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勤怠管理システムの導入目的とメリット・デメリット

※2019年9月24日公開の記事に修正を加えています。


労働安全衛生法』において、使用者が従業員の労働時間を正しく把握することが義務付けられています。適正に勤怠管理を行うことは、賃金をきちんと支払い、長時間労働を防ぐために重要です。

しかし、従業員数が多く、タイムカードを使ったアナログな方法で労働時間を管理している職場では、勤怠管理が煩雑になっているケースもあるのではないでしょうか。

そこで役立つのが“勤怠管理システム”です。この記事では、勤怠管理システムの導入目的や勤怠管理に関する法律をはじめ、導入のメリット・デメリットについて解説します。

出典:東京労働局『改正労働安全衛生法のポイント


目次[非表示]

  1. 勤怠管理システムを導入する目的
  2. 勤怠管理に関する法律
  3. 勤怠管理システムを導入するメリット・デメリット
  4. 勤怠管理を徹底する方法
  5. まとめ


勤怠管理システムを導入する目的

勤怠管理システムを導入する目的として挙げられるのが、職場の労務コンプライアンス強化や勤怠管理の効率化です。ここでは、それぞれの目的について解説します。


労務コンプライアンスの強化

1つ目の目的は労務コンプライアンスの強化です。

タイムカードを利用したアナログな勤怠管理では、従業員の労働時間をリアルタイムで把握するのが難しく、法改正が行われた際に対応が遅れて、適切な勤怠管理を行えなくなる可能性があります。

クラウド型の勤怠管理システムを活用すれば、従業員の労働時間をリアルタイムで確認できます。また、法改正とともにアップデートされるシステムであれば、現行の法令に沿った適正な勤怠管理が可能となります。

長時間労働による健康障害の防止、適正な給与の支払いが可能になるほか、従業員の出退勤状況が可視化されることで、法令違反を防いで労務コンプライアンス強化につながります。


勤怠管理業務の効率化

2つ目の目的は勤怠管理業務の効率化です。

勤怠状況を目視でチェックしたり、社内ツールに手入力したりといったアナログな方法では、見落としや打ち間違いなどの人的ミスを防ぐことは容易ではありません。

勤怠管理システムを活用すれば、目視チェックや手入力などが不要になり、勤怠管理業務を効率化できます。シフトとの突合せや給与システムとのデータ連携を行えるシステムを活用すれば、長時間労働者へのフォロー、給与管理も行いやすくなります。



勤怠管理に関する法律

労務コンプライアンスの強化や勤怠管理業務の効率化を実現するには、勤怠管理システムを導入するだけでは十分といえません。

また、長時間労働を防いで、適正な賃金・残業手当を支払うためには、労働基準法や労働安全衛生法、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律など、勤怠管理の義務について把握しておくことも重要です。

ここでは、勤怠管理に関する法律について解説します。


①労働時間の適正な把握

労働安全衛生法』第66条の8の3では、従業員の労働時間を適正に把握することが使用者に義務付けられています。

2017年1月、厚生労働省は『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』を発表しました。このガイドラインでは、使用者が講じる措置として以下が挙げられています。


▼使用者が講じる措置の例


  • 従業員の労働日ごとの始業・終業時間を確認して、記録する
  • やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合は、ガイドラインに基づく措置についての説明を十分に行う
  • 自己申告による労働時間と記録したデータから把握した労働時間に明確な差がある場合、実態調査を行い、労働時間を補正する
  • 従業員による適正な労働時間の自己申告を阻害する措置を設けない
  • 従業員ごとに、労働日数・労働時間数・休日労働時間数・時間外労働時間数・深夜労働時間数などの事項を適正に記入する


また、2019年4月からは、裁量労働制が適用される従業員や管理監督者に対しても、労働時間の把握が義務付けられました。これにより、長時間労働を行うすべての人に対して、医師による面接指導を確実に実施できます。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』/厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』/愛媛県『労働時間法制の⾒直しについて


②始業・終業時刻の記録

労働時間を適正に把握するために、従業員ごとの始業・終業時刻を客観的な方法で記録する必要があります。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』では、始業・終業時刻の記録について、以下の方法を原則としています。


▼始業・終業時刻の記録の原則的な方法

  • 使用者による現認
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間などによる客観的な記録

労働日ごとに始業・終業時刻を記録したうえで、労働日ごとに始業・終業時刻を記録したうえで確認することが重要です。

出典:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン


③労働時間・休日の規定

勤怠管理を行ううえで重要となるのは、『労働基準法』で定められた労働時間・休日数を守ることです。


▼労働基準法に基づく労働時間・休日数の規定


労働基準法
規定内容
第32条
労働時間は1週40時間、1日8時間まで
第34条

労働時間が6時間を超える場合は45分以上、

8時間を超える場合は1時間以上の休憩の付与

第35条
毎週1回以上の休日、あるいは4週間を通じて4日以上の休日の付与


なお、この規定は正社員に限らず、シフト制で働くアルバイト・パート、派遣労働者、外国人労働者などにも適用されます。

出典:厚生労働省『労働時間・休日』/e-Gov法令検索『労働基準法


④育児・介護休業法による制限

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』では、子どもの養育や家族の介護をする従業員に対して、時間外労働・深夜業を制限する制度が設けられています。

育児・介護を理由に、従業員から時間外労働や深夜業の制限について申請があった場合は、一定の期間・時間帯を超えて働かせてはいけません。

時間外労働・深夜業の制限内容は、以下のとおりです。


▼対象者と期間


制限内容
対象者
期間
育児
時間外労働
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員
1ヶ月以上1年以内
深夜業
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員
1ヶ月以上6ヶ月以内
介護
時間外労働
要介護状態にある対象家族(※)を介護する従業員
1ヶ月以上1年以内
深夜業
要介護状態にある対象家族(※)を介護する従業員
1ヶ月以上6ヶ月以内


育児・介護をしている従業員のなかに申請者がいる場合は、労働時間や勤務時間帯について注意が必要です。また、対象外の要件があるため、詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。

※要介護状態にある対象家族とは、配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・きょうだい・孫のこと。

出典:厚生労働省『育児・介護休業法の概要』/e-Gov法令検索『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律



勤怠管理システムを導入するメリット・デメリット

勤怠管理システムを導入することで、従業員一人ひとりの勤務状況を正確に把握できるようになります。

ただし、導入にあたってデメリットを把握しておくことも重要です。ここからは、勤怠管理システムを導入するメリット・デメリットについて解説します。


メリット

勤怠管理システムでは、従業員の出退勤時刻を正確に記録して、管理画面で一元管理できます。これにより、以下のようなメリットが期待できます。


▼勤怠管理システムの導入メリット

  • 業務時間を削減できる
  • ミスを防いで正確な勤怠管理ができる
  • 時間や場所に関係なく勤怠状況を確認できる
  • 勤怠データと給与データを連携できる

タイムカードや自己申告の場合、集計・確認に時間を要するほか、データの入力、給与計算時に人的ミスが発生しやすくなります。

勤怠管理システムを活用すれば、打刻状況が自動でシステムに反映されるため、管理者が集計・転記する必要がありません。業務時間を削減できるほか、ミスのない正確な勤怠管理が可能です。

また、クラウド型システムの場合、スマートフォンやパソコンから打刻できるため、在宅勤務中・外出先の従業員など、社外にいる従業員の打刻状況も確認できます。システムによっては、勤怠管理システムと給与管理システムを連携できる製品もあります。


デメリット

勤怠管理システムの導入にはコストがかかるほか、社内に定着させるために使いやすさにも考慮が必要です。勤怠管理システムを導入するデメリットには以下が挙げられます。


▼勤怠管理システムの導入デメリット

  • コストがかかる
  • システムによって機能にバラつきがある

勤怠管理システムは、月額数百円の製品もあれば、サーバー構築費やメンテナンス費用が必要な製品もあります。従業員の規模や利用形態などを考慮して、自社に合ったシステムを選定することが重要です。

また、クラウド型の勤怠管理システムで、従業員の人数に合わせてプランを選べる製品もあります。保守管理やアップデートもクラウド事業者側で行われるため、システム管理にかかる労力やコストも必要最小限に抑えられます。



勤怠管理を徹底する方法

労務コンプライアンスを強化するには、正確な勤怠管理が欠かせません。フルタイムの従業員のみであれば、始業・終業時刻が決まっているため、比較的管理しやすいといえます。

しかし、シフト制の場合は、従業員によって労働条件が異なるため、「残業に気づきにくい」「長時間労働を見過ごすリスクがある」といった問題が生じることも考えられます。

従業員一人ひとりの出勤状況を記録して、労務違反や長時間労働を防ぐためには、シフト管理を適切に行えるシステムを活用するのも方法の一つです。

シフト管理システムの『シフオプ』では、作成したシフトデータをCSVファイルで出力して、勤怠システムに取り込めます。

これにより、シフト状況と勤怠データの突合せが可能になるため、「残業が発生していないか」「労働基準法を遵守できているか」などを確認しやすくなります。シフオプの詳しい機能についてはこちらをご確認ください。

  機能紹介 | シフト管理のシフオプ 機能紹介。「シフオプ」はリクルートが提供する、シフト管理システムです。直感的に操作できる編集画面と多彩な機能、きめ細やかな設定で、 企業の規模や形態に合わせて柔軟にご利用いただけます。 https://www.shifop.jp/function/



まとめ

この記事では、勤怠管理について、以下の項目で解説しました。

  • 勤怠管理システムの導入目的
  • 勤怠管理に関する法律
  • 勤怠管理システムのメリット・デメリット
  • 勤怠管理を徹底する方法

煩雑になりやすい勤怠管理業務を効率化して、労務コンプライアンスを強化するには、勤怠管理システムの活用がおすすめです。

システム上の打刻によって、出勤状況の可視化や一元管理が可能になり、業務効率化につなげられるほか、労働時間を正しく把握・管理して労務コンプライアンス強化にも貢献します。

また、勤怠管理を徹底するためには、勤怠システムと併せてシフト管理システムを活用するのも有効な方法の一つです。

シフト管理システムの『シフオプ』は、CSVファイルでのデータ出力に対応しているため、シフトデータを勤怠管理システムに取り込み、各データを突合せて管理できます。

勤怠管理の業務効率化や労務コンプライアンスの強化を実現したい方は、ぜひシフオプの導入をご検討ください。

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