なぜ人手不足?飲食店の現状、原因や対策について
現在、外食産業では人手不足が問題となっています。多くの飲食店経営者や管理者の方がこの問題に悩まされているのではないでしょうか。
人手不足を解決するには、まず現状をしっかり理解することと、そのうえで一般的な対策を知っておくことが大切です。
この記事では、外食産業の人手不足の原因と対策を紹介します。
外食産業の人手不足の現状
(参照:農林水産省食料産業局|外食・中食産業における働き方の現状と課題について)
農林水産省の調査結果を見ると、どの業界も年々欠員率が上がっていることがわかります。
なかでも飲食店・宿泊業の2015年度の欠員率はほかの産業と比べ2倍以上となっています。
労働者の高齢化や非正規雇用の増加などの影響で今後さらに欠員率が上がることが見込まれ、どの業界においても対策は必須となっています。
ここからは外食産業の人員不足の実態について、詳しく紹介します。
所定外労働時間
労働基準法第32条では、一日8時間以内、一週間40時間以内を法定労働時間と規定し、その時間を超えた労働を時間外労働と呼びます。
(参照:農林水産省食料産業局|外食・中食産業における働き方の現状と課題について)
平成28年の厚生労働省の調査によると、外食産業の繁忙期では、正規社員の24.3%が一週間に60時間以上労働し、法定労働時間を20時間以上超える労働環境に置かれていることがわかります。
労働環境が過酷というイメージが人手不足につながっている可能性も考えられます。
離職率
(参照:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況)
外食産業は、ほかの業種と比較して離職率が高い傾向にあります。
厚生労働省が平成27年3月新卒を対象に行った調査によると、宿泊業・飲食サービス業では、ほぼ半数が就職後3年以内に離職しているという結果がでています。
離職率が高いと、人材も育たず作業の効率も下がり、生産性の低下にもつながります。
さらに同僚の離職に伴うモチベーションの低下、新規採用者の研修費、人手不足の加速、ひいては、さらなる離職率の上昇といった悪循環に陥ってしまうこともあるため、離職率の高さは問題視されています。
労働環境
外食産業は、人間の労働力に依存する割合が大きい労働集約型産業です。
社会ではIT化が進むなかで、労働集約型の外食産業のビジネスモデルが今の時代とかい離してきているとも言えるでしょう。
サービス業におけるこの問題は仕方がないという風潮もありますが、対策をしなければ人手不足の解消はいっそう難しくなります。
外食産業の人手不足の原因
外食産業でこのような現状となってしまったのには明確な原因があります。
所定外労働時間が延びる原因
外食産業が所定労働時間を大幅に超えてしまう原因としては、まず人手不足が挙げられます。
そのため、所定労働時間を大幅に超えてしまうことが多く、過重労働を防止しようとしても、人手不足で対策を講じることができないという悪循環に陥ってしまっているのです。
(参照:農林水産省食料産業局|外食・中食産業における働き方の現状と課題について)
つづいて、繁閑の差が大きいことも所定外労働が発生する原因の一つです。サービス業は顧客の対応で時間を超過してしまうケースや、突発的な業務の発生などもあり、これらが原因となって所定労働時間を大幅に超えてしまっています。
離職率が高い原因
離職率の高さは所定外労働時間の長さも原因となっていますが、その労働に見合った賃金が受け取れていないことも原因のひとつとなっています。
男女計平均賃金 |
男性平均賃金 |
女性平均賃金 |
|
一般労働者全体 |
304.3万円 |
335.5万円 |
246.1万円 |
宿泊業・飲食サービス業 |
235.75万円 |
271.4万円 |
200.1万円 |
厚生労働省の調査によると平成29年度の宿泊業・飲食サービス業の賃金は平均よりも約70万円も低いことがわかります。
労働に対して充分な報酬が支払われていなければ、従業員の定着は難しいと言えるでしょう。
労働環境の悪化の原因
飲食店の労働環境を正確に表現すると「ほかの業種の環境が向上したが、飲食業界は変わっていない」になります。そのため労働環境の悪化がより強く感じられます。
ほかの業界では順調にIT化が進み、インターネットや便利な道具が普及しているなか、食料品を提供していることや、労働集約型産業であることなどが原因で、IT化になかなか対応できていない現状です。
また、現在女性の社会進出が推進されていますが、外食産業は女性にとって働きにくい業界とされています。
女性の働きやすい業界ワースト10 | ||
---|---|---|
業種 |
評価点 |
|
1 |
理容・美容・エステティック |
2.73 |
2 |
フードサービス・飲食 |
2.77 |
3 |
放送・出版・音響 |
2.80 |
4 |
広告・PR・デザイン |
2.80 |
5 |
住宅設備・建築・エクステリア |
2.89 |
6 |
教育・研修サービス |
2.92 |
7 |
印刷・紙・パルプ・パネル |
2.93 |
8 |
コンサルティング・シンクタンク |
2.94 |
9 |
不動産関連 |
2.98 |
10 |
インターネット |
2.99 |
(参照:Vorkers|働く女性のREAL-女性の働きやすい業界ランキングワースト10)
これらは労働時間や賃金のほかに、生鮮食品を取り扱う低温状態の空間と、調理場の高温状態や、同じ姿勢での長期的な作業などが原因とされています。
外食業界における人手不足対策の現状
前述したとおり、外食産業は人手不足のために起きている悪循環が影響しており、対策を行わなければ今後業界の衰退は避けられません。
しかし、人手不足の大きな原因となっている、所定外労働に対する取り組みがあまり進んでいないのが現状です。
(参照:農林水産省食料産業局|外食・中食産業における働き方の現状と課題について)
具体的な対策
外食産業の人手不足の対策を行う前に目標をしっかりと定める必要があります。
目標は労働者一人ひとりの労働時間を見直し、休暇をきちんと制定することです。
そして、物理的な労働環境の問題や、女性の働きやすさなどの改善に着手しましょう。
最後に、労働時間を調整するためにできる具体的な対策をいくつか紹介していきます。
スタッフのマルチタスク化
外食業界では、キッチン・フロアでスタッフが分かれていることが多いです。
しかしキッチンが忙しくてもフロアが忙しくない状況や、その反対の状況を経験したことがある経営者も多いことでしょう。このような状況には、
キッチン・フロアの兼任スタッフの人員を増やすことで対応できます。スタッフをマルチタスク化することで、お互いに業務をカバーしあうことができ、人手不足解消につなげることができるでしょう。
POSレジの導入
次に所定外労働の原因として、人手不足の次に多い、繁閑の差についての問題を解決しましょう。
そのためには無駄な人員と、足りない人員のデータを明確にする必要があります。
現在ではPOSレジの使用で、感覚ではなく正確な数値として繁閑の差を知ることができます。繁閑が激しい飲食業界は特に導入することをおすすめします。
シフト管理の見直し
シフト管理をエクセルで作っている場合、そのデータをもとに無駄な人員がでないようシフトを組むようにしましょう。
また、エクセルで管理することが難しいという経営者の方は、シフト管理システムの導入をおすすめします。
シフト管理システムではシフトを組む作業だけでなく、どの時間にどの店舗で人手不足が発生しているのか簡単に確認できるといった機能が搭載されています。
シフト管理を見直すことで人の目では見えてこなかった情報を可視化できますので、無駄な拘束時間と人件費を大幅に減らすことが可能です。
まとめ
外食産業は性質上、ほかの業種と比べIT化の恩恵は受けづらい業界です。
しかし、これからは進んで取り入れていくことが外食産業の継続には必要となってきます。
まず、容易に取り入れられるPOSレジや、シフト管理システムの導入を始めてみましょう。
シフト管理システム「シフオプ」ではシフト作成以外にも、人件費の管理や、多店舗と簡単に連携を取ることができる一括ヘルプ募集機能、、人手不足の対策に役立つ機能が複数搭載されています。
また、モバイル連携も可能なため、スマートフォンで簡単にシフト提出や確認ができ、従業員とコミュニケーションも自然と増えてきます。
実際にシフオプは大手ハンバーガーショップや、大手定食チェーンでも導入され、外食業界のほかにもさまざまな大手企業に評価されています。
人手不足に悩まされている外食産業の経営者の方はこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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