件費率や人時売上高が自動で表示されます。店舗の運営に必要な指標を確認しながらシフトの作成・管理ができるため、繁忙期・閑散期にあわせたシフト作成が容易になります。
また、急な休みなどで想定外の人手不足がおきたときは、従業員全員にヘルプを募ることができます。店舗間でシフトを共有することができるため、グループ全体の人員の稼働率を上げ、有効活用することが可能です。
まとめ
「今日は暇だから早く上がっていいよ」「予約がなくなったから休んでね」といった対応もシフトカットに該当するため注意が必要です。会社都合のシフトカットは、労働条件通知書との内容に剥離があれば休業手当の対象になるケースもあります。
シフトカットを行わずに済むよう、売上予算に応じた適切なシフト管理で、法令違反のリスクを低減しましょう。
シフト管理システムのシフオプなら、店舗運営に必要な指標を可視化できるため、適切なシフト管理が可能です。
また、シフオプは欠員の可視化もできるため、人手不足の時間帯や曜日をリアルタイムに把握できます。人手が足りない部分に絞って求人募集を行えるため、効率的な採用活動も行えるでしょう。
シフオプを導入して、経験や勘に頼るシフト作成は卒業しませんか。より精度の高いシフトを作成し、店舗と従業員双方の成長につながる店舗運営を行っていきましょう。