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アルバイトの給与計算を間違えないために必要な情報や注意点とは

アルバイト・パートの管理をしている管理者にとって、毎月の給与計算は大変な業務です。

勤務時間の計算や時間外労働に対する割増賃金の計算など、アルバイト・パート一人ひとりに対して把握しなければならないことが複数あり、時間と労力がかかってしまいます。

人事・労務担当者のなかには「アルバイト・パートの給与計算を行う際に何に気をつければよいか」「正しい計算方法を改めて知っておきたい」などと管理体制の見直しを検討されている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、アルバイト・パートの給与計算に必要な情報や具体的な計算方法、注意点について解説します。


目次[非表示]

  1. アルバイトの給与計算をするために必要な情報
  2. アルバイトの給与計算方法
  3. アルバイトの給与計算の例
  4. アルバイトの給与計算をする際の注意点
  5. 正しい給与計算のためにシフト管理システムが役立つ!
  6. まとめ


アルバイトの給与計算をするために必要な情報

アルバイト・パートの給与計算を正しく行うために、労働条件や勤務日数、勤務時間などを確認できる情報が必要です。


就業規則・給与規定

労働基準法』第89条では、常時10人以上の労働者を使用する企業に対して、就業規則の作成と届出が義務づけられています。

▼労働基準法第89条

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


就業規則とは、従業員の労働条件を定めたもので、賃金額や計算方法、支払いなどについて定めた給与規程は必須項目とされています。

給与規定とは、賃金・給与に関する取り決めを定めたもので、会社の締め日や給与支払い(振り込み)日、残業代、割増率などを規定します。

毎月の給与計算は、就業規則や給与規定に基づいて計算する必要があるため、以下の情報については必ず確認しておくことが重要です。


▼給与計算の際に確認しておく項目

  • 始業・終業時間
  • 休憩時間、休日
  • 賃金の決定方法(基本給、時給、計算方法)
  • 賃金の締切日・支払日
  • 賃金の支払い方法
  • 時間外手当
  • 諸手当(通勤手当、臨時的に支払われる賃金)

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/内閣府『給与規程


従業員情報

給与計算を行う際は、従業員に関する情報を登録・確認する必要があります。登録・確認しておく情報には、以下が挙げられます。


▼給与計算の際に登録・確認が必要な従業員情報

  • 名前・生年月日・住所
  • 入社年月日
  • 社会保険の加入状況
  • 扶養家族の有無・扶養家族の情報
  • 役職手当の有無


勤続年数または役職によって異なる賃金を設定している場合には、入社年月日や役職手当の有無を確認する必要があります。また、扶養家族の情報は所得税に影響します。住所については、通勤手当の額を把握するために必要な情報です。

個々の従業員ごとに労働条件が異なる場合には、必ず労働契約書を確認しておくことも欠かせません。


勤怠管理の書類(タイムカード)

勤務時間に対して正しい給与を支払うために、勤怠管理の書類が必要になります。勤怠に関する書類には、一般的にはタイムカードが該当します。

時給制の場合は15分単位や30分単位で支払い、端数は切り捨てとするケースが多くありますが、原則1分単位で計算する義務が労働基準法によって決まっています。端数切り捨てができるのは、1ヶ月の労働時間に対して30分未満の端数のみです。

また、時間外労働をさせた場合には、一定の割増率で割増賃金を支払わなければならないとされています。時間外労働についても正しく記録・確認しておくことが重要です。


出典:厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター労働基準法 割増賃金編』/厚生労働省 東京労働局 愛媛労働局『端数処理のソレダメ!



アルバイトの給与計算方法

アルバイト・パートの給与計算をする際、まずは勤務時間を1分単位で集計します。このとき、休憩時間は勤務時間に含めません。また、時間外労働や休日出勤については、勤務時間とは別に集計します。


▼計算方法

  1. 勤務時間を集計する
  2. 時間外労働の時間を集計する
  3. 基本給を算出する
  4. 割増賃金を算出する
  5. 基本給と割増賃金を合算する


基本給と割増賃金の計算式は、以下のとおりです。

▼計算式

  • 基本給=時給×勤務時間
  • 割増賃金=時給×割増率×時間外労働時間



アルバイトの給与計算の例

ここからは、具体的なアルバイト・パートの給与計算の方法を解説します。


▼前提とする条件

  • 8~17時までの1日8時間労働(休憩1時間)
  • 時給1,000円
  • 15日間勤務(そのうち残業で22時までの勤務が3日、23時までの勤務が2日)


1.基本給を計算する

時給1,000円で8時間の法定労働を15日間行っています。よって基本給の計算式は以下のとおりです。

▼計算式

1,000円×8時間×15日=120,000円


2.割増賃金を計算する

今回の例では、22時まで残業した日と23時まで残業した日があります。また、22〜5時までの時間帯には深夜手当も加える必要があります。

時間外手当のみが発生する22時までの5時間分の残業が5日間、22〜23時の深夜手当も含む1時間分の残業を2日間として計算します。

▼計算式

  • 1,000円×1.25(時間外手当の割増率)×5時間×5日=31,250円
  • 1,000円×1.5(残業外手当+深夜手当の割増率合計)×1時間×2日=3,000円


3.支払う給与を計算する

ここまでに計算した基本給と割増賃金の合計額を計算します。

▼計算式

120,000円(基本給)+31,250円(割増賃金)+3,000円(割増賃金)=154,250円
アルバイト・パートに支払う給与額は、154,250円となります。



アルバイトの給与計算をする際の注意点

アルバイト・パートの給与計算をする際には、割増賃金や端数処理、源泉徴収について注意する必要があります。


①割増賃金の支払い

時間外労働や休日労働、深夜労働については割増賃金を支払う必要があります。支払う条件や割増率は、割増賃金の種類によって異なります。


▼割増賃金の種類

種類

支払う条件

割増率

時間外労働

法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき

25%以上

時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間など)を超えたとき

25%以上
(25%を超える努力義務)

時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき

50%以上

休日労働

法定休日(週1日)に勤務させたとき

35%以上

深夜労働

22時から5時までの間に勤務させたとき

25%以上

厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター労働基準法 割増賃金編』を基に作成


時間外労働とは、労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働くことです。これを超えた分に対しては、割増賃金の支払いが必要です。

休日労働とは、労働基準法で定められた法定休日(週1回または4週を通して4日)に働くことです。週休2日制の場合でも、休日が週1日あれば、もう1日の休日に勤務しても休日労働には当たりません。

深夜労働とは、22時から5時までの時間帯で働くことです。この時間に勤務された場合には、深夜手当を支払う義務が発生します。
割増賃金は重複して発生しますが、法定休日には法定労働時間が存在しないため、時間外労働と休日労働が重複することはありません。

割増賃金の計算方法については、こちらの記事をご確認ください。

  時間外手当の割増率と割増賃金の計算方法とは? 時間外労働を減らす取り組みも解説 2019年4月1日には働き方改革関連法が施行されており、その一つとして労働基準法の改正が行われました。改正された内容には割増賃金率(以下、割増率)の引き上げについて含まれており、企業の人事・労務担当者も法令に基づいた対応が求められます。今回は、2019年4月から適用される労働基準法の改正内容を踏まえた割増率と割増賃金の計算方法、時間外労働を減らす取り組みについて解説します。 シフオプ


出典:厚生労働省『法定労働時間と割増賃金について教えてください。』『労働時間・休日』/厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター労働基準法 割増賃金編


②労働時間・賃金計算の端数処理

労働時間については、1分単位で計算するルールが定められています。仮に1時間単位でシフトを組んでいたとしても、15分・30分などの端数を切り捨てて労働時間を計算することは法令違反に当たります。

例えば、9〜14時の5時間勤務のシフトにおいて、14時14分まで働いた場合には14分を切り捨てることはできず、合計5時間14分の給与を支払う必要があります。

また、賃金の計算については、1日当たり1時間未満・30分未満の労働時間を切り捨てて計算したり、月給の100円未満・50円未満を切り捨てて計算したりすることも禁止されています。ただし、例外的に端数処理が認められるケースもあります。


▼端数処理が認められるケース

  • 1時間当たりの基本給・割増賃金額に円未満の端数が生じた場合(50銭未満は切り捨て、それ以上は1円に切り上げ)
  • 1ヶ月における時間外労働・休日労働・深夜労働それぞれの割増賃金額の総額に1円未満の端数が生じた場合(50銭未満は切り捨て、それ以上は1円に切り上げ)
  • 1ヶ月における時間外労働・休日労働・深夜労働それぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合(30分未満は切り捨て、それ以上を1時間に切り上げ)


出典:厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター労働基準法 割増賃金編』/厚生労働省 東京労働局 愛媛労働局『端数処理のソレダメ!


③源泉徴収の有無

源泉徴収とは、会社が給与から天引きする形で従業員に代わって所得税を国に納税する仕組みです。

アルバイト・パートであっても月の給与額が88,000円を超える場合には、給与から源泉徴収を行う必要があります。また、1年を通して一度でも源泉徴収を行ったアルバイト・パートには、年末調整が必要です。
アルバイト・パートとの間でトラブルにならないように、源泉徴収や年末調整のルールについて共有しておくことが重要です。
 
アルバイト・パートの年末調整については、こちらの記事で詳しく解説しています。

  アルバイトの年末調整はしないとどうなる? 注意点を解説 年末が近づくとやってくる年末調整。正社員として働く場合は、会社が年末調整を行うのが一般的ですが、アルバイトの場合、年末調整の仕組みはどのようになっているのでしょうか。今回は、年末調整をしないとどうなるのか、対象となる人・ならない人の条件、アルバイトの年末調整を行う際の注意点について解説します。 シフオプ


出典:国税庁『給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分)



正しい給与計算のためにシフト管理システムが役立つ!

正しい給与計算を行うには、従業員一人ひとりの勤務状況を把握しておく必要があります。しかし、従業員数が多くなるほど、労働時間や勤務日数の集計が煩雑になるほか、人の手による計算または目視チェックではミスも発生しやすくなります。

従業員の勤務状況を把握するために、シフト管理システムが役立ちます。
シフオプ』は、シフトの収集・作成・共有ができるシフト管理システムです。従業員ごとの勤務状況を可視化できるため、タイムカードと照らし合わせながら休日労働や深夜労働について正確に把握することが可能です。

また、人件費の計算を自動で行えたり、コンプライアンス違反の恐れのあるシフトにはアラートを表示したりと、管理者の負担を減らす機能が備わっています。シフトデータをCSVで出力して、別の給与管理システムに取り込むことも可能です。

人件費を考慮したシフト作成や勤務状況の確認に労力がかかっている方は、シフオプの活用がおすすめです。



まとめ

この記事では、アルバイト・パートの給与計算について以下の内容を解説しました。

  • 給与計算のために必要な情報
  • アルバイト・パートの給与計算方法
  • 給与計算を行う際の注意点
  • 給与計算の例
  • 給与計算に役立つシフト管理システム

アルバイト・パートの給与計算を正確に行うには、勤務時間や勤務日数について正しく把握することが大切です。ただし、割増賃金や端数処理などのさまざまなルールがあるため、人の手による計算ではミスが発生しやすくなります。

シフト管理システムの『シフオプ』を活用することで、従業員ごとの勤務状況を可視化できるほか、シフト作成時に人件費や労働時間が自動で算出されるため、給与計算に役立てられます。
詳しくは、こちらをご確認ください。

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