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経営者必見!副業における労働時間管理の注意点

※2025年6月27日更新

副業を行いたいと考える人の割合は、年々増加傾向です。企業にとっても、副業を受け入れることで人手不足に対応しやすくなります。

一方で、副業によって労働時間が長くなることで、『労働基準法』に抵触する可能性があります。副業を受け入れる場合、労働時間のルールを押さえたうえで各従業員の副業の状況と労働時間を把握することが欠かせません。

この記事では、労働時間の規則や副業における労働時間の考え方、割増賃金の例、法令順守に必要な労務管理について解説します。


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


目次[非表示]

  1. 労働時間の規則
  2. 副業における労働時間の考え方
  3. 副業における割増賃金
  4. 副業における法令遵守には従業員の労務管理が重要
  5. まとめ


労働時間の規則

労働基準法では、労働時間の上限における原則としての法定労働時間と、それを超えて働く場合の規則が定められています。


法定労働時間について

労働時間の上限は1週間につき40時間、1日に8時間と定められており、これを法定労働時間と呼びます。


▼労働基準法第32条

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


法定時間を超えて働かせた場合、法定時間外労働として扱われます。


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


法定時間外労働について

従業員に法定時間を超えて労働させるには、36協定の締結が必要です。36協定とは、労働基準法第36条による時間外・休日労働に関する労使協定を指します。

加えて、法定時間外労働をさせた企業は労働基準法第37条に規定されている割増賃金を従業員に支払う必要があります。


▼労働基準法第36条、第37条

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


注意しておきたいのは、36協定を締結して割増賃金を支払ったとしても、際限なく働かせることはできないということです。


▼法定外労働時間の上限

法定外労働時間の上限

画像引用元:中小企業庁『働き方改革関連法等について~ 時間外労働の上限規制、「しわ寄せ」防止対策 ~


法定外労働時間の上限は原則として月45時間、年360時間までです。通常予見できない業務量の大幅な増加があった際は上限を超えられますが、その場合も年720時間をはじめとする制限が定められています。


▼労働基準法第36条第5項

⑤ 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/中小企業庁『働き方改革関連法等について~ 時間外労働の上限規制、「しわ寄せ」防止対策 ~



副業における労働時間の考え方

副業を行う場合、労働時間は通算して扱われます。


▼労働基準法第38条

(時間計算)
第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


つまり、本業のほかに副業がある場合、それぞれの企業で法定労働時間が適用されるのではなく、2か所以上あわせて1日8時間・週40時間以内が法定労働時間となります。副業によって法定労働時間を超える場合には36協定の締結も必要です。

ただし、副業を行う人の条件次第では労働時間が通算されない場合もあります。また、36協定による限度時間についても通算の対象外となります。


▼労働時間が通算されないケース

次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されない。
・ 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、
アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)
・ 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・
養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高
度プロフェッショナル制度)

引用元:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン


▼労働時間の通算に関する36協定の扱い

 時間外労働(労基法第36条)のうち、労基法第36条第1項の協定(以下「36協定」という。)により延長できる時間の限度時間(同条第4項)、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(同条第5項)については、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めることとなる。
 また、36協定において定める延長時間が事業場ごとの時間で定められていることから、それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されない。

引用元:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン


出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン



副業における割増賃金

時間外労働の割増賃金についての支払い義務を負うのは、一般的に労働契約をあとから締結した企業です。


▼副業における割増賃金の支払い

従って、一般的には、通算により法定労働時間を超えることとなる所定労働時間を定めた労働契約を時間的に後から締結した使用者が、契約の締結に当たって、当該労働者が他の事業場で労働していることを確認した上で契約を締結すべきことから、同法上の義務を負うこととなります。

引用元:厚生労働省『「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A


ここでは、副業先の企業があとから労働契約を締結しているものとして割増賃金の考え方を解説します。


出典:厚生労働省『「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A


本業の所定労働時間が1日7時間で週35時間の場合

本業の所定労働時間が1日7時間で週35時間の場合、法定労働時間に届かない1時間の分については副業先でも割増賃金が発生しません。1時間を超えた労働時間に対しては割増賃金が適用されます。

本業で2時間の残業があった際には、法定労働時間を超えた1時間分が割増賃金の対象となったうえで、副業の労働時間すべてにも割増賃金が生じます。


本業の所定労働時間が1日8時間で週40時間の場合

本業の所定労働時間が1日8時間で週40時間の場合、副業先での勤務時間はすべて法定時間外労働となり、割増賃金が適用されます。

本業の職場で残業があったときは、本業の時間外労働と副業のすべての時間が割増賃金の対象です。



副業における法令遵守には従業員の労務管理が重要

本業と副業を通算して1日8時間、週40時間を超える労働は割増賃金の支払い義務が発生するため、経営者やシフト作成・管理する担当者は、一人ひとりの労働時間を把握する必要があります。

人手不足解消に副業のアルバイトの受け入れを検討している店舗や企業には、シフト管理システムの導入がおすすめです。シフト管理システムによってシフトの作成や収集などを一元化することで、従業員のシフトを把握しやすくなり、副業をしている従業員が働きやすい環境を構築できます。また、シフト作成担当者にかかる負担の軽減や人的ミスの削減にも寄与します。



まとめ

この記事では、副業における労働時間管理について以下の内容を解説しました。


  • 労働時間の規則
  • 副業における労働時間の考え方
  • 副業における割増賃金
  • 副業における法令遵守には必要な労務管理


副業を持つ従業員をすでに雇用している、または雇用を検討している企業にとって、労働時間と割増賃金の把握は欠かせません。

賃金計算や人件費予測の労力、コンプライアンス違反のリスクを理由に採用を見送ってきた企業や店舗にとっては、シフト管理システムの導入で副業を採用しやすくなり、人手不足の解消が図れます。

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