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コンプライアンス違反はなぜおきる?傾向と対策

法令や倫理規範などのコンプライアンスは、企業の社会的責任として当然守らなければならないことのひとつです。多くの企業がコンプライアンスの徹底に取り組むなか、大手企業をはじめとしたコンプライアンス違反も報道されています。なぜコンプライアンス違反が起きるのでしょうか。
今回は、コンプライアンス違反が起きる背景と具体的な事例、違反を起こさないための対策について解説します。


目次[非表示]

  1. コンプライアンス違反はなぜおきる?
  2. 労務に関するコンプライアンス違反と事例
  3. 日常的に起こりやすいコンプライアンス違反
  4. まとめ


コンプライアンス違反はなぜおきる?

企業がコンプライアンス違反を起こすにはいくつかの原因があるといわれており、大きく3つにわけられます。

  • 法律に関する知識がない
  • 不正を働きやすい環境になっている
  • コンプライアンス違反を是正する仕組みがない

知識不足が原因のコンプライアンス違反は比較的に改善しやすいものの、環境や企業の風土が違反を起こしている場合、問題はより複雑です。役職者や経営者自らが積極的に隠ぺいを行っているケースも少なからず存在します。また、経営者や幹部に比べて立場の弱い従業員の場合、上司の指示や組織内の“暗黙の了解”によって、違反だと理解していても加担してしまうこともあるでしょう。

経営陣が率先して法令や倫理規範を犯していたり、部下の違反を黙認していたりすると、日常的に違反が起きやすい社内風土が形成されていきます。こうなってしまうと違反が明るみになり、外部から厳しい指摘を受けるまで違反行為を改めることができません。

帝国データバンクの調査では、2012年以降のコンプライアンス違反による倒産は毎年200件以上と報告されています。倒産に至らないまでも、コンプライアンス違反により厳しい経営状況に追い込まれるケースや、社会的な信用を失って“ブラック企業”と呼ばれるケースは枚挙にいとまがないのが現状です。

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労務に関するコンプライアンス違反と事例

業種を問わず、多くの企業でコンプライアンス違反が発覚していますが、対策についての公的な動きは鈍く、長時間労働による過労死は2001年になってようやく労災認定され、認定基準が改正されました。

(1)脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、長期間にわたる疲労の蓄積を考慮することとしたこと(長期間の過重業務)。
(2)(1)の評価期間を発症前おおむね6か月間としたこと。
(3)長期間にわたる業務の過重性を評価するに当たって、労働時間の評価の目安を示したこと。
(4)業務の過重性を評価するための具体的負荷要因(労働時間、不規則な勤務、交替制勤務・深夜勤務、作業環境、精神的緊張を伴う業務等)やその負荷の程度を評価する視点を示したこと。

出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の認定基準の改正について

さらに、2003年には厚生労働省より賃金不払残業総合対策要綱が発表され、適正な賃金支払いのために労働時間の正確な把握が雇用者に義務づけられました。
しかし、長時間労働や過労死は止まず、長時間労働や過労死に対する社会の批判は高まり続けました。2015年からようやく厚生労働省が違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導と企業名の公表を行うことになりました。

労務コンプライアンス違反① 長時間労働

人手不足や繁忙期などで業務が慌ただしくなると、長時間労働が起きてしまうことは珍しくないでしょう。終わりが見えづらい業務を担当している場合、長時間労働を強いてしまっている職場もあります。
しかし労働基準法では、労働時間は原則として法定労総時間である1日8時間以内、週40時間以内を超えることはできません。36協定が結ばれていれば時間外労働をさせることは可能ですが、原則として月45時間、年360時間以内という上限が設定されています。

労務コンプライアンス違反② サービス残業

本来、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間です。時間外労働も同様で、「従業員が希望すれば好きなだけ残業してよい」ということではありません。多くの企業は就業規則に時間外労働についての項目を設け、上長の指示のもと行うようにしています。

時間外労働に許可制を採用している職場で、従業員が自主的にサービス残業を行って上司が黙認していた場合はどうなるのでしょうか。この場合は、黙示の業務命令によって従業員に残業を行わせたと認められ、割増賃金の請求対象となります。また、帰るように指示しても従業員が帰らない場合は、管理監督責任を問われるほか、従業員自身は就業規則違反にあたります。

労務コンプライアンス違反③ 最低賃金

最低賃金には、国内のすべての労働者に適用される地域別最低賃金と、特定の産業に適用される特定最低賃金があり、毎年10月に改定されています。
改定に気づかず、従業員の賃金が基準を下回ってしまうのは最低賃金法違反になります。仮に従業員からの請求がない場合でも支払わなければならず、未成年のアルバイトや試用期間中も同様です。


日常的に起こりやすいコンプライアンス違反

企業による組織的なコンプライアンス違反は大きな問題であり、企業に対する社会の目が厳しい今、容易に許されることではありません。しかし、従業員が何気なく行っている行為のなかにコンプライアンス違反が潜んでいることがあります。

​​​​​​​・会社の備品を私物化
トイレットペーパーやお茶、ボールペンなどの備品を自宅に持ち帰る

・データの持ち出し
名簿や画像、写真などをUSBなどのメディアやクラウド上に保存する

・会社のパソコンでSNS
会社のパソコンやタブレットを用いて勤務時間中に閲覧、SNS投稿をする

・情報漏えい
社内でしか入手できない情報を公共の場で話題にする

・仕事を持ち帰る
残った仕事を勤務時間外に無許可で自宅作業する

こうしたコンプライアンス違反は「ほかの人もやっているから」と見すごしてしまいがちですが、企業にとってはリスクとなる事案であり、懲戒や解雇の理由となる場合もあります。
些細な違反を黙認していることで違反に対する抵抗感が薄れ、違反がおきやすい風土を育む要因にもなるのです。

企業はコンプライアンスを徹底する仕組みを構築するとともに、違反を予兆段階でチェックできるシステムの導入や従業員に対するコンプライアンス教育を行うといった対策が求められます。


まとめ

今回はコンプライアンス違反が起きる背景や事例について解説しました。
コンプライアンス違反は従業員の倫理観の欠如が原因ではなく、組織の風土が原因になることもあります。
国内でも大手企業のコンプライアンス違反が多数発覚しており、現在では企業の不祥事に対する社会の目が一層厳しくなっているのが現状です。

2020年より中小企業においても時間外労働の上限が規制されるため、雇用者は従業員の労働時間に一層の注意を払う必要があります。
多くの従業員を抱える企業や勤務時間を弾力化している企業では、複雑なシフト管理にコンプライアンスチェックができるシステムの導入がおすすめです。効果的なツールの活用により、労務コンプライアンス違反のリスクを回避しやすくなります。

今後も、社会の一員として企業の利益と信用を守り、そして従業員の雇用を確保し続けるためにも、企業全体としてコンプライアンス違反が発生しづらい風土と仕組みづくりが重要と言えるでしょう。

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