
AIによるシフト作成は本当に便利? 知っておきたいメリット・デメリットとは
※2025年9月18日更新
シフト作成業務を効率化する手段の一つに、「AIを利用してシフトを自動化する」という方法があります。近年、AIはさまざまなシーンで活用されており、シフト作成もAIを活用できる業務の一つです。
AIによるシフト作成の自動化によって、これまで人の手で作業してきた業務負荷を削減できると期待できます。一方で、AIによる自動化にはデメリットもあります。
AIの導入を検討する前に、自動化したい部分はどこなのか、自社の体制に適しているかどうかという点をしっかり整理したうえで、ツールを比較することが重要です。
この記事では、AIによるシフト作成のメリット・デメリットを踏まえて、煩雑なシフト作成業務の効率化に役立つツールを紹介します。
AIによるシフト作成で自動化できること
AI技術を取り入れたシフト作成ツールを用いることで、シフト作成に関わるデータを基にAIが機械学習を行い、シフトを自動で作成できます。
繁忙期や閑散期、人件費予算、従業員の勤務条件などのデータをAIが学習するため、法的または自社のルールに応じた人員配置が可能です。
▼AIで自動化できるシフト作成業務の例
- 従業員のシフト希望を集約する
- シフト希望、時間帯ごとの必要人員、人件費予算に基づいて人員を配置する
- 労働時間や休日数の労務規定を満たしたシフト調節を行う など
AIでシフト作成を自動化するメリット
AIでシフト作成を自動化することで、業務負荷の削減や法令遵守、人件費・人員配置の最適化などの効果が期待できます。
シフト作成業務の負荷を削減できる
シフト収集や調整などの業務を自動化することで、シフト作成業務の負荷を削減できます。
紙面または表計算ソフトのシフト表に従業員のシフトを転記したり、時間帯や人件費を考慮して人員調整をしたりなどの業務をAIに任せられます。これにより、シフト作成にかかる業務負荷が軽減し、管理者や店長はコア業務に注力できるようになります。
労働基準法・就業規則を遵守できる
AIを用いることで、『労働基準法』や会社の就業規則などの一定の条件に基づいてシフトを作成できます。
労働基準法では労働時間や休日に関する規定が定められているため、シフトの作成時には法令の遵守が求められます。また、会社独自の就業規則が規定されている場合にはそちらも考慮したシフト作成が必要です。
▼労働基準法第32条、34条、35条
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『労働基準法』
AIを活用することで人の手によるチェックで発生しやすい抜けや漏れを防止でき、会社・店舗のルール、法律を順守した人員配置が行えます。
なお、コンプライアンス違反のリスクについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください
コンプライアンス違反の事例から見るリスクと5つの防止策
出典:e-Gov法令検索
『労働基準法』
人件費・人員配置を最適化できる
AIを活用することで、人の手で行ってきた過去のシフトデータの蓄積を基に分析が行えます。
時間帯ごとの顧客数の傾向や売上予算などを分析することで、人件費や人員配置を最適化できます。余剰人員や人員不足を防ぐためにも役立ちます。
AIでシフト作成を自動化するデメリット
AIによる自動化を導入すると、シフト作成業務を効率的に行える一方で、細かな調整はしづらい場合があります。
従業員の入れ替わりに対応しにくい
シフト作成にAIを用いる場合、事前に設定したルールやパターンに基づいてシフトが自動作成されます。そのため、ルールやパターンを設定したあとで従業員の入れ替わりが発生してしまった場合には、そのたびに新たなルール設計が必要です。
また、蓄積したデータに基づき機械学習によってシフトを自動作成した場合、現場の実情と合わないシフトが作成されて修正が必要になる可能性もあります。
これらの理由から、従業員の入れ替わりが激しい現場ではシフト作成業務をすべて自動化することは難しいといえます。
個別の事情を考慮できない
AIによるシフトの自動作成におけるデメリットとして、個別の事情の考慮が難しい点が挙げられます。
シフトの作成時には、勤務条件や労働基準法などの明文化されたルール以外にもさまざまな要素を考慮する必要があります。
▼シフト作成で考慮が必要な要素
- 従業員同士の人間関係
- 新人の指導体制
- 業務内容ごとの負荷 など
これらに配慮しながらシフトを作成することは、従業員の働きやすさや職場・仕事への満足度にもつながります。
AIでシフト作成の全プロセスを自動化してしまうと、こうした調整は困難です。そのため、特定の従業員に負荷がかかってしまうシフトや、ベテランと新人のバランスの偏ったシフトが作成されるケースが考えられます。
これにより、シフトの自動作成後に手動での修正が必要になり、かえって業務負荷が増えてしまう可能性もあります。
柔軟な予定変更が難しい
AIはあらかじめ設定した条件・パターンに基づいてシフトを作成するため、ツールによっては柔軟な予定変更への対応が難しいケースもあります。
病欠や家庭の事情などによるイレギュラーなシフト変更が頻繁に発生する場合は、急な再計算にも対応できるシステムの導入が必要です。
AIでなくてもシフト作成を効率化できる
シフト作成の効率化は必ずしもAIツールでのみ実現できるものではありません。
シフト作成・管理システムの『シフオプ』では、労力がかかる部分は自動化したうえで、必要な部分だけを手動で柔軟に調整することが可能です。
▼シフオプを利用したシフト作成の流れ
流れ |
概要 |
1.希望シフトの収集 |
従業員は自身のパソコンやスマートフォンなどから希望シフトを提出できます。提出漏れを防ぐためのリマインドメールの自動送信も可能です。 |
2.シフトの作成 |
従業員から送られてきた希望シフトは管理画面に集約され、ボタン一つで承認できます。希望シフトの反映作業を大幅に短縮できるほか、反映漏れも防ぎます。 |
3.シフトの調整 |
あらかじめ設定した売上予算に対して人件費率が自動計算されます。繁忙期・閑散期に適したシフト作成が可能です。 |
4.シフトの共有 |
シフトを確定すると従業員に自動でシフトが送信されます。シフト共有のタイムラグや共有漏れを防ぐことが可能です。 |
細かな点については人の手で調整できるため、従業員のスキルや人間関係などを考慮した人員配置ができます。
また、人件費予算の計算、必要人員の算出についてはツール上で自動計算が可能です。労務コンプライアンスのチェックも自動化できるため、個別に労働時間・休日数などを算出する工数を削減できます。
さらに、イレギュラーなシフト変更が起きた場合にもツール上でヘルプを募集できるため、各従業員に個別で連絡を取る必要がない点も特徴です。
まとめ
この記事では、AIによるシフト作成について以下の内容を解説しました。
- AIによるシフト作成で自動化できること
- AIでシフト作成を自動化するメリット
- AIでシフト作成を自動化するデメリット
- AIを用いないシフト作成システム
AIによるシフト作成の自動化は、業務負荷の軽減や人員配置の最適化などのメリットがある一方で、状況に応じた柔軟なシフト調節が難しいというデメリットがあります。そのため、AIを活用したシフト作成が必ずしも効率化へつながるとはいえません。
希望シフトの収集・希望シフト提出のリマインド・労務コンプライアンスチェックなどは、AI以外のアプローチでも実現できます。
シフト管理システムの『シフオプ』は、シフトの収集・作成・共有を行えるクラウド型のシステムです。収集したシフト希望の集約・労務コンプライアンスチェック・希望シフト提出のリマインドなど、労力のかかる定型業務を自動化できます。
人の手でしか対応できないきめ細かな調節も可能なため、シフト作成・管理にかかる業務負担を軽減しつつ、従業員の希望シフトや働きやすさを考慮したシフト作成を実現できます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。