シフト作成の担当者は、その日の忙しさや人件費などを考慮しながら、人手不足にならないように人員を配置します。

シフトを作成する際に重要なのは、平等なシフトを作成することです。平等なシフトを作成して、一人ひとりが働きやすい職場をつくることで、従業員からの信頼獲得につながります。

また、シフト作成においては、従業員のシフト希望を反映することも大切です。自身のシフト希望が反映されないことで、従業員の不満が募り、満足度やモチベーションが低下してしまうことがあります。

この記事では、平等なシフト作成の課題をはじめ、従業員の満足度を高めるシフト作成のポイントを解説します。

平等なシフト作成が難しい理由

シフト作成では平等性が求められますが、簡単なことではありません。平等なシフト作成が難しい主な理由は次のとおりです。

労働条件やスキルが異なる

シフト作成時は、従業員によって異なる労働条件やスキルを考慮する必要があります。

学生アルバイトやパートは、扶養による収入の上限や勤務時間帯が制限されているケースもあります。このような個別事情を反映しながら、すべての従業員が平等になるようシフトを組むことは容易ではありません。

▼不平等が生じやすいシフト例

• 忙しい時間帯に、スキルのあるベテラン従業員ばかりを配置する
• 扶養内で働くパートの年間の所得上限を超えるため、繁忙期にシフトに入れられない

休み希望が集中する

土日祝日や年末年始などの長期休暇は、従業員の休み希望が集中しやすくなります。必要な人員数を確保できない場合、全員の休み希望を反映することはできません。

管理者の故意でなかったとしても、一部の従業員の休み希望だけが反映されることで、そのほかの従業員が不公平と感じてしまうことがあります。

▼不公平感が生まれやすいシフト例

• 子どもがいるパートの土日祝日の休み希望を優先する
• 働く曜日・時間帯に制限のないアルバイトに長期休暇のシフトが集中する
• テスト期間や受験前のシーズンは、学生アルバイトの休み希望を優先する

急な欠員が発生する

体調不良や急用などで、予定していたシフトに欠員が発生するケースも少なくありません。その日の必要人員を補充するために、ほかの従業員に出勤をお願いする必要が出てくることもあります。

ところが、特定の従業員ばかりにヘルプをお願いしていると、職場への不満につながることがあります。たとえば、以下のように欠員補充を行っている場合、不公平感が生まれやすくなります。

▼不公平感が生まれやすい欠員補充の仕方

• 子どもの急病でパートが欠勤したため、休暇中の社員に出勤をお願いする
• アルバイトが体調を崩して欠勤したため、勤務中の従業員に残業をお願いする

平等性を欠いたシフトは従業員の満足度の低下を招くことも

平等性を欠いたシフトは、従業員の満足度やパフォーマンスの低下につながる可能性があります。

従業員にとって休み希望がとおることは、働きやすさに直結する重要な要素の一つです。なぜなら、従業員によって希望する働き方や事情が異なるためです。

自分の要望がなかなか反映されないシフトの場合、従業員の不満が募り、満足度が低下してしまいます。その結果、モチベーションを維持できずにパフォーマンスの質が低下したり、離職につながったりすることも考えられます。

▼従業員満足度の低下を招くシフト例

• 休み希望がいつも通らない
• 特定の従業員の休み希望だけが反映されている
• 入社時に約束していた勤務日数を超えて、シフトに入れられている
• テスト期間や長期休暇など、イレギュラーな休み希望に融通が利かない

従業員のパフォーマンス低下や離職を防ぎ、満足度の向上を図るためには、統一化されたルールのもと、平等なシフトを作成することが大切です。

従業員の満足度を高めるシフト作成の3つのポイント

従業員の満足度を高めるには、シフトの平等性を保つ必要があります。

人件費や必要人員数の観点から、シフト希望をすべて反映することは難しいですが、透明性のある枠組みで不平不満が溜まらないような工夫が必要です。ここでは、従業員の満足度を高めるシフト作成のポイントを3つ紹介します。

①シフトのルールを定める

シフトの平等性を維持するために、シフト作成のルールを定めておくことがポイントです。たとえば、次のようなルールが挙げられます。

▼シフトルールの設定例

• 土日祝日の休み希望は、月に3回までと決める
• 休み希望が集中した場合は、各従業員と相談のうえで決める
• 連日の休み希望は、2ヶ月前に申請する
• 当日のヘルプ出勤をした場合には、必要に応じて振替休日を付与する

透明性のあるルールに則ってシフトを作成することで、労働負担や休み希望を平等に分散していることを従業員に周知できます。また、管理者の判断によって特定の従業員が優遇されてしまうことも防げます。

シフトの平等性を保つことで、従業員が不満を感じにくいほか、管理者と従業員との信頼関係の構築にもつながります。

②労働条件や個別事情を把握する

労働条件や個別の事情は従業員によって異なるため、採用時に確認しておくことが重要です。確認が必要な項目には、以下が挙げられます。

▼採用時に確認しておきたい項目

• 1週間の勤務可能日数
• 勤務可能な時間帯
• 収入の上限の有無
• 土日祝日や長期休暇の出勤可否

働ける日数や時間帯、収入の上限などを事前に確認して、労使間で認識を共有することがポイントです。これにより、「聞いていたシフトと違う」「希望していないのに多くのシフトを入れられる」などといった不満が生じるのを防げます。

③ヘルプ体制を構築する

シフトに穴が空いた場合や急な欠員が出た場合に備えて、人員補充を行いやすい体制を構築しておくことが大切です。

ヘルプ体制を構築するには、以下のような取り組みが有効です。

▼ヘルプ体制構築の例

シフト表や共有ボードに各自名前を入れるなどして、シフトの確定後に追加で勤務できる日時を事前にヒアリングしておく

シフト管理システムやチャットツールで、従業員に向けて一斉にヘルプを募集する

すべての従業員から一斉にヘルプを募集することで、特定の従業員に労働負担がかからないようにします。また、働きたい人を優先的に補充することによって、不満を生むことなく人員を確保することが可能です。

このようなヘルプ体制を構築できれば、イレギュラーなシフトにも柔軟に対応しやすくなり、従業員が働きやすい職場環境の実現につながります。

まとめ

この記事では、シフト作成において大切な平等性の確保について、以下の項目で解説しました。

• 平等なシフト作成が難しい理由
• 平等性を欠いたシフトと従業員満足度の低下について
• 従業員満足度を向上するシフト作成のポイント

従業員の満足度を高めるためには、シフト作成で平等性を保つことが重要です。

平等なシフトを作成するには、事前にシフト作成のルールを定めたうえで、労働条件や個別事情を配慮すること、ヘルプ募集の体制を構築することがポイントです。

また、シフト管理システムを活用することも有効です。

シフト作成・管理システムの『シフオプ』では、事前に従業員の労働条件を設定しておくことにより、条件に沿ったシフトを作成できるようになります。従業員のシフト希望をベースに人員配置を調整できるため、シフト希望をできる限り反映しつつ、スキルや個別事情に応じたシフト作成が可能です。

さらに、システム経由でヘルプ募集ができる機能も備わっているため、急な欠員が出た際の人員確保にも貢献します。

シフオプの活用により、個別の条件や事情に応じた人員配置がスムーズになり、担当者の負荷軽減にもつながります。

平等なシフトで従業員の満足度を高めたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。