看護師の人手不足の現状・原因と解消に向けた5つの対策

看護師の人手不足の現状・原因と解消に向けた5つの対策

※2019年2月18日公開の記事に修正を加えています。


少子高齢化に伴い、医療・介護需要の高まりが予想されるなか、看護師の人手不足が社会問題となっています。

また、2019年頃から新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の患者への対応も必要となったことで、人手不足が医療提供体制の逼迫につながっているケースもあります。

看護師の人手不足が顕在化している医療機関・介護施設においては、現状や原因を把握したうえで、適切な対策を講じることが重要です。

この記事では、看護師の人手不足の現状と考えられる原因、人手不足解消に向けた対策を解説します。


目次[非表示]

  1. 看護師の人手不足の現状
  2. 看護師の人手不足が起こる原因
  3. 人手不足解消に向けた5つの対策
  4. まとめ


看護師の人手不足の現状

2020年末時点における看護師の就業者数は1,280,911人となっており、2010年以降増加傾向にあります。


▼看護師・准看護師の就業者数の推移

看護師・准看護師の就業者数の推移

厚生労働省『令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』を基に作成


看護師の総数は増加していますが、医療機関に配置する必要のある看護師の人数を満たしていない病院も見られます。


▼医療機関の充足・未充足状況(

医療機関の充足・未充足状況

画像引用元:厚生労働省『令和2年版 厚生労働白書 資料編


データを見ると、医師数は法定人数を満たしているが、看護師数は満たせていない医療機関が一定数あることが分かります。

また、2019年の看護師の求人倍率は、全都道府県において1.0倍を下回る県は一つもなく、人材需要に対して供給が追い付いていない状況です。

このように、看護師の総数は増加しているものの、地域・領域別に偏在が見られることから人手不足になっている施設もあります。

※医療法で定められている病院に配置する医師、看護師・准看護師の法定人数を満たしている医療機関を“充足”、満たしていない医療機関を“未充足”として考える。

出典:厚生労働省『令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』『令和2年版 厚生労働白書 資料編』『医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ



看護師の人手不足が起こる原因

人手不足が起こる原因には、医療現場ならではの労働環境の厳しさや不規則な勤務形態、コロナ禍に伴う医療需要の拡大が考えられます。


業務量・ストレスの負担

看護師の仕事は、大きく分けて医師の診療補助と患者の日常生活援助の二つです。

点滴や投薬などのような医師の診療補助だけでなく、食事・入浴の補助やベッドメイキングなど患者の日常生活援助に関する業務も多数あります。

また、緊急の対応や患者の急変、看護記録の作成などによって、勤務時間内に業務が終わらず、残業が続くこともあります。人手不足の現場においては、受け持ち患者の人数とともに、業務量が増えてしまうことが懸念されます。

さらに、医療現場は生命に関わる責任があるため、仕事には常に緊張感が伴います。そのため、看護師が精神的に不安定になって、離職に至るケースもあります。


不規則な勤務形態

勤務が不規則になりやすいことも、人手不足の原因の一つです。

夜勤が必須でないところもありますが、病院で勤務する看護師には夜勤があります。

看護師の人数が少ない夜勤は、現場の繁忙度が高まるほか、急変や緊急入院といったイレギュラー対応も必要となるため、看護師の負担が増加することが問題となっています。

また、“朝起きて、夜に寝る”という通常の生活リズムとは異なる時間帯に勤務することで、疲労や睡眠不足が重なり、体調を崩してしまうことが懸念されます。余裕のない勤務が負担となって、離職に至るケースもあります。

さらに、不規則な勤務形態によって、シフト管理の業務が煩雑化するケースも考えられます。看護師の希望やスキル、夜勤や連続勤務などを考慮したシフト管理を行うとなれば、担当者に負担がかかります。


少子高齢化

人手不足を招く原因として、少子高齢化が挙げられます。

入院患者の高齢化によって、日常生活援助を求められるケースが増加したことで、看護師の繁忙度が増して、人手不足につながっています。

また、少子高齢化の影響によって、医療従事者の養成所における学生・職員の確保が困難になるケースも見られます。各地域での養成機能が損なわれると、その地域での看護師の確保がさらに難しくなることが懸念されます。


コロナ禍による業務の増大

コロナの流行に伴う業務の増加によって、看護師を含む医療従事者の人手不足につながっています。

コロナ禍では、感染患者への対応をはじめ、院内の感染対策やウイルス検査などの業務負担が増加しています。その結果、集中治療や人工呼吸器装着患者への対応など、コロナ禍で増大する業務に対応できる看護師を確保できないケースが発生しています。

また、医療従事者自身がコロナ感染すれば、出勤停止や自宅隔離が必要となり、現場の人手不足につながることも懸念されています。


休職・離職の多さ

人手不足の背景には、看護師の休職・離職の多さも関係しています。

国内における看護師の9割は女性となっており、出産や子育てなどを理由に休職・離職するケースが多くなっています。

また、医療現場でのハラスメントによって精神障がいを発症して、労災認定がなされたケースも見られます。ハラスメントによるストレスを理由に、離職することも少なくありません。

出典:厚生労働省『医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ』『医療従事者の勤務環境の改善について



人手不足解消に向けた5つの対策

看護師の人手不足を解消するための対策として、以下の5つが挙げられます。


①処遇の改善

看護師一人ひとりの業務負担が大きい現場であっても、すぐには人手不足の問題を解消できないという場合もあります。そのような場合は、給料や手当などの処遇を改善して、不満の解消につなげることも一つの方法です。

処遇の改善方法として、仕事内容・スキルに応じた昇給制度の整備、夜勤手当や残業手当の増額などが挙げられます。現場で働く看護師のモチベーションを上げることで定着率の向上につながるほか、魅力的な病院として採用にも有利に働くことが期待できます。


②業務分担の見直し

人手不足が発生する原因の一つに、看護領域以外の業務が多いことも挙げられます。業務過多によって看護師の負担が発生している場合は、業務分担を見直して専門性を生かせる人員配置を行うことが重要です。

看護師をはじめ、薬剤師や臨床検査技師などの医療従事者が専門性を生かせるように、他職種への分散を図ったり、現場内で情報を共有したりする対策が挙げられます。

業務分担を見直して現場の負担を分散・共有することで、人手不足の解消や医療提供体制の効率化につながります。


③育児・介護支援

看護師のなかには、出産や子育て、介護などを理由に夜勤が難しくなる人もいます。仕事と家庭との両立が難しい看護師の離職・休職を防ぐためには、病院全体での支援が必要です。


▼育児・介護支援に向けた取組み例

  • 夜勤なしの勤務形態を導入する
  • 時短勤務を採用する
  • 有給休暇制度を拡充する
  • 院内託児所を設置する


病院全体で育児・介護支援に取り組むことで、看護師が長く働き続けられる職場となり、定着率の向上が期待できます。

また、ライフイベントを踏まえた復職支援を実施することで、一度離職しても復帰しやすい環境となり、人手不足の解消につながります。


④クラウドサービスの活用

人手不足解消の取組みの一つとして、クラウドサービスの活用が挙げられます。

医療現場にクラウドサービスを取り入れることで、診療補助やデータ共有、カルテ管理などの業務を効率化することが可能です。

業務の効率化やプロセス改善を図ることで、看護師の負担が軽減されて、生産性の向上が期待できます。


▼クラウドサービスの活用例

  • カルテを電子化して業務の負担を軽減する
  • クラウド型RPAを導入して、診療予約やレセプト業務を自動化する
  • データ共有プラットフォームを導入して複数病院・病棟のデータ管理を行う
  • シフト管理システムを導入して、看護師のシフト管理業務を効率化する


⑤人材の育成

看護師の離職を防止して、定着率向上を図るためには、人材育成ができる環境を整備することも重要です。

看護師のキャリアアップ制度を導入することで、モチベーション・定着率の向上が期待できます。また、入職して間もない看護師の学習環境を整えることで、実務に対する不安を解消して、早期の離職を防げます。


▼人材育成の取組み例

  • 入社年数・スキルに応じた研修制度を実施する
  • 現場業務に役立つeラーニングを提供する
  • リーダー研修・マネジメント研修を実施する
  • インターン湿布制度を導入する



まとめ

この記事では、看護師の人手不足について以下の内容を解説しました。


  • 人手不足の現状
  • 人手不足が起こる原因
  • 人手不足解消に向けた5つの対策


看護師の総人数は増加していますが、地域・領域別に偏在が見られることから、人手不足になっている医療機関もあります。

人手不足を解消するためには、処遇の改善や育児・介護支援によって働きやすい職場環境をつくることが重要です。また、看護師の業務分担の見直しやIT活用によって医療体制の効率化を図ります。

さらに、看護師の離職防止・定着率向上に向けて、キャリアアップやスキル習得を支援する制度を導入することも有効です。

なお、看護師が長く働きやすい職場をつくるには、個々の事情に配慮したシフト管理も必要です。

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