
Excel(エクセル)の“予測シート機能”を使って売上予測を立てる方法
※2025年10月31日更新
不確実性の高いビジネス環境において、安定した経営を実現するためには、将来の売上を見据えた計画が欠かせません。そのための有効な手段のひとつが「売上予測」です。
過去の売上データをもとに将来の動きを予測できれば、適切な予算編成やリソース配分を行うことが可能になります。売上予測を立てるにはさまざまな方法がありますが、その一つにMicrosoft Excel(マイクロソフト・エクセル)の“予測シート機能”を用いる方法が挙げられます。
この記事では、Excelの予測シート機能を使った売上予測の立て方と売上予算の設定ポイントなどについて解説します。
目次[非表示]
Excelの予測シート機能とは
Excelの予測シート機能とは、既存のデータを基に、将来の予想値を算出する機能です。Microsoft Excel 2016から標準搭載されています。
予想値の算出に関数を入力する必要がないため、Excelに関する高度な知識がなくても活用できます。また、予測データを基にグラフとテーブルが自動生成されるため、予測値を視覚的に把握しやすいことも特徴です。
予測シート機能を活用することで、店舗の売上予測が手軽にできるようになるため、予算策定の際に役立ちます。
※予測値はあくまで過去のデータに基づいて算出されるため、実際の結果とは異なる場合があります。
Excelの予測シートで売上予測を導き出す方法
ここからは、Excelの予測シート機能を使って売上予測を算出する方法について解説します。
①毎月の売上高を表にまとめる
自店舗における毎月の売上高データを用意して、年月ごとの売上高(実績)を時系列で表にまとめます。
▼例:2020年4月~2021年3月の場合
A列に日付、B列に2020年4月~2021年3月の売上高を記入します。

日付については、毎月・毎週・毎年などの時系列、かつ周期的に並んでいる必要があります。これらの条件がそろっていなければ、正しく予測を実行できなくなるため注意が必要です。
②予測ワークシートを作成する
売上高のデータを基に表を作成した後、予測ワークシートを作成します。
①で入力した日付・売上高のセルを選択します。

セルを選択した状態で、[データ]タブの[予測シート]をクリックします。
![セルを選択した状態で、[データ]タブの[予測シート]をクリックします。](https://ferret-one.akamaized.net/images/61c27ac8e7691a383f534770/original.png?utime=1640135368)
以下のようなダイアログボックスが表示されます。

[予測終了]の項目には、売上予算を算出する終了日を入力します。
▼例:2022年3月までの売上予算を算出したい場合
[予測終了]に[2022/3/31]と入力して、[作成]をクリックします。
![[予測終了]に[2022/3/31]と入力して、[作成]をクリックします。](https://ferret-one.akamaized.net/images/61c27ac7b9525137696424b0/original.png?utime=1640135367)
[作成]をクリックすると、①で作成した既存の表に、新たに予測結果の表・グラフが生成されます。これで、売上予測を算出できました。

なお、作成したグラフについては、別のシートやワード、パワーポイントなどにも貼り付けられます。
Excelの予測結果に基づいた売上予算の設定ポイント
Excelの予測シート機能で売上予測を行うと、既存の表に3つの折れ線が表示されます。この3つの折れ線には、以下のような意味があります。
▼折れ線グラフの見方
- 一番上の折れ線:信頼上限
- 真ん中の折れ線:予測
- 一番下の折れ線:信頼下限

信頼上限と信頼下限の範囲を“信頼区間”といい、過去データによる平均を100%とした場合に、「95%はこの範囲に売上高が収まる」という意味があります。売上予算を立てるときは、この信頼区間の範囲内で設定することがポイントです。
なお、信頼区間は、予測管理シートの基本設定では95%となっています。信頼区間の幅が大きいほど予測が当たる確率が高く、小さくなるほど予測が当たる可能性が低くなると考えられます。
信頼区間の変更は、[オプション]の[信頼区間]から設定することが可能です。
売上予測を業務・経営判断に活かすには
売上予測は単なる数値の見通しにとどまらず、日々の業務改善や経営判断の質を高める重要な材料になります。
特に在庫の最適化や事業計画の策定、営業活動の精度向上といった現場に直結する領域で大きな効果を発揮します。さらに、組織全体で予測をリアルタイムに共有し、部署ごとに適切に管理できる体制を整えることで、より柔軟かつスピーディーな経営判断が可能となります。
売上予測と在庫管理・事業計画・営業への応用
売上予測の数値を在庫管理に活用すれば、余剰在庫の発生を抑えつつ、欠品リスクも軽減できます。これによりキャッシュフローが安定し、資金の有効活用にもつながります。
また、事業計画の策定においても、売上予測は投資計画や人員配置の判断材料となります。将来の需要増加が見込まれる時期を事前に把握できれば、広告費や人材採用などのリソース配分を最適化できます。
営業活動においても、予測データを活用することで「売れる時期」「重点商品」「狙うべき顧客層」が明確になり、営業戦略を効率的に組み立てられるようになります。単なる勘や経験に頼らず、データドリブンで動ける点が大きな強みです。
リアルタイム共有・部署別管理の工夫
売上予測を組織全体で効果的に活かすには、リアルタイムにデータを共有し、各部署が自分たちの業務に落とし込める仕組みが欠かせません。
例えば、クラウド型のExcelやBIツールを用いれば、最新の売上予測を経営層・営業・生産部門が同時に確認でき、意思決定のスピードが格段に向上します。さらに、部署ごとに必要な切り口でデータを管理・可視化する工夫も重要です。
営業は商品別や地域別、経営層は月次・四半期ベースなど、用途に応じた粒度で予測を参照できるようにすれば、現場と経営の視点を橋渡しする実践的なツールとなります。
売上予算の達成にはコストの適切な管理が重要
売上予算を達成するために重要なのは、適切なコスト管理です。
なかでも、人件費はコストのなかでも占める割合が多く、詳細に把握しておく必要があります。人件費を適切に管理することにより、コストのムダを省いて利益率アップを図れます。
適切な人件費の管理には、シフト管理システムを活用する方法があります。シフト管理システムの『シフオプ』では、事前に売上予算・人件費予算をシステムに設定しておくことで、シフト作成時に人件費を自動で算出できます。
シフト作成時に人件費予算を確認しながら人員配置を行うことで、人件費管理を最適化できます。適正な予算管理の実現に向けて、シフオプの活用をぜひご検討ください。
まとめ
この記事では、Excelを使った売上予測について以下の内容を解説しました。
- Excelの予測シート機能について
- Excelの予測シートで売上予測を導き出す方法
- Excelの予測結果に基づいた売上予算の設定ポイント
- 売上予測を業務・経営判断に活かすには
- 売上予算の達成にはコストの適切な管理が重要
店舗運営に必要な予算を策定して、安定した経営を図るためには、過去の売上高に基づいた売上予測を立てる必要があります。
Excelの予測シート機能を活用することで、過去の売上高データを基に売上予測を導き出せます。予測結果はグラフ・テーブルで自動表示されるため、予測値を視覚的に把握しやすく、関数の設定も不要です。
売上予算を設定する際は、予測結果における信頼区間の範囲内に収まるよう設定することがポイントです。
また、設定した売上予算を達成するためには、人件費を適切に管理することも欠かせません。『シフオプ』には、あらかじめ売上予算と人件費予算を設定することで、シフト作成時に人件費を自動で算出できる機能が備わっています。
予算管理の精度向上に向けて、予算を踏まえた適切な人員投入を実現できるシフオプをぜひご活用ください。
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