特別休暇は有給? 給与の取扱いと休暇の種類を解説

特別休暇は有給? 給与の取扱いと休暇の種類を解説

働き方改革や健康経営が推進されているいま、従業員が心身ともに健康で、ワークライフバランスを実現できる職場環境の整備が求められています。

そうしたなか、心身の疲労回復や家庭生活との両立を目的とした“特別休暇制度”を導入している企業があります。

法律で定められた年次有給休暇とは異なり、事業者に導入の義務はありませんが、働きやすい職場環境を実現するために特別休暇制度を設けることも一つの方法です。

特別休暇制度の導入を検討している人事・労務担当者のなかには、「給与や日数はどうすればよいか」「どのような種類があるのか」と考える方もいるのではないでしょうか。

この記事では、特別休暇制度の種類や給与の取扱いについて解説します。


目次[非表示]

  1. 特別休暇とは
  2. 特別休暇の種類
  3. 特別休暇における給与の取扱い状況
  4. まとめ


特別休暇とは

特別休暇制度とは、労使間の話し合いによって企業が任意で導入できる法定外休暇のことで、福利厚生の一つです。

特別休暇の導入は、ワークライフバランスの実現やリフレッシュの促進につながり、モチベーション・定着率などの向上の効果が期待できます。また、休暇を取得しやすい職場環境づくりにも貢献します。

特別休暇制度と区別が必要な休暇制度に、“年次有給休暇”があります。年次有給休暇は、『労働基準法』第39条において、一定の要件を満たす従業員に付与することが義務づけられている法定休暇です。

特別休暇と年次有給休暇の違いには、目的や付与義務、給与の取扱いなどが挙げられます。


▼特別休暇と年次有給休暇の違い


特別休暇
年次有給休暇
目的
  • 多様・柔軟な働き方の実現
  • 生産性の向上
  • 多様な人材の確保
  • 心身の疲労回復
  • モチベーションの向上
  • ゆとりある生活の実現
付与義務
なし
あり
給与の取扱い
企業の任意
有給


年次有給休暇は、勤続期間や所定労働日数に応じて付与日数が定められているほか、休暇日の賃金は減額されず、有給として取扱われます。

一方、特別休暇は、法律で定めのない法定外休暇に該当するため、休暇の目的や取得形態などは企業が任意で設定可能です。

出典:厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説』『特別休暇制度 導入事例集2021



特別休暇の種類

特別休暇の取得事由や付与日数は、企業が独自に定めることが可能です。ここでは、企業に導入されている特別休暇の種類を紹介します。


①夏季・冬季休暇

夏季・冬季休暇は、お盆休みや年末年始の時期に付与する休暇制度です。冬季休暇は、年末年始休暇と呼ばれることもあります。

お盆休みや年末年始は、帰省や旅行などを希望する従業員もいるため、まとまった連休を取得できるようにすることが目的です。

夏季休暇は、お盆休みに会社を営業しながら、従業員がそれぞれの希望日に夏季休暇を取得するイメージです。


②慶弔休暇

慶弔休暇は、従業員に祝いごとや弔事があった際に付与する休暇制度です。

取得事由としては、従業員本人や親族の結婚、配偶者の出産、家族や親族の通夜・葬儀などが挙げられます。

弔事に伴って取得する“忌引き”の場合、従業員との関係性によって、休暇の日数が柔軟に定められているケースもあります。一般的に、配偶者は10日、両親は7日、祖父母は3日の休暇が与えられます。


③リフレッシュ休暇

リフレッシュ休暇は、従業員をねぎらうことや、心身の疲労回復、気分転換を促すための休暇制度です。一定の勤続年数や、年齢に達した従業員に対して付与することが一般的です。

たとえば、以下のようにリフレッシュ休暇の付与条件を定めているケースがあります。


▼リフレッシュ休暇の付与条件例

  • 勤続3年ごとに5日間の休暇を付与する
  • 勤続20年で3日以内、30年で5日以内、40年で7日以内の休暇を付与する


④ボランティア休暇

ボランティア休暇は、従業員がボランティアに参加する際に付与する休暇制度です。

ボランティア活動には、地域・社会貢献活動や自然・環境保護活動、災害復興支援活動などが挙げられます。

企業の制度としてボランティア活動を推進することは、企業のイメージアップやよりよい人材の育成、社員のモチベーションアップにもつながると考えられます。


⑤記念日休暇

記念日休暇は、従業員自身の大切な日に付与する休暇制度です。アニバーサリー休暇や、誕生日休暇などの名称で導入している企業もあります。

取得事由としては、従業員や家族の誕生日、結婚記念日などが挙げられ、比較的幅を持たせていることが一般的です。


⑥裁判員休暇

裁判員休暇は、従業員が裁判員制度の裁判員として選ばれた際に、裁判に参加するために付与する休暇制度です。

裁判員として選ばれた場合、正当な理由がない限りは裁判に出席することが義務づけられています。『労働基準法』第7条においても、裁判員の参加に必要な休みを付与することが定められています。


第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


給与の取扱いは企業によって異なりますが、企業には従業員が裁判員として参加しやすくなるような環境整備が求められます。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/最高裁判所『裁判員制度Q&A



特別休暇における給与の取扱い状況

特別休暇における給与の取扱いは、企業が任意で決めることが可能です。

厚生労働省のアンケートによると、特別休暇を有給としている企業の割合が高い傾向にあります。また、どの特別休暇においても、約半数以上の企業が無給ではなく、有給として取扱っています。


▼特別休暇を有給としている企業の割合

種類
割合
リフレッシュ休暇
94.0%
裁判員休暇
81.5%
記念日休暇
80.3%
ボランティア休暇
75.0%

厚生労働省『II. 企業用アンケート調査の結果』を基に作成


特別休暇を導入する際は、従業員との話し合いのうえで、休暇取得の目的や希望に応じて、給与の取扱いについて就業規則に明記しておくことが重要です。

また、雇用形態の違いによって、特別休暇に不合理な待遇差を設けることは禁止されている点にも注意が必要です。

アルバイト・パートであっても、職務内容や配置変更の範囲などが通常の労働者と同一の場合には、福利厚生についても同一に付与することが求められます。

出典:厚生労働省『同一労働同一賃金ガイドライン』『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし』『II. 企業用アンケート調査の結果



まとめ

この記事では、特別休暇制度について以下の内容を解説しました。


  • 特別休暇とは何か
  • 特別休暇の種類
  • 給与の取扱い


特別休暇は、企業が任意で導入できる法定外休暇のことです。法令で付与義務のある年次有給休暇とは異なり、取得目的や付与日数、給与の取扱いについても独自に設定することが可能です。

特別休暇制度を導入する際は、従業員の希望、取得目的を踏まえて、付与日数や給与の取扱いについて就業規則で定めておくことが重要です。

また、正社員と非正規社員の間で不合理な待遇差が生じないように、付与する条件・範囲について、同一または均等・均衛になるように注意する必要があります。

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