タイムカードの保管期間は何年? 対象者と企業が得られるメリットも併せて解説

タイムカードの保管期間が3年から5年へ。 期間の数え方と管理のポイント

※2024年4月12日更新

労働基準法において、事業主には労働者の労働時間を適正に把握・管理することが義務づけられています。

労働時間の把握にあたっては、始業・終業時刻を客観的に記録できる方法を用いる必要があり、その代表的な方法として“タイムカード”が挙げられます。タイムカードには、法律上の保管期間が定められているため、労務関連の書類を整理する際には注意が必要です。

企業の人事・労務部門の担当者のなかには「タイムカードの保管期間はいつから起算するのか」「どのように保管・管理すればよいか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、タイムカードの保管期間や期間の考え方、保管義務のある対象者、保管する際のポイントなどについて解説します。


目次[非表示]

  1. タイムカードを保管する必要性
  2. タイムカードの保管期間
  3. タイムカードを管理する際のポイント
  4. システムを活用した勤怠管理も有効
  5. まとめ


タイムカードを保管する必要性

タイムカードの保管は、法律によって義務づけられているだけでなく、労働基準監督署による開示請求や従業員とのトラブルに対応するために必要となります。


法令による義務

労働安全衛生法』および『労働安全衛生規則』では、事業主に対して客観的な方法による労働時間の把握を義務づけています。


▼労働安全衛生法 第66条の8の3

事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法


▼労働安全衛生規則 第52条の7の3

法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則


また、『労働基準法』では、使用者に対して労働関係の重要な書類を保管することを義務づけています。ここでいう労働関係の重要な書類には、タイムカードをはじめ、出勤簿や始業・終業時刻を記録した書類なども含まれます。


▼労働基準法 第109条

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則』『労働基準法


情報開示請求への対応

タイムカードを保管することで、労働基準監督署から情報開示請求があった際に、迅速に開示を行えるようになります。

労働基準監督署では、労働者から労働基準法違反の相談・通報を受けたり、労働災害が発生したりした際に、事業者の調査を行うケースがあります。この際、労働時間を把握するために、タイムカードの開示が求められる場合があります。

労働時間を記録した書類を提出できないと、客観的な証明ができず、企業としての管理能力を疑われて指導勧告が行われる可能性があります。

情報開示請求がなされた際に証拠書類の一つとして提出できるように、タイムカードは年数・期間ごとに適切に保管しておくことが重要です。


従業員とのトラブルの防止

労働時間や賃金をめぐる従業員とのトラブルを防ぐためにも、タイムカードを保管しておく必要があります。

タイムカードは、始業・休憩・終業時刻を客観的に記録することから、正確な労働時間を証明できる書類になります。労働者から質問があった際には、タイムカードの記録に基づいて労働時間・賃金・残業代を算出したことを明示できます。



タイムカードの保管期間

タイムカードの保管期間は、2020年4月に改正された労働基準法によって3年から5年へ延長されました。ただし、事業所での事務的な混乱を避けるために経過措置が設けられており、当分の間は3年間と定められています。


▼労働基準法 第143条1項

第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省『改正労働基準法等に関するQ&A


保管期間の数え方

タイムカードの保管期間は、原則として当該記録を最後に記録した完結の日を起算日として計算します。ただし、賃金の支払期日が、タイムカードの記録を完結した日よりも遅い場合には、支払期日を起算日として計算する必要があります。


▼支払期日がタイムカードの記録完結日よりも遅い場合の例

保管期間の起算日の考え方

画像引用元:厚生労働省『改正労働基準法等に関するQ&A


例えば、賃金計算期間を月の1日~末日までとして、支払期日を翌月10日と定めている場合には、翌月10日から起算して5年(当分の間は3年)の保管が必要です。上記の画像の場合には、7月10日を起算日として保管期間を計算します。

ただし、派遣社員の場合、タイムカードの保管期間を計算する起算日がほかの雇用形態とは異なります。派遣社員の勤怠は派遣元の管理台帳で管理されており、派遣契約の終了日を完結の日として保管期間を計算します。

出典:厚生労働省『改正労働基準法等に関するQ&A』/厚生労働省 宮城労働局『派遣元管理台帳


保管の対象

事業主には、雇用形態に関係なくすべての労働者の労働時間を正確に管理・保管する義務が定められています。

そのため、アルバイトやパートタイム労働者、派遣社員などの勤務形態にかかわらず、すべての従業員を対象にタイムカードを保管する必要があります。

また、2019年4月の労働安全衛生法改正後は、健康確保措置の観点から裁量労働制の適用者や管理監督者についても、労働時間の状況を記録して3年間保管することが必要になりました。ただし、高度プロフェッショナル制度の対象労働者は対象外です。

※高度プロフェッショナル制度とは、一定の要件を満たす労働者について労働基準法の労働時間や休憩などの規定を適用しない制度のこと。

出典:厚生労働省 島根労働局『客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました』/国土交通省 近畿運輸局『働き方改革関連法の概要



タイムカードを管理する際のポイント

紙媒体のタイムカードを使用している場合、必要な情報を見つけるのに時間・労力がかかるほか、劣化やインクの退色、盗難・紛失が起きることがあります。

タイムカードを保管する際は、保管期間を数えやすく、必要なときに保管場所が分かるように整理しておくことがポイントです。また、劣化や紛失などを防ぐための対策も必要となります。


①期間ごとに管理する

タイムカードは、従業員ごとでなく期間ごとに管理することがポイントです。

万が一、労働基準監督署からタイムカードの提出を求められた場合、指定の期間で提出することになります。あらかじめ期間ごとに仕分けしておくことで、必要な勤怠記録の情報をスムーズに取り出しやすくなります。


②箱に入れて保管する

箱に入れて保管することで、経年によるタイムカードの劣化やインクの退色を防げます。ただし、輪ゴムやクリップで長期間にわたって留めるとタイムカードの破損につながる可能性があるため、注意が必要です。

また、タイムカードを箱に入れて保管する際は、管理者が見つけやすいようにすることもポイントです。


▼箱に入れて保管するときのポイント

  • 保管用の棚を設けて時系列に並べて保管する
  • 保管棚や箱に保管期間の起算日を記載したラベルを貼る
  • 部署や現場の拠点ごとに分けて箱に入れる


③紙媒体の情報をデータ化する

タイムカードの劣化や紛失を防ぐには、紙媒体の原本を保管するだけでなく、データ化して記録しておくことも一つの方法です。

タイムカードの情報を従業員ごとに転記して、期間や対象者で検索できるデータベースを作成しておくと、必要な情報をすぐに取り出せます。

また、タイムカードの劣化や紛失があった場合でも、データベースから勤怠記録を確認したり、紙に印刷して提出したりできるようになります。



システムを活用した勤怠管理も有効

紙媒体のタイムカードを廃止して、勤怠管理システムを導入することも有効です。

勤怠管理システムを導入すると、タイムカードを箱に入れて保存したり、データベースに転記したりする業務負担と物理的な保管スペースを削減できます。

また、勤怠記録の情報をデータとして管理できるため、ほかのシフト管理システムや給与管理システムに取り込むことも可能です。シフト上の労働時間と実際の勤怠記録の情報を突き合わせて、正しい給与計算を行えるようになります。

なお、タイムカードを廃止して勤怠管理システムを導入するメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  タイムカードを廃止して勤怠管理システムを導入!そのメリットとは? 従業員の勤怠管理方法として利用されることの多いタイムカードですが、最近ではより効率よく勤怠管理を行うために「勤怠管理システム」を導入している企業が増えてきています。ここでは、タイムカードによる勤怠管理の問題点と、勤怠管理システムで得られるメリットについて解説します。 シフオプ



まとめ

この記事では、タイムカードの保管について以下の内容を解説しました。


  • タイムカードを保管する必要性
  • タイムカードの保管期間
  • タイムカードを管理する際のポイント


タイムカードは、労働関係に関する重要な書類の一つとなり、5年間(当分の間は3年)の保管が事業主に義務づけられています。労働基準監督署からの開示請求への対応や、従業員とのトラブルを防止するためにも、労働時間を正確に記録して法令で定められた期間にわたって保管することが重要です。

また、タイムカードを保管する際は、保管期間を数えやすいように仕分けして、必要なときに保管場所が分かるようにすることや、劣化・紛失を防ぐための対策を行うことが必要です。

勤怠システムを活用すれば、紙媒体のタイムカードを仕分けして保管する労力・時間を削減できるほか、必要な情報をスムーズに取り出せます。ほかのシフト管理システムと連携すれば、労務管理にも役立ちます。

シフト管理システムの『シフオプ』では、シフトデータをCSVファイルで出力してほかの勤怠管理システムに取り込むことが可能です。シフト上の出勤状況と、勤怠システムでの打刻状況を照らし合わせながら、労働時間を正確に把握できます。

詳しい機能については、こちらの資料をご確認ください。


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