
勤務形態の種類 | 企業側・従業員側でどのようなメリット・デメリットがある?
近年、働き方改革の実現や人手不足の解消に向けて、多様な勤務形態の導入が推進されています。
従業員が働きやすく、プライベートと両立しやすい勤務形態を導入することは、生産性の向上や離職の防止にもつながると期待されています。
勤務形態の見直しや新制度の導入を検討しながら、「自社にどのような働き方が合っているのだろう」「どのような勤務形態があるのか把握したい」と情報を集めている人事・労務担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、代表的な勤務形態の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
勤務形態の種類
企業に導入されている勤務形態は、大きく5つに分けられます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
①固定労働時間制
固定労働時間制とは、法定労働時間内、かつ就業規則で定めた勤務時間帯に働く勤務形態のことです。
『労働基準法』第32条では、法定労働時間は原則1日8時間・週40時間と定められています。固定労働時間制においては、法定労働時間内で、9時~17時というように始業・終業時刻が定められており、毎日固定の時間に勤務します。
▼企業側のメリット・デメリット
メリット |
勤務時間帯が固定されているため、勤怠管理・給与計算を行いやすい |
デメリット |
急な欠勤が出た場合の人員確保が難しい |
▼従業員のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
出勤予定日が決まっているため、急な休みを取りにくい |
出典:e-Gov法令検索『労働基準法』
②シフト勤務制
シフト勤務制とは、企業の営業時間内で一定の勤務パターンを組み合わせて、従業員が交代制で働く勤務形態です。
一般的に、一日の稼働時間が長い飲食店やサービス業、工場などで採用されています。
また、シフトパターンは、固定シフト制や希望シフト制、交代制などがあります。
▼企業側のメリット・デメリット
メリット |
営業時間を長く設定できる(早朝や深夜など) |
デメリット |
人員調整や休み希望の反映が必要になり、シフト作成に労力がかかる |
▼従業員のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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③フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、あらかじめ総労働時間を定めて、その範囲で従業員が始業・終業時刻を自由に決定できる勤務形態です。
総労働時間は、3ヶ月以内の一定期間(清算期間)を平均して、あらかじめ定めた総労働時間を超えない範囲で設定します。
また、フレックスタイム制では、必ず出社しなければならない“コアタイム”を定めることも可能です。なお、導入の際は、就業規則で規定するとともに、労使協定で所定事項を定める必要があります。
▼企業側のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
労働時間の管理や賃金清算が複雑になりやすい |
▼従業員のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
実労働時間を把握しづらく、残業が発生する可能性がある |
出典:厚生労働省『労働時間・休日』『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』
④変形労働時間制
変形労働時間制とは、一定期間を平均して、法定労働時間を超えない範囲で特定の日・週に法定労働時間を超えて労働できる勤務形態です。
ここでいう一定期間の単位は、1週・1ヶ月・1年に分けられます。いずれの場合も、一定期間内の総労働時間を労使協定または就業規則で定めて、その枠内で働く仕組みです。
▼企業側のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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▼従業員のメリット・デメリット
メリット |
メリハリのある働き方ができ、ワークライフバランスを維持しやすい |
デメリット |
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出典:厚生労働省『労働時間・休日』『現行の労働時間制度の概要』
⑤みなし労働時間制
みなし労働時間制とは、労働時間の算定が困難な職種において、所定労働時間を労働したものとみなす勤務形態です。
事業場外みなし労働時間制・専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制の3種類があり、事業場外で働く人や研究開発、企業の経営企画・調査などの職種で導入されています。
▼企業側のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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▼従業員のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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出典:厚生労働省『労働時間・休日』『現行の労働時間制度の概要』
まとめ
この記事では、勤務形態について以下の内容を解説しました。
- 5つの勤務形態
- 企業側と従業員のメリット・デメリット
近年、働き方の多様化や、ワークライフバランス実現の観点から、一人ひとりに合わせた柔軟な働き方が実現しやすくなったといえます。
勤務形態によってメリット・デメリットが異なるため、自社の業種や職種、従業員の希望などに合った働き方を選択することが重要です。
また、労務違反や残業代の未払いなどのリスクを防ぐためには、日々の労働時間を適切に管理・把握することも欠かせません。
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