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働き方改革で変わるアルバイトの労務管理

働き方改革による法改正では、有給休暇の取得義務や従業員間における不合理な待遇差の解消、時間外労働の上限規制などが盛り込まれました。パート・アルバイトなどの短時間労働者や派遣社員に関する規定も多く、実現するためには労務管理を見直す必要があります。
今回は働き方改革で変化するアルバイトの労務管理について、注意点や対策を解説します。


目次[非表示]

  1. アルバイトにも有給休暇を付与
  2. 働き方改革では正社員との待遇差も改善される
  3. 長時間労働への配慮
  4. 働き方改革で予想される企業の対応と注意点
  5. シフト制のアルバイトが増えたら、ツールで対応
  6. まとめ


アルバイトにも有給休暇を付与

働き方改革によって改正されたさまざまな規定に対応するために、企業は労務コンプライアンスの重要性をあらためて認識する必要があります。その第一歩となるのが従業員の労働時間や休暇についてです。かねてから、アルバイトやパートといった非正規雇用の従業員でも条件を満たせば有給を取得できました。しかし、職場によっては「有給休暇を与えたことがない」「有給休暇の取得を積極的に指示しなかった」というところもあります。

労働者に対して年次有給休暇の取得が義務づけられた

労働基準法第39条では、使用者は労働者に年次有給休暇を付与することが義務づけられています。半年以上継続して働いており、すべての労働日の8割以上を出勤している場合、労働者に有給休暇を付与しなければなりません。

しかし、日本では有給休暇の取得率は低く、厚生労働省の調査によると、平成30年の労働者一人あたりの取得率は52.4%という結果がでています。労働者は、実際に権利があっても与えられた有給の半分程度しか取得できていないという現状です。

また、「有給を使わせてもらえない」「使えるタイミングがなく残ったまま」という労働者の置かれた現状を踏まえて、今回の法改正で、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上のすべての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させることが義務づけられました。

さらに5日の有給取得を確実に実施するため、使用者側には時季変更権が与えられることになりました。これは、有給休暇の消化によって業務に影響が出る場合には、使用者は労働者の取得時季を変更することができるというものです。また、使用者が有給休暇を取得させられなければ罰金が科せられます。

出典:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査

アルバイトでも有給休暇が取得できる

有給休暇の付与条件も変更され、これまで対象でなかった短時間のアルバイトも有給休暇の付与対象になりました。週に1日のアルバイトも、条件を満たせば有給が付与されるため、従業員のリフレッシュやモチベーションアップにもつながることが期待できます。
付与される日数は以下のとおりです。

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説


働き方改革では正社員との待遇差も改善される

同じ内容の仕事であれば雇用形態に関わらず、同じ賃金が支払われなくてはならないという概念、これを“同一労働・同一賃金”といいます。

働き方改革では、同一労働・同一賃金を進めるために大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から、正社員(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で基本給や賞与、福利厚生などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

正社員と同じ待遇を得られることで、パートタイム労働者などの非正社員は、給与額や福利厚生サービスなどが向上します。また、キャリアアップを求める非正社員の活躍の場を増やすこともできるでしょう。さらに、非正社員は正社員との待遇差について事業主に説明を求めることができるようになるため、非正社員から求められた場合に根拠のある説明ができるよう、雇用主は説明責任を果たす準備が必要です。


長時間労働への配慮

残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情がなければこれらの時間を超えることはできません。大企業では2019年4月から導入済みですが、中小企業でも2020年4月から導入が始まります。

労働基準法第36条、いわゆる36協定(さぶろくきょうてい)で労使が合意し、臨時的な特別の事情がある場合でも時間外労働は月に100時間未満かつ複数月の平均が80時間以内、年間720時間以内におさめなければなりません。有給休暇の取得同様、違反した場合は罰金が科せられます。


働き方改革で予想される企業の対応と注意点

有給の付与や待遇改善、時間外労働の上限規制について、ここまで解説してきました。これを踏まえて、企業はどのように対応するのかを考えてみましょう。

たとえば、有給休暇については1日4時間勤務のパートタイム従業員であっても、週5日または年間217日以上勤務する場合は、フルタイムと同じ有給休暇を付与する義務が生じるため、人件費の増加が見込まれます。そのため、従業員の勤務時間や勤務日数を変更したいと考える企業もあるかもしれません。しかし、会社都合で労働条件を変更することは社員にとって不利益が大きいため、労使の合意が得られないばかりか企業の印象も悪くなるでしょう。

また、時間外労働の上限規制により、今まで長時間労働で業務を完遂させていた場合は、売上が減少してしまうことが考えられます。企業が今まで通りの成果を出すためには、生産性の向上や業務効率化が避けられません。また、従業員にとっては、残業が減ることで収入も減ってしまうため離職を招く恐れもあります。

こうした問題に対処するため、固定勤務時間制をシフト制やフレックス制にするなど、勤務時間の弾力化を図ることも求められています。


シフト制のアルバイトが増えたら、ツールで対応

働き方改革に伴う法改正で、アルバイトやパートなどの短時間労働者の待遇に変化が起きています。

法改正による長時間労働の抑制に対処するため、企業はアルバイトの雇用を増やして対応したり、幅広い勤務時間帯を用意したりとさまざまな取り組みを行っているようです。しかし、人員や時間帯が増えることで、労働時間管理をはじめとした労務管理が煩雑になってしまうケースもあります。

労務管理を合理化し、勤務時間の弾力的運用を進めるためには、シフト管理の電子化、ITシステム化がおすすめです。シフト管理システム“シフオプ”は、長時間労働のシフトへのアラートや、勤務時間帯ごとの予算に応じたモデルシフトの表示など、アナログでは時間を要していた作業も合理化でき、職場の働き方改革をスムーズに進められます。


まとめ

働き方改革関連法の施行にともない、企業はさまざまな対応を余儀なくされています。有給休暇の付与や待遇差の改善などで人件費の上昇が見込まれる一方、長時間労働の是正で売上の減少も懸念されます。限られたリソースで今まで通りの成果を出すためには、生産性の向上が必須です。業務効率の改善と同時に、労務管理をIT化し合理的に行うことで、働き方改革の対応を積極的に進められるでしょう。

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